Home > アイルランドで山登り >
山頂は南北アイルランドの国境線上
[南北テイトー、シャノン川源流、アイルランド国境、アルスターフライ]
Cuilcagh Co.Cavan/Fermanagh 665m
キルカー山は県別最高峰としては唯一アイルランド共和国と北アイルランドにまたがる山です。
高さは665メートルで、キャバン州とファーマナ州の最高峰となっています。
キャバン州はアイルランド共和国、ファーマナ州は北アイルランド(イギリス領)に属します。
ブラックライオン(Blacklion)またはベルクー(Belcoo)という国境沿い町がこの山への最寄の町となります。
ブラックライオンはキャバン州、ベルクーはファーマナ州に属しますが、町と町の距離は100メートルあるかないかといったところで、ほとんど繋がっているような感じです。
他にはファーマナ州の州都エニスキレンからのアクセスも良いです。
登り方は色々とあると思いますが、山の北側からのルートが一般的なようです。(地図参照)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
歩き始めてからしばらくは所謂「農道」の上を歩きます。舗装はされていませんが、ちゃんと道だと分かる道なので迷うことはありません。
農道が終わると湿地帯に入ります。
湿地帯には道らしい道はないのですが、足場の悪いところには木道が通してあるので、安心して歩けます。
歩き始めてしばらくは、農道(砂利道)の上を歩きます。
農道が終わると湿地帯へと突入します。ぬかるんでいるところには木道が設置されています。
湿地帯を進むと緑色のメッシュが敷き詰めれているエリアに入ります。
このメッシュはこのエリアのBlanket Bog(泥炭地)を守るためと、登山者(歩行者)のための道しるべとして敷かれているそうで、メッシュの上は歩いてはいけないそうです。
登山口からこのメッシュところまでは、ほとんどアップダウンはありません。
メッシュの道が終わると斜面を登り始めます。
ひとたび稜線上に出ると再び平坦な地面が続きます。
稜線上も道は通っていませんが、道しるべが置かれているので迷わずに頂上まで歩けます。
キルカー山の稜線上の景色。
稜線上を東側にほどなく進むと山頂が見えてきます。
山頂にはケルンがあり、その上に三角点が立っています。
山頂の三角点
山頂でGPS上の地図を見ると、北アイルランド版の地図と、アイルランド共和国版の地図が混在して表示されていました。
北アイルランドの地図は「オードナンスサーベイ・北アイルランド」(Ordnance Survey Northern Ireland)が、アイルランド共和国の地図は「オードナンスサーベイ・アイルランド」(Ordnance Survey Ireland)が発行しています。
どちらも日本の国土地理院に相当する公的な測量機関ですが、北と南で母体が違うので地図の見た目も変わります。
ふもとから頂上までの距離は6.69km、所要時間は1時間35分でした。
キルカー山の頂上からの景色。
同じくキルカー山の頂上からの光景。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
キルカー山への最寄の町となるブラックライオンとベルクーはどちらもアイルランド共和国と北アイルランドのほぼ国境線上に位置しています。
このような町のことを「ボーダータウン」といってアイルランドには国境を挟んでほぼ接しあっている町がいくつかあります。
この縮尺の地図で見るとほとんど隣り合っているように見えます。(実際ほぼ隣り合っているのですが・・)
ブラックライオン側(アイルランド共和国)から見たベルクー(北アイルランド)への入り口
二つの町は隣り合っているといってもベルクー川に架かる橋で分断されていて、一つの街並みが続いたまま国境線を跨ぐとはないのですが、その距離ほんのわずかです。
国境付近の参考動画です。
こちらはブラックライオンから東に抜ける道沿いにある国境線。
道路の色が変わっているところが国境線です。手前の色の濃い方が北アイルランド、向こう側の色の薄い方がアイルランド共和国です。
ここの場合は国境線を挟んで住宅街が続いていて、お隣さん同士で違う国の国民になるというややこしそうな地域です。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
上の写真は「テイトー」というアイルランド(共和国)のポテトチップスです。
アイルランドの国民的お菓子といっていいほど親しまれているブランドで、アイルランド中どこにいっても見ることができます。
これがブラックライオンからベルクーへわずか100メートルほど移動しただけで・・
こうなってしまうのです・・
商品名は同じく「テイトー」ですが、共和国の「テイトー」とはパッケージのデザインが異なります。
単にパッケージのデザインが違うだけでなく、味もぜんぜん違います。
そもそも作っている会社も違うのです。
北アイルランドで「テイトー」といったら普通はこれになります。
北アイルランドでもテイトーはとてもポピュラーで、こちらはこちらで北アイルランドの国民的お菓子と言っていいほど人気があるのです。
国境線上の町に来た記念と、アイルランド共和国、北アイルランド両国の平和を祈ってこんな写真を撮ってみました。
右側がベルクー、左側がブラックライオンで、国境線上を跨いで立っています。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
国境線上の町に来ると携帯電話がすごいことになります。
私はアイルランド共和国のボーダフォンを使っているのですが、北アイルランドとの国境近くではイギリスのボーダフォンの電波も拾ってしまい混線模様に。
手動でキャリアを選ぼうとすると、アイルランド共和国とイギリスのボーダフォンの電波に加え、関係のないキャリアの電波も入ってきています。。
私の使っているキャリアはvodafone IE(アイルランドのボーダフォン)で、北アイルランドではvodafone UK(イギリスのボーダフォン)を使ってローミングできるのですが、国境線上では実質アイルランドのボーダフォンの電波も拾えるようになっています。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
シャノン川はアイルランド最長の川です。
シャノン川はキルカー山に端を発します。
その源流は「シャノンポット」とよばれています。
シャノン川の源流付近の地図。「Source of the Shannon」と書いてあるところが、シャノン川の源流です。
シャノンポットへの入り口
シャノンポットまで遊歩道が続いています。
この水たまりみたいのが「シャノンポット」、シャノン川の源流です。
シャノンポットから流れ出る小川。シャノン川の赤ちゃんです。
上の小川に架かる橋。シャノン川最初の橋です。
この小川が河口付近では下のようになります。
シャノン川河口ではクレア州とケリー州を行き来する定期フェリーが運行されています。
シャノン川河口をフェリーで渡ります
シャノン川の河口からリムリック市までの全長97㎞のエスチュアリー(三角江)となっています。
水深20~30メートルあるそうで、大型の船舶の往来も可能です。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
エニスキレンはファーマナ州の州都です。
大きすぎ、小さすぎずといった規模で、町中にユースホステルがあるので北アイルランドの南西部、アイルランド共和国のキャヴァン州やリートリム州の北部、ドネゴール州の南東部を旅行する時によく泊まっていました。
エニスキレンのメインストリート
メインストリートの入り口に建てられている戦没者慰霊碑。
エニスキレンのユースホステルは上の戦没者慰霊日のすぐ脇にあります。駐車場付なので便利です。バスステーションからも徒歩圏内です。ドミトリールームなら宿泊費も安いです。
ユースホステルに併設したクリントンセンター。
1987年の戦没者追悼の日 (Remembrance Sunday: 第一次・第二次大戦の戦死者を追悼する)に、この場所でIRAが仕掛けた爆弾が爆発し、追悼式典に参列していた一般市民11人が亡くなるという事件が起きました。
現在のこの建物は2002年に建てられ、北アイルランドの和平に貢献のあったビル・クリントン前大統領にちなんで「クリントン・センター」と名付けられました。
ちなみにビル・クリントン前大統領の先祖はファーマナ州の出身です。
クリントンセンターにはカフェが入っています。
ユースホステルと同じ敷地内なので、ホステルの宿泊者には便利です。
カフェで食べた北アイルランドの朝食の定番"アルスターフライ"。
アイルランドだと「アイリッシュ・ブレックファースト」と呼んでいますが北アイルランドだと「アルスターフライ」と呼ぶことが多いです。
アイルランドで出てくるのとほとんど同じですが、違うところもあります。
アルスターフライでは「ポテトブレッド」と「ソーダブレッド」が付くのが特徴です。アイルランド共和国でお馴染みのプディングは付かないことが多いです。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
ソーダブレッドはアイルランドにもありますが、北アイルランドで「ソーダブレッド」呼んでいるものはアイルランドのものとは若干異なります。
アイルランドでソーダブレッドというとこういうやつのことですが、
北アイルランドでソーダーブレッドというと、こういうもののことをソーダブレッドと呼んでいます。
同様のもののことをファール(farl)と呼ぶこともあり、イギリスやスコットランドでも食べられています。
farlとはもともとゲール語で1/4を意味する「fardel」に由来するそうです。
お店でも「ソーダ・ブレッド」として売られています。
ちなみにポテトブレッドとはこういうものです。
もっちりした感じの食感が特徴で日本人には合いそうな気がします。
エニスキレンのメインストリートにあったお肉屋さんで発見。
七面鳥!?と思ったらキジでした。
このお肉屋さんでは鹿肉も売っています。(Wild Venison=鹿肉)
北アイルランドにもダンズストア
エニスキレンは北アイルランドの町なのですが、アイルランド共和国でお馴染みのお店も普通にあります。
上はエニスキレンのダンズストア。
ちなみに南のバリュークラブカード*は使えませんでした。
*ダンズストアのポイントカード
エニスキレンのダンズストアで売られていた商品です。(お肉ばっかですが・・)
北アイルランド産であることがちゃんと明示されています。
南アイルランド産は買わないのかな?
これが南だとこうなります。(ダンズのではありませんが・・)
アイルランドの本屋のチェーン、イースンもあります。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
エニスキレンのバンク・オブ・アイルランド(アイルランド銀行)です。
バンク・オブ・アイルランドはダブリンに本店のあるアイルランド中に支店を持つアイルランド最大の銀行です。北アイルランドのエニスキレンにも支店がありました。
ATMも南アイルランドで見るのと変わりありませんが・・・
出てくるのはポンド札になります。しかもバンクオブアイルランド独自の紙幣です。
こちらもエニスキレンのメインストリート沿いにある銀行です。
この銀行は南ではAIBとして知られています。
こちらは南のAIB銀行。
北のATMもAIB銀行と同じくバンクリンク(BANKLINK)なのですが、
こちらはエニスキレンのJK。
別に隠し撮りをしたとかではなく、普段買い物に行くリムリックで見る制服と全然違っていて、北と南でこうも違うものかとプチカルチャーショック。
リムリックに居る知人に見せようと思って撮ってみました。。
ちなみにこちらがリムリックのJK。
リムリックで制服といえばこれが標準です。
これはこれで初めて見たときはびっくりしたものです。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
再びキャヴァン州に戻って、
ここはキャヴァン州の「バージニア」という町です。
アメリカのバージニア州と同じ綴りです。
バージニアのメインストリート
バージニアは特にこれといったものは何もありませんが、伝統音楽好きには嬉しい名前のお店があります。
バージニアのメインストリートにある「ザ・メイソンズ・エプロン(The Mason's Apron)」という名前のレストランです。
ここでバージニアリールとメイソンズエイプロンをセットで弾くとウケるかも!?