このページではアイルランド音楽界を代表するフィドル奏者を時代、地域別に紹介しています。
取り敢えずどんな奏者が載っているかご覧になりたい方は目次へとお進みください。
日本の音楽も青森の津軽三味線と沖縄の島唄を聞き比べれば全然違う音楽に聞こえるように、アイルランドの音楽も単に「アイリッシュ音楽」と一言で言い表せるものではなく、北と南、西と東で演奏される曲から演奏法まで大分異なります。
またアイルランドの音楽は歴史的な背景から、アイルランドからの移民の多いアメリカやカナダなどの北米地域やアイルランドのお隣のイギリスでも演奏されています。
ちなみになぜアメリカやカナダ、その他の地域にアイルランドから移民が多いのかはこちらのページをご覧になってください。こちらにページに記載されている法律の制定が、アイルランドの人々が世界中に離散することになった一つのきっかけと言われています。
「フィドル奏者名鑑」は3ページに分かれています。
取り敢えず「知っておいた方が良い」と思える奏者だけを挙げていっても優に100人を超えてしまいました。
各地域にそれぞれの地域を代表する演奏家が居るので、どうしても数が多くなってしまうのです。
このページでは戦前の奏者達、アイルランド最北部のドニゴール州、北アイルランドの奏者、アイルランド共和国北部の奏者、スライゴー州、メイヨー州の奏者達を取り上げています。
2メージ目ではゴールウェイ州、クレア州、ティペラリー州、ウォーターフォード州の奏者を取り上げています。
3ページ目ではアイルランド南部のケリー、コーク州(シュリーヴ・ルークラ地方)、アイルランド東部、イギリスやアメリカのアイリッシュ奏者を紹介しています。
紹介している奏者たちの多くはCDを出していますので、CDを買うときの参考にもなると思います。
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次に紹介する3人は、戦前に活躍したアイルランド音楽界を代表するフィドル奏者たちです。
マット・クラニッチのフィドルの教則本に写真が載っているので、見たことがある方も多いのではないでしょうか。
彼らは奇しくも皆アイルランド北西部のスライゴ州の出身で、移民先のニューヨークで商業演奏家として活躍しました。
彼らが録音したレコードはアイルランドにも逆輸入されアイルランドの演奏家たちにも大きな影響を与えました。
レコードが誕生する以前は、音楽を聞くと言えば生演奏以外に聞く機会はなかったのですが、レコードの誕生によって「今この場にいない人」の演奏を聞くことが可能になりました。
レコード誕生以前は、「ある曲が世界的にヒット」するなどまず考えられなかったと思いますが、レコードが誕生したことにより地域を越えて多くの人々に支持される演奏家が現れるようになりました。
アイルランド音楽においては「マイケル・コールマン」は初期の「スター」といえる存在で、レコード誕生後のアイルランド音楽において多大な影響を与えた奏者でした。
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言わずとしれたアイリッシュフィドルの神様的な存在の奏者です。
彼を語らずしてアイリッシュのフィドルを語ることなどできません。
下に掲載した参考音源の「ターボルトンセット(Tarbolton Set)」もそうですが、彼が録音したことによってスタンダードとなったセットは枚挙にいとまがありません。
マイケル・コールマンの演奏はアイルランド音楽の老舗レーベル「Gael-Linn」よりリリースされた2枚組のCDで聞く事ができます。
マイケル・コールマンのCD
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ちなみにマイケル・コールマンの出身地のスライゴとはこんな所です。
「トラスクモア山 - スライゴ州最高峰 - フィドルの神様の生誕地の山を歩く」(マイケル・コールマンの生誕地も訪ねています)
スライゴを象徴するテーブルマウンテン - ベンブルベン(Benbulbin)
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ジェームス・モリソンもマイケル・コールマンと同時期に活躍したスライゴ州出身のフィドル奏者です。
有名な「モリソンズ」というジグはジェームス・モリソンが録音したことによって「モリソンズ」と呼ばれるようになりました。
年齢も出身地もマイケル・コールマンと近いことから、コールマンのライバルと呼ばれていたそうですが、私生活での二人は仲が良かったそうです。
ジェームズ・モリソンのCD
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パディ・キローランもコールマン、モリソンと同じスライゴ州出身のフィドル奏者で、彼らと同じく20代前半でニューヨーク移民しました。
コールマンとモリソンは若くして亡くなってしまいましたが、キローランは2人より長生きしたこともあり、戦後の録音も残っています。
また移民した後もアイルランドに里帰りしており、ミルタウンマルベイでウィリー・クランシーと演奏している動画が撮られています。(パディ・キローランの奥さんがミルタウンマルベイの出身)
ミルタウンマルベイ出身のフィドル奏者「ジュニア・クリハン(Junior Crehan)」が作曲した「Otter's Holt」という曲はパディ・キローランが録音した「The Old Dudeen」という曲がモチーフになっているそうです。下の参考音源が「Otter's Holt」の原曲となった「The Old Dudeen」です。
パディ・キローランのCD
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ドニゴール(ドネゴール)はアイルランドで最も北部に位置する県(州)です。
ド二ゴールのフィドル奏法は「シングル・ボウイング」が特徴です。
土地柄スコットランドとのコネクションが深く、スコットランドの音楽の影響も見受けられます。
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ド二ゴールのフィドル奏法といえば、なんといってもジョン・ドハーティでしょう。ドネゴールスタイルのフィドリングのことは知らなくても、ジョン・ドハーティのことは知っているという人も多いはず。
演奏をご覧になるとお分かりいただけると思いますが、本当にシングルストロークのボウイングを多用しています。私の住むクレア州のスタイルの対極にある奏法といえるでしょうか。
ジョン・ドハーティのCD
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ジェームス・バーンもド二ゴールの代表的なフィドル奏者です。
私が生まれて初めて生で見た"リアルな"ド二ゴール奏法が、この人の演奏でした。ベルファスト郊外にあるアルスター民俗博物館で開催されたド二ゴールスタイルフィドル奏法のワークショップで講師を務めていて、私もそのワークショップに参加しド二ゴール奏法を直々に体験させてもらいました。とてもジェントルなタッチの演奏で、個人的にド二ゴールスタイルの演奏家の中では一番のお気に入りです。
ドネゴールスタイルの大名盤、ジェームズ・バーンのThe Road to Glenlough
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フランシー・バーンはド二ゴール南西部のキルカー(Kilcar)出身のフィドル奏者です。キルカーは欧州で一番高い断崖「スリーヴ・リーグ(Slieve League)」の麓に位置します。
フランシー・バーンの演奏は1970年代に兄のミッキー・バーンと共に録音した「Ceol Na DTéad」とド二ゴールのフィドル奏者4名のコンピーレーションアルバム「The Brass Fiddle」で聞くことができます。
フランシー・バーンの演奏が聞ける「The Brass Fiddle」
「Brass Fiddle (ブラス・フィドル)」はその名の通り胴体がトランペットやサックスなどの管楽器で使われている「ブラス」で作られた金属製のバイオリンです。
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フランク・キャシディはド二ゴール州南西のTeelin出身のフィドル奏者です。上で紹介したブラス・フィドルを製作したことでも知られています。
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アルタンのCDなどに名前が書かれているのでなんとなく聞いたことがあるかな程度にしか知りませんが、ド二ゴールを代表する演奏家の一人であることは間違いないでしょう。
コン・キャシディのCD
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この人もド二ゴール奏法の大御所の一人です。ハイランド(曲の種類)の名前にもなっているので、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
ヴィンセント・キャンベルのCD
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多分知る人ぞ知るといった奏者かもしれませんが、ド二ゴールのフィドルの世界では超有名な奏者です。ドネゴールの奏者のCDのライナーノーツにはよく登場する方です。ド二ゴール・スタイルのコンピレーションCDのライナーノーツも書いています。
ダーモット・マクロクリンの演奏はド二ゴールのフィドル奏者のコンピレーションCD「The Fiddle Music of Donegal Volume 3」で聞くことができます。
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ド二ゴールの音楽を世界に知らしめた立役者といえば、アルタンのフィドル奏者マレイド・二・ウィニーでしょう。日本にも頻繁に来ているので、日本にもド二ゴールスタイルのファンが多いのではないでしょうか。
ちなみに「アルタン」はド二ゴールの最高峰「エリガル山」の裾野に位置する湖の名前がもとになっているそうです。
アルタンがどんな湖かご覧になりたい方はぜひ下のページをご覧になってみてください。
Mount Errigal Co. Donegal 751m - エリガル山 ド二ゴール州最高峰
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タラ・コナハンはド二ゴールスタイルで弾く若手の演奏家の代表格の一人です。長年クレアに住んでいたので、クレアでも人気のある奏者さんです。TG4(アイルランド語で放送しているアイルランドのテレビ局)で伝統音楽の番組を担当しているので、お茶の間にもよく知られています。
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北アイルランドはイギリスに属する地域ですが、北アイルランドでもアイルランドの伝統音楽が演奏されています。演奏家の大半はカトリックですが、中にはプロテスタントの人も居ます。
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ショーン・マグワイアは言わずと知れたアイリッシュフィドルの演奏家として一時代を築いた名演奏家の中の名演奏家です。長年ベルファストを拠点に活動していたので北アイルランドの奏者としてのイメージが強いですが、出身はキャバン州です。ロンドンを拠点にしていた時代もありました。アイリッシュのフィドル奏者として初めてストラディバリウスを貸与された奏者としても有名です。
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ブレンダン・マグリンチーは北アイルランドのアーマー州出身のフィドル奏者です。ウィリークランシーサマースクールやその他の夏場のサマースクールやフェスティバルよくお見かけする顔なので、演奏を見たり聞いたりしたことのある人は多いのではないでしょうか。演奏家としてだけでなく作曲家としても有名で、「Splendid Isolation」や「Sweeney's Buttermilk」はブレンダン・マグリンチーによって作曲されました。
ブレンダン・マグリンチーが生まれたアーマー州とはこんな所です。
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ジョセフィン・キーガンもアーマー州出身の奏者です。フィドルだけでなくピアノ奏者としても有名です。ショーン・マグワイアの古いレコーディングの伴奏の大半は彼女が担当しています。作曲でも有名で恐らく100曲以上の作曲があると思います。(彼女の作曲した曲だけを収めたチューンブックが4冊出ています) 特に「The Curlews」という曲はアルタンに取り上げられたこともありセッションでも人気のある曲となっています。2017年に来日したバンジョー&ピアノのブライアン・マグラー(Brian McGrath)のワークショップで、ブライアンが影響を受けたピアノ奏者の一人として名を挙げていました。
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エトナ・ヴァレリーはドネゴール州出身のフィドル奏者です。
長年アーマー州に住み夫でパイパーのブライアン・ヴァレリーと共に「アーマー・パイパーズ・クラブ(Armagh Pipers' Club)」を運営しています。
「アーマー・パイパーズ・クラブ」はアーマー州におけるアイルランド伝統音楽の学習拠点となっており、アーマー出身の演奏家の多くがこのクラブの出身です。
日本でも人気のバンド「フルック(Flook)」のブライアン・フィネガン(Brian Finnegan)」もこのクラブの出身です。
ルナサのメンバーのキリアン・ヴァレリー(Cillian Vallely)、コンサーティーナのナイアル・ヴァレリー(Niall Vallely)、ピアノのクイヴィーン・ヴァレリー(Caoimhin Vallely)はブライアンとエトナの子供です。
夫のブライアンは画家でもあり、伝統音楽家のCDのジャケットなども手掛けています。
ルナサのケヴィン・クロフォードのソロアルバム「In Good Company」のジャケットはブライアンの手によるものです。
エトナ・ヴァレリー(左から2人目)。左は夫で画家でパイパーのブライアン・ヴァレリー。一番右は息子でルナサのイリアン・パイパーのキリアン・ヴァレリー。キリアンの右隣りはコンサーティーナのナイアル・ヴァレリー。
エトナ・ヴァレリーの夫であるJ.B.ヴァレリーによるケヴィン・クロフォードのアルバムのジャケット
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ジム・マキロップは北アイルランドのアントリム州出身のフィドル奏者です。
奏者としてだけでなくフィドル(バイオリン)の製作家としても知られています。
北アイルランドの出身ですが、現在はラウス州を拠点としています。
作曲でも有名で、特に「Maeve’s Reel」という曲はルナサのショーン・スミスのソロアルバム「Blue Fiddle(ブルーフィドル)」に収録されたことで、よく知られるようになりました。Blue Fiddleでは「McKillop's」というタイトルで収められています。
ジムは1976年のオールアイルランド*で優勝しています。(*アイルランド音楽の国際コンクール「フラー(Fleadh)」のこと)
ジム・マキロップが生まれたアントリム州とはこんな所です。
トロスタン山(551m) - 山頂からスコットランドが見えるアントリム州の最高峰
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カホル・ヘイデン*¹は北アイルランドのティロン州(Co.Tyrone)*²出身のフィドル&バンジョーの奏者です。
バンジョーとフィドル、どちらの腕前も優れていて、両方の楽器でオールアイルランドのタイトルを獲得しています*³。
フォーメンアンドアドッグ(Four Men and a Dog)というバンドのメンバーとしても活躍しています。
ここ数年は有名なアコーディオン奏者であるマーティン・オコナーと、ギターのシェーマス・オダウドと共演することが増えています。
バンジョー、フィドルともに疾走感のある演奏が特徴です。
*¹グーグルで「Cathal Hayden」と検索すると「キャサル・ヘイデン」と表示されるのですが、「キャサル」では通じないので要注意。アイルランド人の名前で「Cathal」は「カホル」か「カハル」に近い発音をします。
*²タイローンとも.
*³ 1983年と1984年にバンジョーで、1985年にフィドルで優勝しています。
カホル・ヘイデンの出身地ティロン州の最高地点に行ってみました。
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ブレンダ・マッキャンは北アイルランドのファーマナ州出身のフィドル奏者です。優れた演奏家を多く輩出しているファーマナ州の中で、若手のホープと言われてきた奏者です。ここ最近は大分円熟味を帯びてきた感じがします。数年前にアコーディオンのアネット・オーエンズ(Annette Owens)、ピアノのブライアン・マグラー(Brian McGrath)とともにアルバムをリリースしています。
ブレンダ・マッキャンの出身地ファーマナ州の山に登ってみました。
キルカー山 キャヴァン州 & ファーマナ州 665m - 山頂は南北アイルランドの国境線上
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アイルランド共和国の北側に位置する州は、北アイルランド国境を接しているため、音楽やその他に文化に北アイルランドの特色が入り込んでいます。(その逆も然りですが・・) 例えばラウス州の北部の地域は実質的な生活圏はアーマー州側になることが多く、アーマー色の強い部分もあります。ここでは紹介していませんが、モナハンにも優れた演奏家が多くいますが、モナハン北部は北アイルランドの3つ州と県境を接するため色々な部分で北と文化をシェアしています。ここでは北アイルランドと接するリートリム州とラウス州にゆかりのある演奏家を紹介しています。
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ジェリー・オコーナーといえばバンジョーで有名なジェリー・オコナーが居ますが、フィドルのジェリー・オコーナーもお忘れなく。
ジェリー・オコーナーはラウス州のダンドーク出身のフィドル奏者です。
ジェリーの母親のローズ・オコナーはこのエリアを代表するフィドルの奏者で、この地域の多くの演奏家を育てました。
ジェリーの奥さんだったEithne Ní Uallacháinは非常に優れた歌手ならびにフルート奏者で、ジェリーと二人で「Lá Lugh」というユニットで活動していました。
ジェリーの息子のドーナル・オコナーも優れたフィドル奏者、ギター奏者、音楽プロデューサーとして活躍しています。
アイルランドに住んていた時にラウズ州の最高地点に登ってみました。ちなみに2018年と2019年のアイリッシュ音楽界最大の祭典「フラーキョール」はラウス州のドロヘダ(Drogheda)で開催されます。
ラウス州の最高峰は「クーリー半島」にあります。リールのタイトルとは関係ありませんが、アイルランド音楽好きはmust goな所かも。クーリー半島の中心となる町カーリングフォードは牡蠣が有名で夏にはオイスターフェスティバルが開催されています。同半島内にあるウィスキー蒸留所も有名です。
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ブレンダン・ラリシーはラウス州のダンドーク出身のフィドル奏者です。
一つ上で紹介したジェリー・オコナーの母親のローズ・オコナーの門下生です。
1987年のオールアイルランド勝者です。現在は後進の指導に力を注いでいます。
彼の弟子にもオールアイルランドタイトルを獲得した生徒が何人もいて、次のページに出てくるマイケル・ハリソンも彼の弟子の1人です。
そして何を隠そう私もブレンダンの生徒の1人でした。。
現在デ・ダナンでフィドルを担当している「ローナン・オフラハティ(Ronan O'Flaherty)」もブレンダンの門下生の一人です。
デ・ダナンを脱退したバウロン奏者「ジョニー・リンゴ・マクドナ」が結成した「アーケイディ(Arcady」でフィドルを弾くブレンダン・ラリシー。Arcadyにはフランシス・ブラック(メアリー・ブラックの妹)や、シャロン・シャノンが在籍していたこともありました。
アンドリュー・マクナマラ(メアリー・マクナマラの弟)とのデュエット演奏
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ゾーイ・コンウェイもダンドーク出身のフィドル奏者です。
子供の頃からフィドルとバイオリンを同時に習い、10代の頃はアイルランド国立のオーケストラ「National Youth Orchestra of Ireland」に所属していたこともありました。
フィドルの方では2001年にオールアイルランド・タイトルを獲得しています。
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リートリム州は北を北アイルランドのファーマナ州と接するアイルランド共和国の北部に位置する州です。
南北に長い州で、南と北で音楽のスタイルが異なるそうです。地域的にはスライゴやロスコモン接しているので、スライゴ・スタイルの影響が強いそうです。
毎年7月にドラムシャンボー(Drumshambo)という村で、開催されるアイルランド音楽のサマースクールは特に有名で世界中から多くの人が参加します。
リートリム州はちゃんと見て回ったことがないのですが、一応リートリム州の最高地点には行ってみました。
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チャーリー・レノンはリートリム州の北部の「Kiltyclogher」出身のフィドル/ピアノ奏者です。フィドルの奏者としても有名ですが、ピアノの伴奏でも有名で、フランキー・ギャビンやジョー・バークなど多くの有名演奏家のレコーディングで伴奏を務めています。作曲でも有名で「The Road to Cashel」は彼の代表曲の一曲としては多くの演奏家に取り上げられています。
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ベン・レノンはチャーリー・レノンと同じくリートリム州の「Kiltyclogher」出身のフィドル奏者です。チャーリー・レノンの兄にあたります。素朴な演奏が特徴で、コールマンやモリソンなどのスライゴ系のレパートリーを多く演奏します。長くリムリックに住んでいたこともあり、リムリック出身のコンサーティーナ奏者トニー・オコンネル(Tony O'Connell)とデュエットアルバムをリリースしています。息子のモーリス・レノン(Maurice Lennon)も優れたフィドル奏者で、オールアイルランドフラーで優勝しています。
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マーティン・ウィンはタバカリーの東側に位置する「Bunninadden」出身のフィドル奏者です。ポスト・マイケル・コールマン世代のスライゴスタイルの奏者の代表格と言われています。セッションでもよく弾かれる「マーティン・ウィンズ(Martin Whynne's No.1~No.4)」の作者としても知られています。
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フレッド・フィンはスライゴ州のキラヴィル(Killavil)出身のフィドル奏者です。キラヴィルは曲の名前にもなっているので聞いたことがある人も多いと思います。フレッド・フィン自身も「フレッド・フィンズ(Fred Finn's)という曲の名前になっているので、こちらも聞いたり弾いたりしたことがあるという人が多いのではないでしょうか。アイルランド音楽の国際協会「Comhaltas Ceoltoiri Eireann」によってリリースされたフレッド・フィンとピーター・ホランによるデュエットアルバムはスライゴスタイルのフルート&フィドルデュエットの大名盤と言われています。
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フィリップ・ダッフィーはタバカリー(Tubbercurry)出身のフィドル奏者です。タバカリーのサマースクールのフィドル講師としてもお馴染みなので、ワークショップを受講したり、チューターズコンサートなどで演奏を聞いた人も多いのではないでしょうか。
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パディ・ライアンはロスコモン出身のフィドル奏者です。演奏だけでなく、フィドルの指導者としても名高く、多くの優れた奏者を育てています。この下に登場するオシーン・マクディアマダもパディ・ライアンの門下生でした。
スライゴ・ロスコモンエリアのローカルFM局「シャノンサイドFM」の伝統音楽番組「ヘザリーブリーズ(The Heathery Breeze)」のプレゼンターとしても活躍しています。
パディ・ライアンの演奏はスライゴの演奏家のコンピレーションCD「The Mountain Road」で聞くことができます。
オシーン・マクディアマダのソロデビューCDのライナー・ノーツは師匠であるパディ・ライアンが書いています。
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オシーン・マクディアマダは現代のスライゴの音楽シーンをけん引している若手演奏家の1人です。
演奏家としてだけでなく指導者としての側面も強く、アイルランド音楽の演奏技能試験「SCT Exam」のディレクターや、アイルランド音楽の公認講師資格「TTCT」の試験の試験官なども務めています。
オシーンは1999年のオールアイルランドの勝者です。
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アイルランドの他の地域にも言えることですが、スライゴ州出身の奏者が皆スライゴスタイルで弾くかというと、実際はそういうわけでもありません。仕事の都合などで他の地域に長く住んでいたりして、生まれ故郷のスタイルからはかけ離れていく奏者も少なくはありません。次に紹介する奏者は二人ともスライゴ州の出身でありながら、スタイル的には純粋な「スライゴスタイル」ではないので、分けて載せることにしました。
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シェイマス・マグワイアはスライゴ州出身のフィドル奏者です。80年代にはアコーディオンのジャッキー・デイリーと「ボタンアンドボウズ(Buttons and Bows)」というユニットを組んで数枚のアルバムをリリースしています。長年ドネゴールに住んでいて、活動の拠点もドネゴールになっていることから、スライゴの演奏家のイメージはほとんどありません。本業がお医者さんということもあって、人前で弾いている所を見る機会も少ないです。
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マニュス・マグワイアはシェイマス・マグワイアの弟です。彼もスライゴの出身ですが、長年クレアに住んでいるためクレアの演奏家のイメージの方が強いような気がします。彼の本業もお医者さんなので、パブでのセッションで見る機会は非常に少ないです。アコーディオン奏者のポール・ブロック(Paul Brock)やルナサのケヴィン・クロフォードが在籍する「ムービングクラウド(Moving Cloud)」というバンドのメンバーの一人です。
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メイヨー州はスライゴの西側、ゴールウェイ州の北側に位置する州です。位置関係からメイヨー州でもスライゴ寄りのエリアはスライゴの影響が強く、ゴールウェイ寄りのエリアはコネマラの影響が強いそうです。
メイヨー州といえばアイルランドの守護神「セントパトリック」が登ったといわれる「クロー・パトリック山」が有名です。
クローパトリック山とはこんな所です。
ちなみにメイヨー州で最も標高の高い山「ミューリア山」はコノート地方でも一番高い山として知られています。
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ジョニー・ヘンリーはメイヨー州の「Doocastle」出身の盲目のフィドル奏者です。Doocastleはスライゴ州との境界線上にある村で、音楽的にはスライゴの影響が強い土地のようです。ジョニー・ヘンリーは後にアメリカへと移民する「ラッド・オバーン(Lad O'Beirne)」やマイケル・コールマンの兄の「ジム・コールマン」などと交流があったそうです。録音を聞く限りスライゴのリズミックなテイストもありますが、流れるようなスイートなテイストも持ち合わせているのが特徴です。ジョニー・ヘンリーにはケヴィン・ヘンリーというフルート吹きの兄弟がいて、ケヴィンは現在はアメリカに在住しています。
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ショーン・スミスはメイヨー州の「Strade」出身のフィドル奏者です。この人の場合「メイヨー州のショーン・スミス」というよりも、"ルナサのショーン・スミス"としてのイメージの方が強いかもしれません。ルナサは日本にもよく来日する、現在のアイルランド音楽シーンを代表する人気バンドです。
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