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ダウン州 - 850m
Slieve Donard Co. Down 850m
スリーヴ・ドナード(Slieve Donard)はモーン山地(Mourne Mountains)の最高峰の山で、ダウン州の最高峰であると同時にアルスター地方の最高峰、そしてイギリス領北アイルランドの最高峰でもあります。
スリーヴ・ドナードは海岸線から3kmに位置します。ふもとにはダウン州の海沿いのリゾート地ニューカッスル(Newcastle)があります。
町の中心から登山口まで徒歩で行けるので手軽に登ることができます。
代表的な登山口はドナード・フォレスト(Dornard Forest)とブラッディー・ブリッジ(Bloody Bridge)の2カ所で、ニューカッスルからだとドナード・フォレストの方がアクセスが良いです。
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・スリーヴ・ドナード登山 - ドナードフォレスト・ルート編
・スリーヴ・ドナード登山 - ブラッディー・ブリッジ・ルート編
・ベルファスト市民の水がめ - サイレントバレー
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スリーヴ・ドナードの登山口ドナードフォレスト入り口。
登り始めてしばらくは森の中を歩いていきます。
途中沢が流れているところがあったり、
こんな"ナメ滝"もあります。
森を抜けると一転して辺りが開け、ヒースが生い茂る草原地帯へと変わります。
途中、川沿いにある変わった形の建物が目に入ってきます。
この建物は「アイスハウス(Ice House)」といって、冷蔵庫がなかった19世紀に建てられた冷蔵施設だそうです。
自然の力を利用して氷を作っていたそうです。
アイスハウスの解説板。
ヒースの草原を抜けた辺りから傾斜がキツくなり、一気にモーン山地の尾根へと登ります。
モーン山地の尾根に出る斜面の途中からニューカッスル方面を望む
尾根に出るとモーン・ウォール(Mourne Wall)と呼ばれる石壁が現れます。
モーンウォールは「アイルランドの長城」と呼ばれることもあります。
モーンウォールは全長35kmに及ぶ石壁で、1904年から1922年にかけてベルファストの水道局によって取水事業の一環として造られたそうです。
壁の高さは、だいたい人の背丈くらい。
モーンウォールはスリーヴ・ドナード山頂まで通じているので、尾根に出たら石壁伝いに歩きます。
歩こうと思えば壁の上を歩いて登ることもできます。
スリーヴ・ドナードの山頂。三角点は石造りの塔の上に建てられています。
スリーヴ・ドナード山頂で記念撮影
山頂からの眺め
麓から山頂までの距離4.97km、所要時間1時間30分でした。
本日歩いたルート
往復の距離10.11km、所要時間2時間54分でした。
スリーヴ・ドナードに登るもう一つのポピュラーなルートがブラッディー・ブリッジから登るルートです。
このルートの一番の見どころは途中にある石切り場です。地図上で「Crannoge」と書いてあるエリアには、かつて大きな採石場があり、そこで切り出された石は北アイルランドの代表的な建造物を建てるのに使われたそうです。北アイルランドの国会議事堂「Stormont」にもここから切り出された石が使われているそうです。
これがブラッディブリッジ。血の橋なんて随分と怖い名前なので、なぜこういう名前になったのか調べてみたのですが、何の情報も出てきませんでした・・
ブラッディブリッジはナショナルトラストによって管理されています。
歩きはじめはまず整備された登山道の上を歩きます。
随所に道しるべがあるので安心です
ここがスリーヴ・ドナードへ向かう途中にある採石場跡です。
採石場としてはかなりの広さなので、じっくり探検しようとなると山に登る時間がなくなってしまうので、今回はざっと見学してスリーヴ・ドナードへと向かいました。
高台から見下ろした採石場跡。石を運ぶために使ったトロッコ電車のレールも残っているそうで、廃墟好きにはたまらない場所だと思います。
いつかじっくりと探検に来てみたいです。
採石場跡を過ぎてしばらく行くとモーン・ウォールに行きつきます。
後はモーン・ウォール伝いに歩けばスリーヴ・ドナード山頂に着きます。
スリーヴ・ドナード山頂まではけっこう傾斜がキツいです。
地面は泥炭質で、でこぼこしているので歩きにくいです。
壁の上の方が楽に歩けます。
ほどなくして山頂に到着
山頂からの眺め。この日はガスが掛かっていて眺望が良くなかったのが残念。
ここまでの道のり
登山口から山頂までの距離約5.05km、所要時間2時間5分でした。
思いの他時間がかかっているのは採石場跡で油を売っていたから。(笑)
山頂の三角点が置かれている塔は、中に入れるようになっています。
なんかあった時にビバークできて良さそうですが、正直昼間でも中に入るには勇気が入りそうな感じです。(この山で亡くなった人かどうか分かりませんが、亡くなった人を弔うために使うもの?みたいなのとか、宗教的なものとかが中に入っているのが見えるんで、正直覗いてみる気にもなりません。)
本日歩いたルート
往復の移動距離は10.47km、所要時間3時間54分でした。
この日の宿泊地はモーン山地の南側の海岸線沿いのキルキールという町。
山に登って疲れて自炊する気にならないので、中華料理のテイクアウトで済ませました。
キルキールの町の中国料理レストランの名前は「Goden Seaside」、黄金の海岸線だそうです。
私にとってのアイルランド旅行の楽しみの一つになっているのが実はチャイニーズテイクアウェイ店巡りだったりするのです。
なんたって面白いネーミングの店がたくさんありますからね。
そのうちこのサイトに専用ページを作ろうかなと思ったりすることもあります。
この日注文したもの。左上からフライドライス、春巻き、ワンタンスープにカレーでした。
スリーヴ・ドナードに登った翌日はサイレント・バレー*というダム湖に行ってみました。
サイレント・バレーは北アイルランドの首都ベルファストへ水を供給するための貯水池として使われている人工の湖です。
*サイレント・ヴァレー、サイレント・ヴァリーとも
ハイキング客や登山客に人気のあるホステルらしいのですが、私が泊まったのはオフシーズンの12月。
宿泊客は私だけで、閑散期は人が常駐していないらしく、予約したら約束した時間にオーナーと思われる人が車でやってきて、色々と宿の設備の使い方を説明してくれてまた帰っていってしまいました。
料金は先払いでチェックアウトする時は鍵をポストの中に入れていくというアナログ式なセルフチェックアウト。
広いホステルを1人で使い放題使えるとわくわくしていたのですが、なんと・・
ホステルのオーナーさんがボイラーのスイッチを入れていかなったようで、お湯が出せません。
つまりシャワーを浴びれないし、キッチンでも蛇口からはお湯を出せません。
ボイラーは暖房にも使われるので、ボイラーのスイッチが入っていないということは暖房も入りません。
自分でボイラー室に入ってスイッチを入れようと思ったのですが、鍵がかかっていては入れません。
オーナーさんに連絡を取ろうにも、ホステルの代表番号しか知らないので、電話しても電話を取れる人は私しかいません・・
幸い電気は使えたので、キッチンのケトルでお湯を沸かすことができましたが、結局風呂には入れず、夜も暖房の効いていない寒い部屋で夜を明かしました・・・
色々とあったけど翌日無事にサイレント・ヴァリーへ
ここがサイレントバレーのダム湖
サイレントバレーのダム穴。貯水量が多い時は迫力のある「ダム穴」になるようです。私がここに来てみたくなったのも、ここのダム穴が豪快に水を飲みこんでいく所を写した写真を見たのがきっかけでした。
この日は貯水量が少なかったようでダム穴になっていなくて残念。
ダム湖畔にはビジターセンターがあり、ダム湖が出来るまでの様子や、この周辺の水道の仕組みなどについての色々と展示されています。
ビジターセンター内の水についての学習コーナー
サイレントバレーがダム湖になる前の様子。水が全然ない!
現在の様子。
サイレント・バレーを上から見るとこんな風に見えます。
モーン山地のスリーヴビニアンという山に登るとよく見ることができます。
スリーヴ・ビニアンへの登山の話は別のページ に書いていますので、そちらをご覧ください。
・巨大岩、怪石の宝庫、サイレントバレーのスリーヴ・ビニアン登頂