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Moylussa Co. Clare
[ブライアン・ボルーのハープゆかりの地]
モイルッサ山(Moylussa)はスリーヴ・バーナ山地(Slieve Bernagh)の一角を成す山で、同山地の最高峰です。
標高532メートルの山頂はクレア県の最高地点となっています。
モイルッサ山遠景。アイルランド2番目に大きい湖「ダーグ湖」を挟んでティペラリー側より望む。
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モイルッサの最寄りの町はキラルー*(Killaloe)です。
キラルーはクレア州の東側、東クレア最大の町でシャノン川を挟んでティペラリー州のバリナ(Ballina)と接しています。
ダーグ湖畔を望む小綺麗な感じのする町です。
*キラローとも
キラルー(キラロー)の町並み
キラルーのパブに飾ってあったアイルランド版のホーロー看板(?)
レトロな看板がずらりと並んでいます。
ダーグ湖畔の桟橋
沢山の船が浮かぶキラルーのダーグ湖畔
キラルーには船を持っている家が多いようで、こんな家もありました。
家に車庫ならぬ船庫が付いています。すごい贅沢!
モイルッサの登頂ルートはいくつもあると思いますが、私は山の東側からのルートで登りました。
このルートはまず「Ballycuggaran森林レクリエーションエリア(Ballycuggaran Forest Recreation Area)」から登り始めます。
BallycuggaranはCoillteが管理する植林帯です。
Coillteはアイルランドの植林樹林を管理している公営企業で、アイルランドのほとんどの植林帯はCoillteによって管理されています。
Coillteとはアイルランド語で森という意味です。
Ballycuggaran森林レクリエーションエリアの入り口。
ここの入り口は目立たない所にあって見落としやすいです。
ダーグ湖畔沿いの公園(湖水浴場)が目印になります。
同じくダーグ湖畔沿いのリムリック大学のスポーツアドベンチャーセンターも目印になります。
ダーグ湖畔沿いの公園(湖水浴場)
Ballycuggaran森林レクリエーションエリアに入ったらしばらくは森の中に設けられた道に沿って歩きます。
随所に道しるべが置かれているので道に迷うことはないと思います。
途中に休憩用のベンチがあったりして歩きやすいです。
厳密にはBallycuggaranの森の中に設けられている道は歩行者専用の道ではなく、伐採した木を運ぶときに使うための作業用道路なので、時には大型のトラクターやブルドーザーが通ることもあります。
私が登っている時も木の伐採が行われていて、切り取った木を大型のトラクターが運んでいました。
伐採の光景
Ballycuggaran森林レクリエーションエリア内の道はモイルッサ山頂までは続いていません。
途中からは山の斜面を適当に登ることになります。
どこから登るか特に決まりもありませんし、ここがベストというところもないので、歩きやすいところを選んで登っていきます。
林道の終点。奥にはゲートが有り、ゲートの先は道がありません。
斜面を登りきると稜線の上に出ます。
稜線に出てほどなく進むとエンジン(?)のスクラップやら、トタン屋根みたいなものなど、ガラクタが積まれているところが見えてきます。
このガラクタが積まれているところがモイルッサの頂上、すなわちクレア州の最高地点です。
モイルッサの山頂には三角点が置かれていません。
モイルッサの山頂のスクラップ。ここがクレア州の最高峰です。
前に見えるのがダーグ湖。アイルランドで2番目に大きい湖です。
ダーグ湖=シャノン川でもあります。
アイルランドでは川の広い部分のことを湖と呼ぶようで、シャノン川は源流から河口までの間にアレン湖(Lough Allen)、リー湖(Lough Ree)、ダーグ湖(Lough Derg)と3回名前を変えます。
モイルッサ山の山頂は遮るものが何もないので360度のパノラマを楽しむことができます。
近いところでは麓のキラルー/バリナの町並み、スカリフの町並みにスカリフの町はずれの工場や、ティペラリーのシルバーマインズやガルティー山脈方面まで見渡すことができます。
ごみ溜め状態のモイルッサ山頂・・
自分の住んでいる州の最高峰がこの有様とは・・ちょっと残念・・
ここまでの道のり
麓から頂上までは5.91km、所要時間1時間18分でした。
モイルッサ山頂からのキラルー/バリナの眺め。
キラルーのランドマークでもある「St Flanna's Cathedral」やキラルーとバリナを結ぶ「キラルーブリッジ」、バリナの町並みがよく見渡せます。
モイルッサ山頂からスカリフ方面の眺め。
写真の真ん中の右寄りの煙はスカリフにある工場から出ている煙です。左側の湖は「O'Grady湖」という湖です。
モイルッサ山頂からダーグ湖を挟んで対岸の「Arra Mountains」の眺め。
ボタンアコーディオンのパイオニアと呼ばれる「パディ・オブライエン(Paddy O'Brien)」が作曲した曲のタイトルになっている山です。
パディ・オブライエンはこの山の麓の「Newtown」という村の出身です。
モイルッサ山頂からガルティー山脈方面の眺め。ガルティー山脈に位置するガルティモア山はリムリックとティペラリーの最高峰です。
モイルッサ山の山頂はだだっ広いところで、最高地点に三角点はありません。同じ山地内に「Cragnamurragh山」という山があるのですが、こちらには三角点が置かれています。
Cragnamurraghの近くにあった謎の物体。
ちなみにこの山では牛の放牧が行われているようで、迷い牛なのかそれともこの辺もテリトリーなのか分かりませんが、Cragnamurragh山付近で牛を見かけたことがあります。
モイルッサ山&Cragnamurragh山およびSliabh Bearnach山地の詳細地図
Cragnamurragh山の西にはLough Avulligという小さな湖があります。
モイルッサへの登山口である「Ballycuggaran森林レクリエーションエリア」の近くに「キンコラ(Kincora)*」という場所があります。
キンコラはアイルランド最後の王「ブライアン・ボルー(Brian Boru)」の出身地と知られています。
キンコラには「ブライアン・ボルーの砦」と呼ばれる遺跡があります。
*キンコーラとも
ブライアン・ボルーの砦は1002年から1014年までアイルランドを収めた、アイルランド最後の「上王(High King)」であるブライアン・ボルーの生誕地と言われています。
ブライアン・ボルーの砦への入り口
ブライアン・ボルーの砦(アイルランド語でBéal Ború)の説明板。
ブライアン・ボルーが生まれた頃はこんな風だったそうです。
ブライアン・ボルーの砦。砦の外から見たところ。砦の周りは木で囲まれています。
土塁の上から見たところ。
土塁の下の元々砦があったと思われる場所。なぜか焚火をした後がありました。
ブライアン・ボルーといえば、トリニティカレッジに飾られているこの有名なアイリッシュ・ハープは「ブライアンボルーのハープ」と呼ばれています。
ブライアン・ボルーズ・マーチ(Brian Boru's March)という有名な曲もあるのでアイルランド音楽好きでブライアン・ボルーの名前を聞いたことある人は多いと思います。
ちなみにブライアン・ボルーの砦があるところの地名は「キンコーラ(Kincora)」というのですが、この「キンコーラ」という名前もアイルランド音楽好きの間では馴染み深いものとなっています。
アイルランド音楽で使われるボタンアコーディオンの有名メーカー「キンコーラ・アコーディオン(Kincora Acordion)」はこのブライアン・ボルーの砦の位置する「キンコーラ」から来ています。(製作家がここの出身)
モイルッサ山からフィークルに戻る途中の道すがらで遭遇したヘッジホッグ(ハリネズミ)
動画でも撮ったのですが、ピクリとも動きません。