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Croagh Patrick 764m
[アイルランドの守護聖人「聖パトリック」が登った山]
クロー・パトリック(Croagh Patrick)はメイヨー州(Co.Mayo)にある標高764メートルの山です。
クロー・パトリックとはゲール語で聖パトリックの山を意味する「Cruach Phádraig」に由来するそうです。
アイルランドの守護聖人である聖パトリック(セント・パトリック)が修行を行った聖なる山として知られ、毎年7月の最終日曜日には「リーク・サンデー(Reek Sunday)」という巡礼登山が行われ、大勢の人がこの山に登ります。
聖パトリックがこの山に登った時は素足だったそうで、それにちなんで裸足で登る人も多いです。
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メイヨー州の最高峰ミューリア山に登った翌日にクロー・パトリックに登ってみました。
時期は観光シーズン前の6月の平日です。その時点でリーク・サンデーに行ってみるつもりでいたので、下見を兼ねた登山でもありました。
クロー・パトリックの登山ルートは色々とあると思いますが、今回は巡礼登山の日に多くの巡礼者が通るルートではなく、普通に山歩きとして楽しめるルートで歩いてみました。
上の地図で赤い線のルートがそのルートです。
登山開始地点はR335沿いのクロー・パトリックのビジター・センターの数キロ手前にパブ(レストランも兼ねている)になります。
パブの駐車場に車を停めさせてもらって歩き始めます。
パブの駐車場から西へ数10メートル行ったところの交差点に折れ、しばらく歩くとこの砂利道が通っているところに出ます。
この道は地元の農家さんが使う農道ですが、ウェスタン・ウェイという長距離自然歩道の一部でもあります。
ウェスタン・ウェイはメイヨー州南部のリーノーン(Leenaun)から同州北部のバリーキャッスル(Ballycastle)に至る全長124kmの長距離自然歩道です。
アイルランドにはこのような比較的距離の長いウォーキング・ルートがいくつもありアイルランドでは「ナショナル・ウェイマークト・トレイル」と呼ばれています。
途中から道らしい道は無くなってしまいますが、道しるべが随所に立てられています。
本格的に山の中に入ると、今度はクロー・パトリック・ヘリテイジ・トレイル(Croagh Patrick Heritage Trail)というウォーキングルートに乗り換えます。
このルートはメイヨー州のバラ(Balla)からマリスク(Murrisk)に至る61kmのコースです。バラもマリスクも聖パトリックとゆかりのある土地です。
上の写真はクロー・パトリック・ヘリテイジ・トレイル上にあるケルンです。その先にクロー・パトリック山が見えています。
一般の観光客やリーク・サンデーの巡礼者が通るクロー・パトリックの登山ルートはごつごつとした岩が多いのですが、私が通っているルートの地面は泥炭質で柔らかい所が多かったです。
二つ目のケルン。このケルンからしばらく行くと、巡礼登山に時に多くの人が通る"一般的な巡礼登山ルート"に合流します。
3つ目のケルン。ここから巡礼登山ルートに合流します。
柔らかい泥炭質の地面から、ごつごつとした岩や石の多い"ロッキー"な地面に変わります。
巡礼登山ルートは岩や石が多いですが、頂上まで道が繋がっているので、分かりやすいルートだと思います。
山の中腹付近からは石を置いて描いた(?)落書きが見えます。
誰かが自分の名前とかを描いていったんでしょうか?
ここから見ると絶景(?)かもしれませんが、用を足している時は景色は見えません。
頂上の手前にある「聖パトリックのベッド」。
ここがクロー・パトリックの山頂にある教会です。
もともと聖パトリックが生きていた時代から、教会が建てられていたそうです。現在の教会は1905年に建てられたそうです。
夏の間(7~8月)は毎日教会の中に入ることができるそうです。
聞いた話だと飲み物とかスナック菓子などや、宗教グッズ(?)のようなものが売られているそうです。
こちらは教会の裏側です。入り口は裏側にあるようです。
麓から頂上まで6.04km、所要時間2時間18分でした。
下山途中の巡礼ルートからの眺め。こうやって見ると結構急な斜面ですね。
往復の距離は12.19km、所要時間4時間33分でした。
クロー・パトリックの麓にはビジター・センターがあります。
上の地図の青い線のルートの登山口のところにあります。
ビジターセンターはカフェ(軽食も出している)、お土産屋、ツーリストインフォを兼ねています。シャワー室もあって登山の後に汗を流すことが出来て有難いです。
ビジターセンターの外にもお土産を売っているところがありました。
ここでは杖も売っています。急に思いついて登ってみようとなった時に、これを買っておくと便利です。
ちなみに私が登った時はスーツ姿に革靴(ビジネスシューズ)で登っている人に会いました。まさに通りがかりにちょっと登ってみましたって感じでした。
ビジター・センターの敷地内にあった望遠鏡。
個人的にはこういものは山の頂上*の方に作った方がいいのにと思うのですが・・
*クロー・パトリックの頂上に望遠鏡はありません。
ビジターセンターには相当な台数を停められる広い駐車場があります。
巡礼登山の日は激混みになります。リークのサンデーの日はあちこちに臨時駐車場が出来るのでここに停められなくても大丈夫です。
クロー・パトリックでは毎年7月の最終日曜日に大規模な巡礼登山が行われます。
リーク・サンデー(Reek Sunday)と言って、アイルランド中から大勢の人が巡礼に訪れます。
聖パトリックがこの山に登った時は素足だったということにちなんで、裸足で登る人も多いです。
夕方のテレビのニュース番組で紹介される時に、裸足で登っている人が絶対写っているはずです。
巡礼登山の日はそこら中に杖を売っている人が居ます。
杖の値段3ユーロ。帰る時に返すと1ユーロ返してくれるようです。
車に貼ってある「Mayo to give Cork "Stick"」は、当日ゲーリックフットボールの全国大会の準々決勝があって、メイヨー州とコーク州の対戦だったので、それに"杖(stick)"をかけた洒落になっています。
「メイヨーがコークを懲らしめてやる!」みたいな意味でしょうか。
ちなみ実際の試合もメイヨーが勝ちました。
水やジュース、チョコバーを売っている子たちも居ました。
スーパーマックス*の移動販売車も出ていました!
*アイルランドのファーストフードのチェーン店。アイルランド中に店舗があります。
色々な神具(?)を売っている所もありました。
「聖パトリックよ我々を守りたまえ」だそうです。
これは所謂お守りのようなものみたいです。
巡礼登山の登山口入り口は聖パトリックの像が建っています。
いざ巡礼登山に出発!
頂上までずっと人の流れ続いています。
下からも絶え間なく登って来ます。
この時点で既に下山する人も居ます。
行き帰りの人達で登山道は大混雑。
裸足で歩いている人が居ました。こんなごつごつした岩だらけの山を裸足で歩いて痛くないんでしょうか?
他にもけっこうな数の人達が裸足で登っていました。
メイヨー山岳救助隊(Mayo Mountain Rescue)のテント。
山岳救助隊も出動しているようです。
山岳救助隊にストレッチャーで運ばれている人が居ました。
ここは山の中腹にある「ファースト・ステーション」と呼ばれる所です。
皆ここに来たらこの周りをぐるぐると回る儀式みたいことをやっていました。
初めて登った時はただのケルン(積み石)だと思っていました。
ファースト・ステーションの儀式(?)の説明書き
儀式(?)の模様を動画で見るとこんな感じです。
山の中腹には飲み物やチョコバーなどのスナックを売っている小屋が建っていました。
頂上にある聖パトリックのベッドでも同じ儀式(?)をやっていました。
頂上の教会の前はものすごい人だかり。
教会では神父さんの講話(?)が聞けます。神父さんのお話とは別に教会の中でミサがあるようで、ミサを待つ人たちでもごった返していました。(1時間から2時間おきに7回ミサがあるそうです。)
ミサを待っている人たちの行列の写真を撮っていたら、目の前に知っている人が居てびっくり。(手前右側の人)
声を掛けたら、向こうもびっくり。
この方けっこう有名なクレア州出身のコンサーティーナ奏者の方で、私がアイルランド音楽を始めたばかりの頃に大変お世話になった方です。
「あなたもミサに参列するの?」と聞くので、「用事があって先を急ぐので、この後すぐ下山する」と言って分かれてきました。
用事があったのは事実だったのですが、私自身はキリスト教徒ではないので、宗教的なセレモニーに参加するのは苦手なんです。
アイルランドのどの山にも羊が居るのですが、はクロー・パトリックの上にも居ました。野良羊とか野生の羊とかではないですよ。毛を刈られるために飼われている羊です。普通の羊は人と近付くと逃げていってしまうのですが、クロー・パトリックの上には人懐こい羊がいました。
上の羊の動画です。神父さんのお話も聞こえます。
たまにこんな人懐っこい羊に遭遇することがあります。
下のはウィックローで遭遇した人懐っこい羊です。
下山開始。斜面が急な上に人の往来が多いので、なかなか自分のペースで歩けません。
下山途中の山の中腹付近からの眺め。途中から雲が晴れて、海が見えてきました。
本日の道のり
往復の距離は7.99km、所要時間3時間12分でした。
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