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Mount Errigal Co. Donegal 751m
[南北アイルランドの国境に跨る村、ケッシュ村、ベリーク etc]
エリガル山(Mount Errigal)はアイルランド最北のドニゴール州*の最高峰です。
美しいシルエットが特徴の標高751メートルの山です。
*ドネゴール州とも
エリガル山付近にはアイルランド最大の国立公園「グレンヴェー国立公園」や、ダンルーイー湖など多くの見所があります。
アイルランド語で「止まれ」の意味の道路標示。
エリガル山の周辺はアイルランド語を日常的に使っている「ゲールタハト(Gaeltacht)」という地域なので、道路表示もアイルランド語で書かれています。
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エリガル山に登る時は、地図には載っていないのですが、麓に登山者用の駐車場があるので、駐車場まで車で来てそこから登り始めるのが一番分かりやすいと思います。
山に登る前にダンルーイーのコンビニで補給。
ゲールタハトなので、お店の名前もアイルランド語表記になっています。
siopaはアイルランド語でshop=お店の意です。
エリガル山登山者用の駐車場の前の道路からグレンヴェー国立公園方面を望む。この荒野感(?)がドニゴールらしさの一つだと個人的に思っています。
歩きはじめは泥炭質な柔らかい地面の上を歩きます。
特に道らしい道はないのですが、随所にケルンや道しるべが置かれているので、道がなくても困ることはありません。
こんな道しるべが立てられているところもあります。
山の中腹付近から岩が多くなってきます。
ひとたび尾根上に出ると、辺り一面遮るものがないので、360度に渡って素晴らしい景色を眺めることができます。
山の北側にはドニゴールを代表する伝統音楽のグループ「アルタン」のバンド名の元になった「アルタン湖」を見ることができます。
頂上の手前の尾根道は幅が狭いのでスリルがあります。
頂上へと至る最後の細い尾根道。雲に覆われると何だか凄い所に来たように見えます。
エリガル山の頂上からのダンルーイー湖の眺め。
エリガル山頂から眺めたダンルーイーの教会
山頂からのアルタン湖の眺め。
本日の歩行ルート。遠回りしている方が行きに通ったルートで、こちらがガイドブック推奨のルート。帰りはショートカットして下りてきました。
往復の距離5.47km、所要時間2時間38分でした。
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エリガルを登り終えた後はドニゴール州の東側にある「ペティゴ(ペッティゴー)」という村に行ってみました。
ペティゴ(ペッティゴー)はアイルランド共和国と北アイルランドの国境線上にある村です。
ペティゴ(ペッティゴー)のメインストリート
ペティゴ(ペッティゴー)は一つの村*でありながら、村の中にアイルランド共和国と北アイルランドの国境があります。
*厳密には北アイルランド側は「タリーホモン(Tullyhommon)」という村になるのですが、現地の人の間では「ハイストリート」と呼んでいるそうです。
ちなみに北アイルランド側の人口は81人だそうです。(南側は600人)
村の中を流れるターモン川(Termon River)。この川が国境線となっています。
ターモン川に架かる橋。道路の色が変わるところが国境線です。
手前が北アイルランド、向かい側がアイルランド共和国です。
国境を跨いで立ってみました。
村の中心部(アイルランド共和国側)に立っている像。独立戦争で戦死した兵士を弔うために建てられたようです。
戦死した4人の名前が刻まれています。全員アイルランド共和国軍の兵士です。この村では1922年の5月から6月にかけて大規模な戦闘があったそうです。
像の台座にはアルスターの象徴である"レッドハンド"も刻まれていました。
メインストリートにあるパブ「ペティゴ(ペッティゴー)イン」。
B&Bも兼ねているようです。
スミディクス¹とハープ²の看板と合わせて、テネンツ³の看板が掲げられているのを見ると、ここがアルスターであることを実感させてくれます。
¹日本でキルケニーという名前で売られている赤い色のビール(エール)の現地名。
²ギネスが販売するラガービール
³テネンツ(Tennet's)はスコットランドのビールメーカーで、北アイルランドでもよく飲まれています。アイルランド共和国ではスーパーや酒屋さんには置いてあっても、パブで見ることは滅多にありません。この写真の右上の赤い「T」がテネンツの看板です。
ペティゴ(ペッティゴー)の村の中心部のコンビニ。お店の名前がナイス。
隣は郵便局です。
これは同じ村の北アイルランド側にある郵便ポスト。上の郵便局で買った切手を貼った手紙を投函しても届けてくれないはず。(同じ村なのに!)
バス停は北アイルランド側にあります。停まるバスも北アイルランドのバス会社「アルスター・バス」だけのようです*。
*アイルランド共和国のバス会社「バスエーラン」もペティゴ(ペッティゴー)を停まるルートを運行していますが、ダーグ湖*行きのみで、金曜日から月曜日まで一日に2本の運行では日常の足としては使えません。
*クレア州、ティペラリー州に面しているダーグ湖ではなく、ドネゴールにあるダーグ湖です。聖パトリックと関係のある湖で、巡礼の地として知られています。
北アイルランド側の教会。宗派はもちろんプロテスタント。
北アイルランド側から眺めたアイルランド共和国側の教会。
あちらはカトリックになります。
ペティゴ(ペッティゴー)(北アイルランド側)の電話ボックス。
当然イギリスのBTの電話ボックスになります。
50メートル先のアイルランド共和国側に家に電話を掛けるとしても、国際通話扱いになります。
手前が北アイルランド、向こう側がアイルランド共和国です。
上の写真と逆方向から見るとこんな感じ。
手前がアイルランド共和国、向こう側北アイルランドです。その距離40メートルくらい。
油圧関係のお仕事をされている方の車です。
ナンバープレートはドニゴールナンバー*なので、アイルランド共和国側の方だと思われます。
車の後ドアにはアイルランド共和国の携帯の番号と北アイルランド(イギリス)の携帯電話の番号が書かれています。(086~が共和国、0044~は北)
国境線上の村で仕事をするとなると、どっちの国の番号もないと仕事に差し障りがあるんでしょうね。
*アイルランドの車のナンバープレートは日本の車と同じように、その車がどこの地域で登録されたのが分かるようになっています。
ダブリン、ゴールウェイ、コーク、ウォーターフォード、リムリック、ティペラリー以外の州は州の始めの文字と終わりの文字の2文字で州を表します。ドネゴールならDで始まりLで終わる(DONEGAL)ので「DL」になります。クレアならCで始まりEで終わる(CLARE)ので「CE」ナンバーになります。
ペティゴ(ペッティゴー)のガソリンスタンド。
基本的にこの村で買い物や食事の出来るところは、アイルランド共和国側に限られるようです。
村のメインストリートの壁に埋め込まれていたプレート。
この村出身のモヤ・ドハーティのことが紹介されています。
モヤ・ドハーティはアイリッシュダンスを世界的に有名にしたダンスショー「リバーダンス」をプロデュースした人です。
国境の村に来たら、これをやらないわけにはいきません。
というわけでここペティゴ(ペッティゴー)でもいつものをやってみました。
他の場所のはこの辺をご覧ください。
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国境線上の村ペティゴ(ペッティゴー)を後に次に向かったのは「ケッシュ」という名前の町。
アイルランド伝統音楽が好きな人、演奏をする人なら「ケッシュ」と聞いて知らない人はいないんじゃないかというほど、この名前は伝統音楽の世界では知れ渡っています。
ケッシュの町の入り口
ケッシュの町の中心部。北アイルランド(イギリス)の町なので、イギリスの国旗が掲げられています。
ケッシュの郵便局で売っていたアイリッシュ音楽好きに喜ばれそうなクリスマスカード。
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ケッシュの次の向かった先は高級な陶磁器のメーカー名としても知られる「ベリーク」の町に行ってみました。
ベリークも先ほどのペティゴ(ペッティゴー)と同じくアイルランド共和国と北アイルランドの国境に跨るボーダータウンです。
ペティゴ(ペッティゴー)は経済上の中心はアイルランド共和国側にありましたが、ベリークはその逆で北アイルランド側が経済上の中心となります。
町の入り口近くの北アイルランド側のガソリンスタンド。
このガソリンスタンドの目と鼻の先に、もう一軒ガソリンスタンドがあるのですが、そのガソリンスタンドのある場所はアイルランド共和国になります。
画像をクリックして拡大すると共和国側のガソリンスタンドの看板が見えると思います。
アイルランド共和国側のガソリンスタンド。
ようこそドニゴールへと書いてあります。
ガソリンの値段がユーロとスターリング(イギリスポンド)の両方で表示されています。国境近くの町のお店では大抵ユーロとポンドのどちらでも支払いが可能です。
ベリークのバス停。この町はバスエーラン(アイルランド共和国のバス会社)とアルスターバス(北アイルランドのバス会社)のどちらも停車するので、北と南が仲良く肩を並べています。
右上の立派な建物が陶器メーカー「ベリーク」の本社工場。
手前に見える橋の上に国境があります。
色の変わって見える所が国境です。
右側がアイルランド共和国、左側が北アイルランドです。
国境を跨いで立ってみました。
ベリークのメインストリート。こじんまりとした感じのいい町です。
メインストリートにあったアイルランド銀行。
ATMもありますが北アイルランドなのでポンド札で出てきます。
アイルランド銀行の他にファーストトラスト銀行もありました。
ファーストトラスト銀行はAIB銀行の北アイルランドバージョンです。
食料品を扱うお店はセントラ(Centra)が一軒。セントラはアイルランド共和国に本店がある食料品店です。ダブリンなどではコンビニ的な店舗が多いですが、地方だとスーパーマーケットに近い規模の店舗もあります。
ベリークにあったお土産屋さん。北アイルランドのお店ですが、アイルランド共和国の国旗があったりと、アイルランド的なものが多いです。ユーロフレンドリー(ユーロで支払える)のも南から来た観光客には有難いですね。
ベリークにはメインとなる橋と並行して変わった橋が架かっています。
人が一人歩いて通れるだけの細い橋です。
どこにも渡っちゃいけないとも何にも書いていなかったので、渡ってみました。すると渡った先で見たものは・・
燃やした後の爆竹の束がありました。
どうやらこの橋の袂はこの近所の不良のたまり場になっているようです。
商品名の「バッド・ボーイ」っていうのがウケるんですが・・
パッケージのイラストもグッドですね。
国境の町に来たら当然これですよね。
ただしこの町ではwith人間バージョンが撮れませんでした・・
けっこう交通量が多くて三脚の置き場を確保しにくいんです・・
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ベリークの近くにはモハーの断崖ならぬ、マホの断崖(Magho Cliffs)という崖があります。
高さは海抜300メートル。海抜で言えばこちらの方がモハーの断崖よりも高いです。モハーの断崖が海に面しているの対し、マホの断崖は湖に面しています。
崖の上の見晴らし台(ビューポイント)に設置してある説明板。
マホの断崖からの眺め。前に広がる湖は「アーン湖(Lough Erne)」です。
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一日たっぷりと遊んだ後は今日の宿泊地ドニゴール州のキリーベグス(Killybegs)へと向かいます。
キリーベグスに向かう途中で通ったバリーシャノン(Ballyshannon)のアーン川に架かる橋。私好みの橋だったので車から降りてちょっと見学。
上が車用、下が歩行者用と2段に分かれているモダンな橋です。
ホステルの受付。
入り口と受付が1階にあって客室は下の階にあります。
ずいぶんと変わった造りだなと思って、ホステルの受付の人に尋ねるとなんとこのホステル、もともと映画館だった建物を改装してホステルにしたんだそうです。上の写真で一番下がった所にスクリーンがあったそうです。
ホステルのキッチンと食堂。広々として使いやすかったです。
食堂には赤ちゃん用のシートもあって、ホステルといってもファミリーでの宿泊もOKそうです。
コーヒー、紅茶、シリアル、牛乳、ジュース、ジャム、バターなどは自由に使ってOK。
11月の閑散期とあって宿泊客は我々だけ(今回は2人旅)。2人でファミリールームに泊まりました。
バスルームは湯舟こそないもののバイアフリーになっていて、お年寄りや車いすの方でも使いやすいようになっていました。
夕飯と明日の朝の食材を調達に町に出ると辺りは既に真っ暗。
一日中遊びまわって疲れていたので外食にしました。
フィッシュアンドチップスのレストランに入ってみました。
ここのフィッシュアンドチップスは最高に美味かったです。私がアイルランドで食べたフィッシュアンドチップスの中でベスト3に入る美味さです。
翌日の食材を調達にキリーベグスのスーパーバリューに行ったら柿を発見。
以外とアイルランドでは見る機会の少ない果物です。
シャロン・フルーツ(Sharon Fruit)という名前で売られていました。
同じくスーパーバリューにあったシャワークリーム(日本のボディソープに相当)
「Japanese Spa」と書いてあるので、日本の温泉風の香りでもするのでしょうか?
翌日はヨーロッパで一番高い崖、スリーヴ・リーグを登ってみました。
スリーヴ・リーグ登山の模様はこちらをご覧ください。