ヴァイオリンが使われる世界の様々な音楽
フィドル = ヴァイオリンの俗称ですが、厳密に言えばこれが「フィドル」というのは存在しません。
フィドルとは広義には弓で弾く弦楽器全体を指すので、中国の二胡やモンゴルの馬頭琴もフィドルといえばフィドルなのです。
アイルランドの音楽で使われているフィドルはバイオリンと全く同じものですが、北欧のノルウェーやスウェーデンではヴァイオリンとは異なる「弓で弾かれる弦楽器」が使われていて、これらも広義には「フィドル」の仲間になります。
演奏法に関していえば、フィドルはアメリカのカントリー音楽でも使われていますが、アイルランドの音楽のフィドルの奏法とは全然違うし、カナダの音楽でもフィドルが使われていますがアメリカやアイルランドのフィドルの奏法とは異なります。
なので単にフィドルといっても「これがフィドルです」という楽器もなければ「これがフィドルの演奏法です」とはっきりと言えるものは何もないのです。
このページではフィドル(ヴァイオリン)が使われた世界の様々な音楽を紹介しています。
アイリッシュ・フィドルはアイルランドの伝統音楽で演奏されているフィドルです。
アイルランドの音楽で使われているフィドルは基本的にヴァイオリンとまったく同じものです。
演奏される音楽は基本的にアイルランドの伝統音楽です。
このホームページを作っている私「Taka」が弾いているのがこの音楽です。
当ホームページにはアイリッシュ・フィドルに関する情報が多く載っています。
アイリッシュ・フィドルについては以下のページもご覧ください。
■ フィドル奏者名鑑
下はアイリッシュ・フィドルの演奏の参考動画です。
フィドルはアイルランドのお隣のスコットランドの音楽でも盛んに弾かれています。
アイルランドとスコットランドの音楽は似ているところも多くあります。
アイルランドで弾かれているリールにはスコットランドから入ってきたものも多くあります。
スコットランドのフィドル奏法は地域によって奏法が異なるそうです。大きく分けると「ローランドスタイル(Lowland Style)」と、「ハイランド・スタイル(Highland Style)」に分かれるそうです。他にオークニー諸島やシェトランド諸島など離島で演奏されている奏法もあるらしいです。
それだけにたった一人の演奏家の動画を挙げて「これがスコティッシュフィドルです」と紹介することは非常に難しいのですが・・・
下の動画はシェトランド出身のフィドル奏者「ウィリー・ハンター」の演奏です。
演奏している曲は「Cape Breton Fiddlers' Welcome to Shetland」というウィリー・ハンター自身によって作曲されたリールです。
この曲はアイルランドでも弾かれています。(この後に紹介するケープ・ブレトンの演奏家の間でも弾かれています。)
イギリスのウェールズの伝統音楽でもフィドルが用いられています。
ウェールズでは「ウェールズ語」が話されていて、ウェールズ語はアイルランドで話されているアイルランド語やスコットランドで話されているスコットランド語と同じようにケルト系の言語に属するそうです。
ウェールズの伝統音楽でもスコットランドやアイルランドで演奏されているようなダンス音楽が弾かれているようです。
下はウェールズの伝統音楽の参考動画です。
イングランドの音楽はケルト系には含めないかもしれませんが、イングランドの音楽でもフィドルが使われています。
アイルランド音楽やスコットランド音楽で弾かれている「ホーンパイプ」という種類のダンス曲はもともとはイングランドの発祥です。
下はイングランドの代表的なフィドル奏者「イライザ・カーシー」の演奏です。
ケープ・ブレトン島はカナダの南東部に位置する島で、ノバスコシア州に属します。
ケープ・ブレトン島ではフィドルを用いた音楽が島の伝統音楽として演奏されています。
もともとスコットランドからの移民が持ち込んだので、音楽的な要素はスコットランドの音楽に近いですが、ケープ・ブレトンで独自に進化したり、大元のスコットランドで廃れてしまったものがケープ・ブレトンでは生き残っていたりするそうです。
下はケープ・ブレトンを代表するフィドル奏者「ナタリー・マクマスター (Natlie MacMaster)」の演奏です。
フィドルはカナダのケベックの音楽でも用いられています。
ケベックはフランス語圏とあって、ケベックの音楽にはフランスの音楽の要素やケイジャンなどフランス文化圏の影響が見受けられるそうです。
ケベックの音楽のレパートリーにはスコットランドやアイルランドで弾かれているリールも含まれていて、ケベック独自な雰囲気を持った曲も多くあります。
下はケベックを代表するフィドル奏者「ジーン・カリグナン (Jean Carignan)」の演奏です。ジーン・カリグナンは著名なクラシック・ヴァイオリン奏者「ユーディ・メニューイン」と共演したアルバムがよく知られています。
オールド・タイム・フィドルはアメリカのオールド・タイムというジャンルの音楽で弾かれているフィドルです。
オールド・タイム音楽とはアメリカの「カントリー音楽」の一派のようなジャンルになるそうです。
オールド・タイム音楽で弾かれているレパートリーにはアイルランドやスコットランドに起源を持つ曲も多くあるそうです。
下はオールドタイム音楽のフィドル奏法の参考動画です。
フィドルはブルーグラスというジャンルの音楽でも弾かれています。
ブルーグラスもアメリカのカントリー音楽の一派的なところでしょうか。
ブルーグラスの音楽にもアイルランドやスコットランドの音楽の要素が入り込んでいるようです。
ブルーグラスとアイリッシュの演奏家同士の交流も見受けられ、ブルーグラスの代表的なフィドル奏者のアリソン・クラウスはアイルランドの人気グループ「アルタン」のアルバムに参加したことがあります。
ブルーグラスを代表するバンジョー奏者「ベラ・フレック」や「アリソン・ブラウン」もアイルランドの奏者のCDに参加しています。
下はブルーグラス・フィドルの参考動画です。
フィドル(バイオリン)は南米の音楽でも用いられています。
南米といっても色々な国がありますが、私は南米の音楽には詳しくないので映像を見ただけではどこの国の音楽かは分からないのです。
下は南米のどこかの国の伝統音楽の演奏です。フィドル(ヴァイオリン)とともにハープ(アルパ)も使われています。南米には伝統楽器としてハープ(アルパ)が弾かれている国も多くあります。ハープはアイルランドを代表する楽器でもあります。
フィドル(ヴァイオリン)は北欧の音楽でも用いられています。
ノルウェーの民俗音楽ではハーディング・フェーレ*と呼ばれるノルウェー独自の弓で弾かれる弦楽器も使われています。(英語ではハーダンガー・フィドル(Hardanger Fiddle)と呼ぶことが多いです。日本ではハルダンゲル・ヴァイオリンと呼ばれることもあります。)
ハーディング・フェーレは共鳴用の弦と鮮やかな装飾を持つのが特徴です。
ノルウェーのお隣のスウェーデンの音楽でもフィドルが用いられています。
スウェーデンの音楽ではニッケルハルパという普通のバイオリン(フィドル)とは異なる弓で弾かれる弦楽器も用いられています。
フィドルはフィンランドの音楽でも使われています。
フィンランドでは普通のヴァイオリンがフィドルとして、伝統音楽の演奏に用いられています。
デンマークの音楽でもフィドルが使われています。
デンマークの音楽で弾かれているフィドルは普通のヴァイオリンと同じものです。
フィドルはジプシーの音楽でも盛んに用いられています。
ジプシーの音楽といっても国や地域によって色々な音楽があるのかもしれません。
フィドルの演奏法も色々とあるのかもしれませんが、私自身はジプシーの音楽に関しては詳しくありません。
下の動画は「Lyoko」というロシアのジプシー音楽のグループです。
フィドル(ヴァイオリン)はインドの音楽でも使われています。
インドの音楽といっても色々とあるようで、フィドル(ヴァイオリン)がインドのどの音楽で使われているのかは分かりません。
インドの音楽におけるフィドル(ヴァイオリン)の奏法はとても独特なものだと思います。
ヴァイオリン(フィドル)はジャズでも使われています。
ジャズのヴァイオリンにも色々な奏者が居て、色々な奏法があるのだと思いますが、一番よく知られている奏者といえばステファン・グラッペリでしょうか。
下の動画で演奏しているのがステファン・グラッペリです。
フィドル(ヴァイオリン)は日本の音楽にも用いられています。
大正時代の演歌で使われていたヴァイオリンは日本のフィドルといってもいいような気がします。(庶民発祥の「フォーク音楽」で使われたという観点から)
下の動画(音声のみ)をご覧に(お聞きに)なるとヴァイオリン演歌が生まれた経緯を知ることができます。
上の動画でヴァイオリン演歌誕生の経緯について語っていた桜井敏雄氏の演奏です。
「ストロー・ヴァイオリン」はレコードの吹込み用として用いられたバイオリンでラッパから音が出るのが特徴です。
レコード黎明期にはクラシック・ヴァイオリンの演奏を録音する際にもストロー・ヴァイオリンが用いられたそうです。
ストロー・ヴァイオリンは民俗音楽の演奏でも用いられ、アイリッシュ・フィドルの神様と呼ばれるマイケル・コールマンも自身のレコードの吹込みの際にストロー・ヴァイオリンを使ったことがあったそうです。
フィドルの世界では録音の時に限らず、常時ストロー・ヴァイオリンで演奏する奏者も居ました。
アイルランドの音楽ではジュリア・クリフォードという女性のフィドル奏者がストロー・ヴァイオリンを使用していました。
現在でもストロー・バイオリンは健在で、フィドルの世界ではちょくちょく演奏している奏者を見ることがあります。
チョップ奏法はギターでコードを刻むように弾く奏法です。
色々なジャンルのフィドル奏者がこの奏法を取り入れているようです。
もしかするとクラシック・ヴァイオリンの世界でも取り入れられているのかもしれません。
下は2台のフィドルによるデュエット演奏で、一台がチョップ奏法で伴奏を、もう一台がメロディーを弾いています。
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