アイルランドの守護神"セントパトリック"ゆかりの地
Traveling in Ireland - Co. Down
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ニューカッスルのユースホステルは国際ユースホステル協会に加盟しているユースホステルです。
ニューカッスルのホステルの内部。
左上から時計回りに、受付、リビングルーム、トイレ&シャワー室それとキッチンです。
作りがやや古いですが、普通に使いやすいホステルでした。
部屋は6ベッドのドミトリールーム。
5月の中旬とあって、泊まっているのは私一人だけでした。
旅の始まりの前にまず向かった先は、
銀行です。
お金を降ろさないと。いくらカード社会とは言えポンドが一銭もないとまずいので・・
ちなみに上の写真の銀行はニューカッスルのファーストトラスト銀行。
どこからどうみてもAIB*なんですけど、北では店の名前が変わります。
ATMの見た目も操作方法も全く一緒ですが、出てくるお札は北アイルランド独自のポンド札です。
*南の銀行。店構えがどこからどうみてもファーストトラスト銀行と同じような感じなのです。
北と南の銀行の違いはこちらの記事でも取り上げています。
アイルランドで山登り - ファーマナ州(北)/キャバン州(南)の最高峰 キルカー山
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今回は
登ってみたい山がいくつかあるので、登れる限り登ってみる。
前回の旅でダウン州には、巨大なドルメンや立石などの遺跡が多数あることを知ったので、それらを見に行ってみる。
聖パトリックの伝説が残る遺跡やら教会やらがあるということなので、それらも回ってみる。
と、この3つを目標に掲げていたので、
まず初日は雲行きが怪しかったので、山登りはやめて石探しに出かけました。
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まず最初に訪れたのはゴワード・ドルメン(Goward Dolmen)というドルメン。
フィンズ・フィンガー(Finn's Finger)とかパット・カーニーの大きな石(Pat Kearney's Big Stone)といった別名もあるようですが、地図にはゴワード・ドルメンとして載っています。
フィンズ・フィンガーの"フィン"は伝説の巨人フィン・マックールのことだそうです。
フィン・マックールの指くらいの大きさといっても、私の背丈よりはるかにでかい!!
ドルメンの傍らには何やら古そうな石がごろごろしています。
もともとここにあった古墳の残骸らしいです。(古墳の石室の部分がドルメン)
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ゴワードのドルメンの次に訪れたのはドルメナ・キャッシェル(Drumena Cashel)という石造りの砦。
ストーン・サークルではなくストーン・フォート(Stone Fort)というものになるそうです。
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続いて訪れたのは有名なレガナニーのドルメン(Legannany Dolmen)
この辺じゃクレアのプルーナブローン・ドルメンよりも有名かも
5千年くらい前に作られたものらしいです。
先ほどのゴワード・ドルメンほどではありませんが、私の背丈よりも高いです。
レガナニードルメンが模られたドルメンの向かいのお宅の牧場の門です。
レガナニードルメンの近くにあった納屋(?)のような建物。
中にはニワトリがたくさん居ました。アイルランド版養鶏場(!?)
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ドナモアのハイクロス
続いて訪れたのがドナモアのハイクロス(Donaghmore High Cross)。
9~10世紀頃のハイクロスだそうです。
アダムとイヴ、モーセとダビデが刻まれているそうです。(他にもありそうだけど判別不可能?)
ドナモアのハイクロスのある教会の近くにあった廃校になった建物。
アイルランドでは元校舎だった建物、元駅舎だった建物をよく見かけます。
完全に廃墟と化しているものもあれば、住居やお店として使われていたりするものもあって、廃校、廃駅舎巡りの旅もなかなか面白いです。
このサイトでも廃校、廃駅舎特集ページを作る予定ですので乞うご期待!
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人の背丈よりも高いスタンディングストーン(立石)が多くあるダウン州
再びニューカッスル方面へ戻ります。
これはその途中にあったクロバーン(またはクロベーン)の立石。(Crobane Standing Stone)
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これはアナロングという所にあるロングストーン。後ろに見えるのはモーン山地です。
人の背丈と比べるとこんな感じ。先に出てきた立石よりやや低いくらいでしょうか。
石を探して車を走らせていた時に見つけました。
知らない人にとってはただの赤と黒に塗り分けられた塀ですが、このカラーはダウン州のGAAカラーなんです。
GAAとはゲーリック・アスレティック・アソシエーション(Gaelic Athletic Association)の略で、日本ではゲーリック体育協会と紹介されています。
GAAはゲーリック・フットボールやアイルランドの国技と言われるハーリングといったアイルランドの伝統的なスポーツの統括と普及を目的とした団体です。
アイルランド全ての県に支部があり、それぞれの県のユニフォームというのが定められています。
そのユニフォームのカラーというのが、ダウン州の場合は赤黒なんです。
GAAのスポーツのチームは北アイルランドの各州にありますが、アイルランドの伝統スポーツをやるの普通はカトリックです。プロテスタントの選手というのは滅多に聞いたことがありません。
つまりこの塀があるところはカトリックの居住区ということになるわけです。
こちらはキルキールの町の中心部。
ユニオンジャックの旗が掲げられているので、ここはプロテスタントの居住区ということになります。
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さてニューカッスルの町に戻って、それから向かった先は「マハラ」というところにある教会とラウンドタワー。
ここダウン州で初めてマハラ(Maghera)という地名を見たときはびっくりしてしまいました。
なぜって全く同じ地名が私の住むフィークルの近くにもあるからなんです。
アイルランドの中で同じ地名は別に珍しくもないのですが、「マハラ」はフィークル付近だと特別な地域だけに、ダウン州でもマハラを見たら行かないわけにいかないのです。
これがマハラの教会。
ちなみにこれは現役の教会で、実はこの裏に古い崩れ落ちた教会の跡地があって、そっちの方が見る価値のあるものだったのですが、見てくるのを忘れてしまいました・・
こちらはマハラのラウンドタワー。
残念ながら根本の方しか残っていません・・
マハラの教会とラウンドタワーの説明板。
ちゃんと古い教会のことも書いてあったのに、よく読んでいませんでした・・
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この日のディナーはニューカッスルの中華テイクアウト店「北京コーナー(Peking Corner)」で調達。
北京がベイジン(Beijing)ではなくペキン(Peking)と綴るのが珍しいかも。
アイルランドのチャイニーズテイクアウェイ店によくあるあるの店構え。
調理場の様子が全く見えないのです。カウンターには受付のお姉さん、大抵は地元のお姉ちゃんが一人で番をしていて、オーダーを取ったら調理場に伝えます。メニューのほとんどは調理済みでオーダーが来たらざっと温めなおすだけで出すので、待たされることはほとんどありません。
夕食後は近くのパブに行ってみました。
アイルランド共和国産のビールなのに、なぜか共和国よりも北アイルランドの方でよく消費されている「ハープ」というラガービールを飲んでみました。
ハープはダンドークで製造されているアイルランドのラガービールで、ギネスが販売元になっています。
アイルランド共和国のパブやスーパーでも見ますが、南の人はあまり飲まないらしいです。クレア辺りだとラガーといえばハイネケンとかカールスバーグがポピュラーな印象があります。
恐らく上の3つのブランドが、北アイルランドで人気のビールの御三家だと思います。
ギネスとハープは南でも見ますが、黄色地に赤のTのマークのビールは南では滅多に見ません。これはテネンツというスコットランドのビールの会社で、スコットランドでは超ポピュラーだそうです。本国スコットランドではスタウトやエールも出しているそうですが、北アイルランドで見るのはラガーだけです。
ラガーのブランドとしてはハープと人気を二分しているメーカーです。
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翌日はまず朝一でサイレントバレー*のスリーヴ・ビニアンに登りました。
天気は今一つ・・
どうも私はここモーン山地では天気に見放されているようです。
スリーヴ・ビニアンはサイレントバレーの貯水池のすぐ脇に聳える747メートルの山です。
ガイドブックによるとアナロングの森や、古い石切り場の跡などが見どころとのことですが、私は山の頂上にあるという怪しげな岩を見てみたいのと、サイレントバレーの貯水池をから眺めてみたかったのが、この山に登ろうと思った理由です。
歩き始めて山並みを見てびっくり!
山の頂上まで燃えた痕が・・
この年は春先に南北アイルランドのあちこちの山で山火事が発生して、特にモーン山地はひどかったと聞いていたのですが、ここまで酷いとは思っていなかったのでびっくりしました。
ほとんど禿山状態の山を歩いていきます。
アイルランドで山火事と聞いてもピンと来ない人も居ると思いますが、アイルランドやイギリスでも山火事ってあるんです。
多いのが春先の4~5月にかけてで、アイルランドでは大半の山火事は「ゴース・ファイヤ(gorse fire)」と呼ぶ火事であることが多いです。
ゴースとはハリエニシダという植物で、これが原因となって引き起こされる山火事が多いとのことです。
ハリエニシダとはこういう植物です。
年中見る植物ですが花が一番咲き誇るのは春先から初夏にかけてだと思います。
アイルランドの春から夏にかけては山の中でよく見ます。
ちなみにこいつは登山客の敵です。
名の通りハリというかトゲがあって、登山道の整備されていないアイルランドだとこいつに行方を阻まれることがよくあるんです。
いっそ燃えてなくなっちまえと思ったことは何度もあります。
有名なアナロングの森もご覧の有様です。
ゴースファイヤとはハリエニシダが自然発火して起こるのかどうかはよくは分かりません。
この年に起こった山火事は放火の可能性もあると言っていました。
また日本でも野焼きの習慣がありますが、アイルランドでも春先に農家さんがハリエニシダを焼く習慣があります。
ハリエニシダは放牧で野山を歩く農家さんにとっても好ましくない植物なのです。時に農家さんが焼いていたハリエニシダの火が燃え広がって大規模な山火事に発展することもあります。
途中からモーンウォールに合流して、壁伝いに歩きます。
この辺りのモーンウォールは作りが華奢です。
途中の写真は割愛して、いきなり頂上です。
サイレントバレーをスリーヴ・ビニアン山頂から見るとこんな風に見えます。
ここまでの距離3.94km、所要時間1時間18分でした。Time of Day(現在時刻)が7:59となっているのは午前7:59分のことです。早起きして歩いてきたんです。
スリーヴ・ビニアン山頂には不思議な形をした岩がいっぱいです。
どれも人の背丈に比べたらずっと大きいものばかりです。
こんなのがあります。
形の不思議さで言えばジャイアンツ・コーズウェイに負けていないような気がします。
スリーヴ・ビニアンから見たスリーヴ・ドナードです。
ズームして見てみます。
山肌見える縦筋はモーンウォールです。
前にブラッディブリッジからのルートで登ったときに、このモーンウォールに沿って歩きました。
こうやってみると結構傾斜がキツそうですよね。
スリーヴ・ドナードの山肌も燃えた痕があるので、この辺も山火事があったみたいです。
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足元にナメクジが居るのを発見。
アイルランドのナメクジってグロいので、画像縮小して載せました。クリックするとでかくなります。塩を振ると小さくなります(笑)
フィークルの家では良き相棒でもあり、敵でもあります。
家の生ごみ処理係です。
鉢植えの花を食べようものなら、塩を振って追い返します。
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スリーヴ・ビニアンを登り終えた後はダウン州の州都であるダウンパトリックへと向かいます。
ダウン州にはアイルランドの守護聖人である聖パトリックゆかりの地が多くあります。
そんな聖パトリックゆかりの地を訪ね歩く「聖パトリック・トレイル」というコースもあります。
ニューカッスルの町を出る時に見かけたバス停。
現役のバス停なのか、昔のやつが残っているだけなのか分かりませんが、時刻表も行先も何も書いてない、石造りのバス停です。
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ダウンパトリックといえば聖パトリックのお膝元。
町の中心部には聖パトリックセンターという立派な観光施設があります。
聖パトリックセンターの中。聖パトリックに関係した色々な展示があります。
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これはダウンパトリックのランドマークにもなっている「ダウン大聖堂(Down Cathedral)」。
チャーチオブアイルランドの教会、すなわちプロテスタントの教会です。
この教会には聖パトリックのお墓があります。
これが聖パトリックの墓石です。
聖パトリックはこの下に埋葬されています。
聖パトリックについての解説板。
毎年パトリックスデーの日(3月17日 = 聖パトリックの命日)には各地から多くの参拝者が訪れるそうです。
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聖パトリックとは全然関係がないのですが、ダウンパトリックの公共のトイレのドアにこんなものが貼ってありました。
うーん、すごいストレートな感じがするんですが・・
他のはしちゃいけないのかな?
ちなみにこれは公共トイレと同じ敷地の公共の駐車場に停めてあった車についていたGAA応援グッズ。こういうのは北に来ても共通のようです。
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ここはダウンパトリックのお隣のソール(Saul)という村にあるスリーヴ・パトリック(Slieve Patrick)という丘です。
スリーヴ・パトリック(Slieve Patrick) = パトリックの山という意味です。
ちなみにここの地名をゲール語で綴るとSabhall Phádraig(ソール・ぽーどリック=パトリックの納屋)となります。
ソールは聖パトリックがキリスト教の布教にアイルランドに再上陸した後に最初に教会を立てた場所とされています。
この像は1932年に聖パトリックのアイルランド上陸1500年を記念して建立されました。
この教会はソール村のシンボルともいえる聖パトリック・メモリアル教会という教会。
ここはアイルランドに上陸した聖パトリックが最初に教会を建てた所なのです。
現在の教会の建物は上の聖パトリックの像と同じく聖パトリックの上陸1500年を記念して1932年に10世紀のケルト教会を模して建てられたそうです。
ちなみにこの教会もチャーチオブアイルランド(アイルランド国教会)の教会なので、プロテスタントの教会になります。
同じ村の別の場所にはカトリックの教会もあります。
アイルランドのキリスト教はややこしくて、アイルランド国教会(Church of Ireland)は「アイルランドの国の教会」といいますが、基本的にはイギリス国教会の流れを汲むので宗派としてはプロテスタントになります。
プロテスタントではあるのですが、アイルランド国教会の守護聖人はやはり聖パトリックということで、北アイルランドにはカトリックの「聖パトリック教会」とプロテスタントの「聖パトリック教会」の2つの「聖パトリック教会」がある町や村があります。
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ここはソールの村の東にあるストラングフォードという所。
聖パトリックが最初にアイルランドに上陸した所がここら辺だったらしいです。
入り江の対岸はポーターフェリー(Portaferry)という町で、フェリーで渡ることが出来ます。
アイルランドにはこの手の渡し舟が出ているところが多いですね。クレア-ケリー間、ウォーターフォード-ウェックスフォード間、ドネゴール-デリー間などにもフェリーで行き来できるところがあります。
ポーターフェリーのフィドラーズ・グリーンというパブ。
セッションもやっているそうです。
ちなみに木曜日はテーブルクイズ*の日だそうです。
*アイルランドのパブでよくやっているクイズ大会。テーブルことにチームを分けて、パブのオーナーだったり地元の名物親父みたいのが出すクイズに答えます。
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