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アイリッシュ音楽の国際コンクール(コンペティション)「 フラー(Fleadh)」の優勝者たちの演奏

 

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この世のどの世界にも、「大会」とか、「コンクール」といったものが存在すると思います。

 

アイリッシュ音楽の世界にも所謂「コンクール」があります。

 

アイリッシュ音楽の世界で行われているコンクールにも、規模の大きいものから小さいものまで様々な大会があります。

 

Fleadh Cheoil na hÉireann」通称「フラー」と呼ばれている大会は、アイリッシュ音楽のコンクールとしては世界最大規模であり、この大会で優勝することはアイリッシュ音楽の世界では最大の名誉とされています。

 

全国フラーでの優勝者は「オール・アイルランド勝者(All-Ireland Champion」の称号が与えられます。

 

アイリッシュ音楽の演奏家のプロフィールや紹介記事などに「彼/彼女は〇〇年のオール・アイルランドの勝者で~」というような記述があったら、それはこの大会に優勝したことを意味します。

 

このページでは1997年から2023年までのオール・アイルランド・フラーで優勝したフィドル奏者の演奏を紹介しています。

 

これからコンクールを目指す方や、アイリッシュ音楽に興味を持ったけど、どんな演奏を聞いてよいか分からないといった方に参考になるかもしれません。

 

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目次

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■ アイリッシュ音楽のコンペティション「Fleadh(フラー)」とは


 

フラー」とは正式には「Fleadh Cheoil na hÉireann」といいます。

 

発音は「フラー・ヒョール・ナ・ヘーラン」だと現地の人の言い方に近いかもしれません。

 

「Fleadh」はアイルランド語で「祭典」の意、「Cheoil」はアイルランド語で「音楽」の意、「hÉireann」はアイルランド語で「アイルランド」のことです。

 

「na」は英語の「of」に相当します。

 

なので「Fleadh Cheoil na hÉireann」を日本語に訳すと「アイルランド音楽祭」といった意味になるでしょうか。

 

現地では「Fleadh 」とか「Fleadh Cheoil 」だけで呼ばれることもあります。

 

「Fleadh 」は1951年から毎年開催されているアイリッシュ音楽の祭典です。

 

主催者はアイリッシュ音楽の国際協会「Comhaltas Ceoltóirí Éireann」です。

Comhaltas Ceoltóirí Éireannは「CCÉ」と略されることもあります。

 

Fleadhの開催期間中、コンサートやワークショップなど、色々な催し物があるのですが、その中でも多くの人の注目を集めるのが音楽やダンスなどのコンクール(コンペティション)です。

 

特に8月に開催される「All-Ireland Fleadh(全アイルランド・フラー)」は実質的なアイリッシュ音楽界における世界選手権ともいえる大会で、アイルランド以外の国からの参加者も出場します。

 

All-Ireland Fleadhのコンペティションで優勝することは、アイリッシュ音楽の世界で最大の名誉とされ、優勝者はオール・アイルランド勝者の称号が与えられます。

 

音楽の世界における「コンクール」については色々な意見があると思いますが、私の知る限りアイリッシュ音楽の世界においては、この大会への出場や入賞を目指して練習に励んでいる人がとても多く居ると思います。

 

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■ コンクール(コンペティション)に出場するには


 

下の画像は2023年のオール・アイルランド・フラー(全国大会)のフィドル部門(18以上の部)の出場者のリストです。

 

左から出場番号、出場者の名前、協会(CCÉ)のどこの支部に所属しているかの順で書いてあります。

 

例えば1番であれば、「Jason McGuinness」が名前、Tireraghが所属先、Sligeachが所属先がある県の名前です。

 

フラー アイリッシュ音楽 コンペティション

 

2023年のフィドル部門(18歳以上の部)の出場者は全部で18人でした。

 

これを見て、「え、出場者ってこれだけなんですか?」と聞いてきた人が居ました。

 

「これだけ」というのが何を意味したいのか、私にはよく分かりませんでしたが、これは「全国大会」の決勝の舞台ですから、参加人数としては普通というかむしろ多い方になります。

 

「フラー」、特に8月に開催される全国大会は、誰もが出場できるわけではありません。

 

オール・アイルランド・フラーに出場するには、各地で開催される予選大会を突破しなければいけないのです。

 

アイルランドから参加する場合は、まず4月から6月にかけて各県で開催される「カウンティ・フラー(County Fleadh」に出場しないといけません。

 

カウンティ・フラーはアイルランドにある32のすべての県で開催されます。

 

県大会で2位までに入ると、「プロヴィンシャル・フラー(Provincial Fleadh)」に出場することができます。

 

「プロヴィンシャル(Provincial)」とはアイルランドにある「地区(province」のことです。

 

アイルランドにはアルスター(Ulster)、コノート(Connacht)、レンスター(Leinster)、マンスター(Munster)の4つのプロヴィンス(Province)があります。

 

日本でいうところの関東地方とか近畿地方といった区分けに近い感じです。

 

県大会で2位までに入った奏者は、地区大会に出場することができ、さらに地区大会で2位までに入ると晴れて8月の全国大会に出られるのです。

 

アイルランドには4つの地区がありますから、アイルランドから全国大会に出場できるのは、最大で8人となります。

 

フラーにはアイルランドからの移民の多いアメリカや、アイルランドのお隣のイギリスでも開催されていて、アメリカからは計4人、イギリスからは2名が出場することができます。

 

スコットランドはイギリスに属しますので、スコットランドの奏者はイギリス予選に出場します。

 

フラーが正式に開催されているアイルランド、アメリカ、イギリスの予選大会を経た出場者だけで、最大で14人の参加となりますので、2023年の18人の出場者というのは、むしろ多い方になります。

 

2023年はこの14人に加え日本から2人、ポーランドから1人、前年の優勝者枠で1人の計4人が追加され合計で18人の出場者になったのです。

 

日本では6月に「フェーレ(Feile)」というフラーの代替大会が行われていて、この「フェーレ」において所定の成績を収めると、8月のオール・アイルランド・フラーに出場することができます。

 

フェーレ フラー CCEコンペティション
クリックで拡大できます

 

上の画像はある年のフラーの開催日程表です。

 

4月4日から開催されるRoscommon Fleadh(ロスコモン県の県予選)を皮切りに、6月下旬まで各県で予選大会が開催されます。

 

5月中にアメリカ予選があり、アメリカ代表は5月中に決定します。

 

全英大会は6月末に開催され、ここでイギリス代表が決定します。

 

アイルランドでは7月に地区大会(Provincial Fleadh)が開催され、ここで2位以内に入ると8月のオール・アイルランド・フラーに出場することができます。

 

私自身はアイルランドに住んでいたことがありますので、県大会からフラーに出場したことがあります。

 

出たことがある人や、見たことがある人なら分かると思いますが、県大会で2位以内に入るのはそれほど難しくないと思います。

 

ですが、地区大会になると話は別で、例えば私が住んでいたクレア県ですと、県大会の次はマンスター(Munster)大会に出場することになります。

 

マンスター地方には6つの県がありますので、各県から県代表2名ずつ参加するとなれば、最大12人で全国大会への切符を争うことになるのです。

 

12人の中の2位に入らないといけないので、ここを突破するのが大変なのです。

 

私自身がアイルランドでフラーに出場した時は、地区大会止まりでした。

 

そんなことですから、オール・アイルランド・フラーで優勝するということは、並大抵のことではないと思います。

 

どんなジャンルの音楽の世界にも、そのジャンルを代表する有名な奏者が居ると思います。

 

アイリッシュ音楽の世界にも当然、「アイリッシュ音楽界」を代表する奏者が居て、そのような奏者がアイリッシュ音楽の世界で人気を博しているのです。

 

それはあくまでもアイリッシュ音楽の世界の中だけの話であって、アイリッシュ音楽の世界を飛び出してしまえば、誰も分からなかったりするのですが・・・

 

例えば、

Zoe Conway(ゾーイ・コンウェイ)、

Martin Hayes(マーティン・ヘイズ)、

Fergal Scahill(ファーガル・スカヒル)、

Oisín Mac Diarmada(オシーン・マクディアマダ)

Liz Carroll(リズ・キャロル)

 

上に挙げたのはアイリッシュ音楽界を代表する演奏家の名前ですが、

 

アイリッシュ音楽のことを全然知らない人にとっては「は?、何それ?、誰それ?」となるかもしれません。

 

上に名前を挙げた人たちは、アイリッシュ音楽の世界では、ものすごく有名な奏者さんたちです。

 

ではなぜこの奏者さんたちが、アイリッシュ音楽の世界では有名で、ファンも多く、多くのリスナーからの支持を集めているのでしょうか?

 

演奏が素晴らしいということはもちろんですが、上に挙げた奏者さんは全員オール・アイルランド・フラーの優勝経験があります。

 

実際のところアイルランドには、演奏の上手い下手だけでいえば、上手に弾ける奏者、素晴らしい演奏の出来る奏者さんが"ごまん"と居ると思います。

 

数多くいる「上手な奏者」の中から、その名前を全国区に轟かせるには”それなりの実績”がないと、世間の人は名前を覚えてくれないと思います。

 

「それなりの実績」のひとつが「オール・アイルランド・フラー」での優勝なのです。

 

ちなみにアイルランド大使館での演奏経験はアイリッシュ音楽界全体の中で見ると、「大した実績」にはならないと思います。

 

ごくごく普通のアイリッシュ音楽の演奏家同士やアイリッシュ音楽好き同士の会話であれば、

「私アイルランド大使館で演奏したことがあるんです。」

「ふーん、だから?それってすごいの?」

ってなると思います。

 

オール・アイルランド・フラー優勝の実績があれば、世間の人は「ああ、彼/彼女が〇〇年のオール・アイルランドで優勝した奏者か。じゃあCDを買ってみよう。」とか「コンサートに行ってみよう」となるのではないでしょうか。

 

音楽のコンクールについては必要論、不要論など色々と議論の的になるのですが、個人的にはアイリッシュ音楽の世界におけるコンクールは、これまでの所はちゃんと機能していると思っています。

 

これから紹介する奏者さんたちは、全員アイリッシュ音楽界最高峰のコンクールである「オール・アイルランド・フラー」で優勝した奏者さんたちです。

 

全員「世界一」になった奏者さんたちなわけです。

ぜひ世界一の演奏を堪能してみてください。

 

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■ 1997 Ursula Byrne (Down) ■


 

Ursula Byrne(ウルスラ・バーン?)は1997年のオール・アイルランドに北アイルランドのダウン県(Co. Down)代表(※)として出場したフィドル奏者です。

 

1997年のフラーはメイヨー県(Co. Mayo)のBallinaで開催されました。

動画の演奏はフラーのコンクールの時の演奏ではありません。(コンクール時の演奏は見つかりませんでした・・・)

 

演奏している曲は北アイルランドのアーマー県(Co. Armagh)出身のジョセフィン・キーガン(Josephine Keegan)が作曲した曲です。

 

出場時に在住していた県と出身県が一致しない奏者さんもいるので、〇〇県の代表として出場したからといって、その県の出身とは断言できないのです・・・

 

 

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■ 1999 Oisín Mac Diarmada (Sligo) ■


 

1998年を抜かして1999年のオール・アイルランドで優勝したOisín Mac Diarmada(オシーン・マクディアマダ)を紹介します。

 

1998年のオール・アイルランドではデリー県から出場した「Mark Lavery」という奏者が優勝したことになっているのですが、どれだけ探しても演奏している動画を見つけることができませんでした・・・

 

Oisín Mac Diarmada(オシーン・マクディアマダ)はスライゴ県(Co.Sligo)のフィドル奏者です。2016年より毎年日本に来ているので、日本でもお馴染みの奏者さんです。

 

1999年のフラーはウェックスフォード県のEnniscorthyで開催されました。

 

動画の演奏は実際のコンクール時に撮られた演奏です。

 

 

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■ 2000 Ita Cunningham (Galway) ■


 

Ita Cunningham(読み方は"イータ・カニンガム"に近いのかな?)は2000年のオール・アイルランドにゴールウェイ県代表として出場して優勝した奏者さんです。(出身もゴールウェイ県だったと思います)。

 

2000年のオール・アイルランド・フラーも1999年と同じくウェックスフォード県のEnniscorthyで開催されました。

 

Ita Cunninghamはアコーディオン奏者や歌手として、アイルランド音楽の世界ではとても有名な「Matt Cunningham (マット・カニンガム)」の娘です。

 

 

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■ 2001 Zoë Conway (ゾーイ・コンウェイ)(Louth) ■


 

Zoë Conway(ゾーイ・コンウェイ)はラウズ県(Co. Louth)出身の奏者さんです。

 

2001年にケリー県(Co.Kerry)のListowelで開催されたオール・アイルランド・フラーで優勝しました。

 

Zoë Conwayはフラーでの優勝後はアイリッシュダンスの有名なステージショーである「リバーダンス」のフィドル奏者を務めたり、現在に至るまでソロ奏者として活躍しています。

 

 

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■ 2002 Fergal Scahill (Galway) ■


 

Fergal Scahill(ファーガル・スカヒル)はゴールウェイ県(Co.Galway)出身のフィドル奏者です。2002年にケリー県(Co.Kerry)のListowelで開催されたオール・アイルランドで優勝しました。

 

Fergal Scahillは「We Banjo 3(ウィ・バンジョー・スリー)」のメンバーとしてたびたび日本でも演奏しているので、日本も人気の高い奏者として知られています。

 

Fergal ScahillのことをWe Banjo 3を通して知っている人は多くいそうな気がしますが、彼がオール・アイルランドの優勝者だということを知っている人は少ないのかもしれません。

 

 

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■ 2003 Aisling Ní Choisdealbha (Tipperary) ■


 

Aisling Ní Choisdealbha(読み方はアシュリン・二・ホシュテロみたいな感じなのかな? 英語読みの「アシュリン・コステロ」で呼ばれることもあるようです。)はティペラリー県出身の奏者さんです。

 

2003年にティペラリー県のClonmel(クロンメル)で開催されたオール・アイルランド・フラーの勝者です。開催県出身の奏者さんが優勝したということで当時はかなり話題になったそうです。

 

Aisling Ní Choisdealbhaはオール・アイルランドで優勝するほどの実力を持った奏者ですが、彼女の顔は演奏家としてよりも、別のことでアイルランド全国に知られています。

 

彼女はTV3というアイルランドのテレビ局のニュース・キャスターを務めているのです。彼女の顔はひょっとすると、どのフィドル奏者よりもアイルランド中のお茶の間に浸透しているかもしれません。

 

2003年のオール・アイルランド・フラーで優勝したAisling Ní Choisdealbha

 

Aisling Ní Choisdealbhaはニュース・キャスターとしても知られています。

 

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■ 2004 Micheál O’Rourke (Clare) ■


 

Micheál O’Rourke(読み方は"ミホール・オルーク"みたいな感じだと思います)はクレア県のタラ(Tulla)出身の奏者さんです。

 

Micheál O’Rourkeは2004年にティペラリー県のClonmelで開催されたオール・アイルランド・フラーの勝者です。

 

Micheál O’Rourkeがフラーで優勝した時は医学部に通う学生で、卒業後は医師になったのではなかったかなと思います。これまでにCDを一枚リリースしています。

 

 

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■ 2005 Michael Harrison (Tipperary) ■


 

Michael Harrison(マイケル・ハリソン)はティペラリー県出身のフィドル奏者です。

 

2005年にドニゴール県(Co. Donegal)のレタケニー(Letterkenny)で開催されたオール・アイルランド・フラーの勝者です。

 

Michael Harrisonは1954年のオール・アイルランド・フラーの勝者「Aggie Whyte(アギー・ホワイト」の孫で、祖母と孫で同一種目を制するという偉業を成し遂げた奏者として優勝当時話題になりました。

 

その後「Fullset (フルセット)」というバンドを組み、プロ奏者として活躍しています。

 

 

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■ 2006 Aidan O'Neill (Tyrone) ■


 

Aidan O'Neill(エイダン・オニール)は北アイルランドのティロン県(Co.Tyrone)出身のフィドル奏者です。

 

2006年にドニゴール県(Co.Donegal)のレタケニー(Letterkenny)で開催されたオール・アイルランド・フラーの勝者です。

 

2004年のオール・アイルランド・フラーのティンホイッスル部門とコンサーティーナ部門で優勝した「Aidan O'Neill」と同一人物だそうです。他にもフルートの演奏もオール・アイルランド・レベルだそうです。

 

コンサーティーナをメイン楽器としているようで、北アイルランドのファーマナ県(Co.Fermanagh)出身のショーン・ヌージェント(Seán Nugent)が作曲した曲を収録したコンピレーションCDで彼のコンサーティーナの演奏を聴くことができます。

 

 

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■ 2007 Laura Beagon (Monaghan) ■


 

Laura Beagon(読み方はローラ・ビーガンか、ビーギャンか、はたまたビーゴンか、よく分かりません・・・)はモナハン県(Co. Monaghan)出身のフィドル奏者です。

 

2007年にオファリー県(Co. Offaly)のタラモア(Tullamore)で開催されたオール・アイルランド・フラーの勝者です。

 

ソロのCDとかは出していないようですが、モナハン県とファーマナ県周辺の曲を収録したコンピレーションCD「Our Dear Dark Mountain with the Sky Over It」で彼女の演奏を聞くことができます。

 

 

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■ 2008 Rónán Mac Grianna (Mayo) ■


 

Rónán Mac Grianna(読み方は"ローナン・マグリアナ"が近いでしょうか?)はメイヨー県(Co.Mayo)出身のフィドル奏者です。

 

2008年にオファリー県(Co.Offaly)のタラモア(Tullamore)で開催されたオール・アイルランド・フラーの勝者です。

 

ちなみに「Rónán Mac Grianna」はアイルランド語表記で、英語表記にすると「Ronan Greene」になるそうです。通常は「Ronan Greene」で演奏活動をしているようです。

 

 

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■ 2009 Johnny Canning (Glasgow) ■


 

Johnny Canning(読み方はジョニー・カニング?でしょうか?)は2009年にオファリー県(Co.Offaly)のタラモア(Tullamore)で開催されたオール・アイルランド・フラーに、スコットランドのグラスゴー代表として出場し優勝したフィドル奏者です。

 

 

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■ 2010 Lisa Ward (Leitrim) ■


 

Lisa Ward(リサ・ワード)はリートリム県(Co.Leitrim)出身のフィドル奏者です。

 

2010年にキャバン県(Co.Cavan)で開催されたオール・アイルランド・フラーの優勝者です。

 

オール・アイルランドのタイトル獲得後に2枚のソロ・アルバムをリリースしています。

 

アイルランド国立リムリック大学(University of Limerick)のアイリッシュ音楽科で修士号を取得しているそうです。

 

 

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■ 2011 Tara Breen (Clare) ■


 

Tara Breen(タラ・ブリーン)はクレア県出身のフィドル奏者で、2011年にキャバン県で開催されたオール・アイルランド・フラーで優勝しました。

 

彼女は子供の頃から有名だったような気がします。フィドルだけに限らずフルートやティンホイッスル、ピッコロ、サックスといった楽器にも長けていて、確かサックスとピッコロでもオール・アイルランドで優勝していたと思います。

 

チーフタンズの一員として日本で演奏したことがあったと思います。

 

2011年のオール・アイルランド・フラー勝者「Tara Breen」

 

サックスを演奏するTara Breen

 

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■ 2012 Niall Ó Murchú (Armagh) ■


 

Niall Ó Murchú(読み方はナイアル・オマルク??みたいな感じでしょうか?)は北アイルランドのアーマー県(Co.Armagh)出身のフィドル奏者です。

 

2012年にキャバン県で開催されたオール・アイルランド・フラーの勝者です。

 

彼の名字の「Ó Murchú」は英語表記だと「Murphy(マーフィー)」になります。現在は「Niall Murphy」と名乗ることの方が多いようです。

 

Niall Ó Murchúのオール・アイルランド・フラーでの演奏

 

Niall Murphyとしての演奏です(曲は同じ曲を弾いています)。

 

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■ 2013 Lydia Warnock (Leitrim) ■


 

Lydia Warnock(リディア・ワーノック?ウォーノック?)はリートリム県(Co.Leitrim)出身のフィドル奏者で、2013年にデリー県(Co.Derry)で開催されたオール・アイルランド・フラーで優勝しました。

 

情報の少ない演奏家さんで、ホームページもFacebook上に開設したページだけしかないようです。表立った演奏活動はしていないようですが、指導はしているようで上記のFacebookのページによれば彼女が教える生徒がフラーで好成績を収めようです。

 

 

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■ 2014 Dylan Foley (New York) ■


 

Dylan Foley(ディラン・フォーリー?)はアメリカのニューヨーク出身のフィドル奏者で、2014年にスライゴ県(Co.Sligo)で開催されたオール・アイルランド・フラーで優勝しました。

 

大柄な演奏家さんでパワフルな演奏が特徴です。

 

出身はアメリカのニューヨークですが、恐らく家系のどこかにアイルランドの血筋が入っているのではないかなと思います。

 

アイルランドの音楽界にはアメリカ出身の演奏家も数多くいますが、ほとんどの奏者さんは「ただのアメリカ人(?)」ではありません。

 

大概の奏者さんはアイルランドの血を引く「アイリッシュ・アメリカン」であることが多いです。

 

アメリカにはアイルランドの血を引く「アイリッシュ・アメリカン」が3千万人以上いるそうです。(アイルランドの人口は5百万くらい)

 

アイリッシュ・アメリカンの中には本国のアイルランド人以上にアイルランド人的な人もいるそうです。

 

こちらのページをご覧いただくと、アメリカにアイルランドの血を引く人が多い理由がお分かりいただけると思います。

 

 

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■ 2015 Aoife Cunningham (Cavan) ■


 

Aoife Cunningham(イーファ・カニンガム)はカヴァン県出身のフィドル奏者で、2015年にスライゴ県(Co.Sligo)で開催されたオール・アイルランド・フラーで優勝しました。

 

 

 

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■ 2016 Darragh Curtin (Kerry) ■


 

Darragh Curtin(ダーラ・カーティン?)はケリー県(Co.Kerry)のブロズナ(Brosna)出身のフィドル奏者です。

 

2016年にクレア県(Co.Clare)のエニス(Ennis)で開催されたオール・アイルランド・フラーの勝者です。

 

Darragh Curtinは所謂シュリーヴ・ルークラ地方(Sliabh Luachra)呼ばれるアイルランドの南部のケリー県とコーク県にまたがる地域の出身です。

 

 

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■ 2017 Roisín Anne Hughes (Glasgow) ■


 

Roisín Anne Hughes(ロシーン・アン・ヒューズ?)はスコットランドのグラスゴー出身のフィドル奏者です。

 

2017年にクレア県(Co.Clare)のエニス(Ennis)で開催されたオール・アイルランド・フラーで優勝しました。

 

 

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■ 2018 Caoimhe Kearins (Sligo) ■


 

Caoimhe Kearins(キーヴァ・カーリンズ??)はスライゴ県(Co.Sligo)出身のフィドル奏者です。

 

2018年にラウズ県(Co.Louth)のドロヘダ*(Drogheda)で開催されたオール・アイルランド・フラーの勝者です。(*ドロエダとも)

 

 

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■ 2019 Dylan Carlos (Roscommon) ■


 

Dylan Carlos(ディラン・カルロス?)はロスコモン県(Co.Roscommon)出身のフィドルです。

 

2019年にラウズ県(Co.Louth)のドロヘダ*(Drogheda)で開催された、オール・アイルランド・フラーで優勝しました。(*ドロエダとも)

 

フルートのCein Sweeney、ギターのJohn McCartinとともにアルバムを一枚リリースしています。

 

 

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■ 2022 Sarah O’ Gorman (Waterford) ■


 

Sarah O'Gorman(セーラ・オゴーマン)はウォーターフォード県(Co.Waterford)出身のフィドル奏者です。

 

2022年にウエストミーズ県(Co.Westmeath)のマリンガー(Mullingar)で開催されたオール・アイルランド・フラーで優勝しました。

 

中学生くらいの頃からフラーで活躍していた奏者さんで、15歳以下の部門、18歳以下の部門でも優勝していたと思います。ソロ演奏だけでなく、デュエット部門、トリオ部門でも好成績を収めていたと思います。

 

 

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■ 2023 Ademar O'Connor (Offaly) ■


 

Ademar O'Connor(アデマール・オコナー?)はオファリー県(Co.Offaly)出身のフィドル奏者です。

 

2023年にウエストミーズ県(Co.Westmeath)のマリンガー(Mullingar)で開催されたオール・アイルランド・フラーで優勝しました。

 

Ademar O'Connorはいわゆる"マルチプレーヤー"として知られていて、フィドルの他にバンジョー、マンドリン、ボタンアコーディオン、ピアノでもオール・アイルランドのタイトルを獲得しています。

 

 

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■ 雑学オール・アイルランド・フラー ■


 

ここまで1997年から2023年までのアイリッシュ音楽の国際コンクール(コンペティション)、「オール・アイルランド・フラー」の優勝者たちの演奏を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

 

およそ四半期世紀分の優勝者の演奏を見て、いろいろ感じ取れることが多々あると思います。

 

以下は私が個人的に感じた、オール・アイルランドを通して見えてきた、雑学ネタです。

 

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■ 優勝者たちの弓の持ち方 (弓を短く持っている奏者がほとんどいない) ■


 

1997年から四半世紀分のフラー優勝者の演奏を見て気付いたのですが、ほとんどの奏者が弓を所謂"通常"の位置というのでしょうか、普通な感じの位置で持っている人がほとんどだと思いました。

 

フィドルの弓の持ち方
クリックで拡大できます

 

何人かピックアップしてみて、まとめ画像を作ってみましたが、いかがでしょうか。

極端に短く持っている奏者はいないと思いませんか?

 

なぜだかは知らないのですが、バイオリンを"バイオリン"ではなく、"フィドル"と呼ぶと「弓を短く持って弾くもの」みたいに捉えている人がいらっしゃるんですよね。

 

特に日本にそういう人が多いような気がします。

 

フィドルの弓の持ち方
フィドルの弓の持ち方

 

上の画像は、日本人で自称「フィドル奏者」として活動されている奏者さんたちの弓の持ち方なのですが、みなさん見事に弓を短く持っていらっしゃるのです。

 

上の画像の人たちは、日本におけるアイリッシュ/ケルト音楽シーンではよく知られた人たちなので、こういった人たちの影響からなのか、日本でフィドルを始める人の多くに、弓を短く持つ傾向が見られるような気がします。

 

もちろん弓を短く持って弾いてはいけないという法律があるわけではないので、短く持ちたければ短く持っても構わないと思いますが、短く持てば「フィドルの演奏」になるわけではないということを理解した上で、弓の持ち方を考えてみても良いのではないかなと思います。

 

ちなみに上の画像に写っている「自称フィドル奏者」の方たちは、あくまで「自称」であって、正式に「フィドル奏者」として認められている人はいなかったと思います。少なくともフラーで優勝したり入賞したことはないはずです。

 

事実としていえば、世界最高峰のフィドルのコンクールの優勝者たちの大半は弓を短くは持っていないのです。

 

コンクールの優勝者の演奏を「良い演奏」とするのであれば、弓は極端に短く持たない方が「良い演奏」がしやすいということになるのだと思います。

 

これを書いている私自身は、アイルランドに住んでいた時に現地の先生から演奏法を習いました。ちなみに先生もオール・アイルランド・フラーで優勝経験がある人でした。

 

弓を持つ位置は普通のところでした。

 

その人以外からもサマースクールやワークショップなどで、多くの著名な奏者さんの指導を受けましたが、弓を短く持っていた人は少なかったと思います。

 

たしかに弓を短めに持っている人もいたと思いますが、平均値をとればアイリッシュ・フィドルの弓の持ち方は「短く持つのが標準ではない」というのは間違いないと思います。

 

過去26年分のオール・アイルランドの優勝者の演奏を通じて気付いたこと

フィドル奏者が皆、弓を短く持っているわけではない。

 

という雑学ネタでした。

 

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■ 優勝者たちの弓の持ち方から伺える"平均値"
大事なのは弓のどこを持つかではないのかも。


 

アイリッシュ・フィドルの世界最高峰のコンクール「Fleadh Cheoil」の優勝者たちの中に、弓を極端に短く持って弾いている奏者は非常に少ないか、ほとんどいないということは実際の映像をご覧いただければ明らかなことだと思いますが、弓を長く持つか、短く持つか以外にも注目したい点がいくつかあるのでは思います。

 

個人的に私自身はある特定の奏者の「個性的」な弾き方や、「ユニーク」な弾き方に注目するよりも、多くの奏者の中から「平均値」を出すのが好きなのですが・・・

 

アイリッシュ・フィドルの演奏はクラシック・ヴァイオリンと違い、「譜面通り」に演奏することは"まず絶対にない"ので、アイリッシュ・フィドルの演奏は全て個性的であり、ユニークであると思っています。

 

誰ひとりとして全く同じ通りに演奏をしないのが当たり前なのですが、そんな中にも、どの奏者にも見受けられる共通項というのがあるのはないか、そしてその共通項目を理解して実践できるようになるのが、"リアルなアイリッシュ・フィドル・サウンド"への近道ではないかと思うのです。

 

実のところ全てのフィドル奏者に見受けられる共通項目というのはけっこうあるのです。全て挙げていると話が長くなってしまいますので、ここでは「右手の小指の位置」と、「右腕の肘の高さ」について見てみたいと思います。

 

 

上はフラーの優勝者の演奏から一部を切り取って作成した動画です。

 

動画をご覧いただければ一目瞭然なのですが、小指を弓のスティックの部分に置かないで弾いてる奏者が多くいます。

 

小指の位置が見えにくい奏者も居るので、優勝した奏者の100パーセントとは言えませんが、半数以上の奏者は小指を弓のスティック部分に付けずに演奏していました。

 

つまり、小指を弓のスティック部分に置かないというのは、アイリッシュ・フィドルの奏法においては特に珍しいことではない、すわわち共通項目の一つと言えるのではないでしょうか。

 

少なくとも、弓を短く持つという行為よりも広まっていると思います。

 

もう一つの共通項目が「右腕の肘の高さ」です。

 

フィドル ボウイング

 

ちなみに下の画像はクラシック・ヴァイオリン奏者の構え方です。

 

フィドル バイオリン ボウイング

 

動画で見ると以下のような感じです。

 

ちなみに上にあげたアイリッシュの演奏が「コンクール」で弾かれた演奏ですので、クラシック・ヴァイオリンの方たちのも「日本音楽コンクール」に出場した人たちの演奏から抜粋しました。

 

私はヴァイオリンのことは全然分からないのですが、動画で弾いている方々は日本を代表するヴァイオリン奏者さんなのかもしれません。

 

 

いかがでしょうか?

 

アイリッシュ・フィドルの奏者さんたちの右肘は、クラシック・ヴァイオリンの奏者さんたちよりもずっと低い位置にあることが多いのです。

 

アイリッシュ・フィドルを標準とするのであれば、クラシックのヴァイオリンの奏者さんたちは腕を開きすぎだと思います。

 

私自身がアイルランドでフィドルを習っていた時は、肘の高さと、腕の開き具合に関してはけっこう注意されたものです。

 

基本的には肘はあまり高くしない方が良いのだそうです。もちろん右脇が極端に開くのもよろしくないそうで、私が習っていた時は先生から、右のわきの下に本とか紙とか挟んで、挟んだ紙を落とさないようにボウイングの練習をしなさいと言われたものです。

 

ちなみにさっきも書きましたが、私の先生はオール・アイルランド・フラーで優勝経験のある方でした。

 

なぜ肘の高さを高くしてはいけないのか、具体的な理由については知りませんが、簡単に言ってしまえば、「その方が弾きやすい」からだと思います。

 

「その方が弾きやすい」から皆そういう弾き方をしているのではないでしょうか。 

 

現にオール・アイルランド・フラーで優勝した大部分の奏者さんの肘の高さは、クラシック・ヴァイオリンの奏者さんたちと比べれば、かなり低い位置にあることは見て明らかなわけです。

 

フィドル奏法における共通項目は他にもたくさんあるのですが、他のことは改めて別の記事上で書くことにします。

 

アイリッシュ・フィドルの演奏は「アイルランドの伝統芸能」でもあるわけです。伝統芸能というのは、何百年も変わることなく先代から受け継がれてきたものですから、当然どこかしらに「普遍性」というものがあるのだと思います。

 

その"普遍性"の一つが右手の小指の位置であり、もう一つが右肘の高さでしょうか。

 

もちろん他にもたくさんあるのですが、少なくとも弓を短く持つのはフィドルの奏法の「普遍性」には含まれないと思います。

 

たまに、面白いほど弓を短く持って、右肘をえらく高くあげて、小指を弓にぴったりとくっつけて、すさまじく下手くそに弾いている自称フィドル奏者の方をお見掛けすることがあるのですが、そういう方を見ると見ていてかわいそうになってきます。

 

弓を短く持ったとしても、右手の小指をべったりとくっつけて、右肘を高らかに上げているようだったら何の意味もないと思います。

 

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■ 優勝者の出身県、出身地域 ■


 

アイルランドには北アイルランドに6つの県が、アイルランド共和国の26の県の合計32の県があります。

 

実際のところアイルランドでは「カウンティ(county)」と呼ぶのですが、便宜上日本では「カウンティ」のことを「県」としています。

 

1997年から2023年までのオール・アイルランド・フラーの優勝者の出身県、出身地域を見てみると、

 

1997年 ダウン県、1998年 デリー県、

1999年 スライゴ県、2000年 ゴールウェイ県、

2001年 ラウズ県、2002年 ゴールウェイ県、

2003年 ティペラリー県、2004年 クレア県、

2005年 ティペラリー県、2006年 ティロン県、

2007年 モナハン県、2008年 メイヨー県、

2009年 グラスゴー、2010年 リートリム県、

2011年 クレア県、2012年 アーマー県、

2013年 リートリム県、2014年 ニューヨーク、

2015年 キャバン県、2016年 ケリー県、

2017年 グラスゴー、2018年 スライゴ県、

2019年 ロスコモン県、

2022年 ウォーターフォード県、

2023年 オファリー県、

 

と、このようになります。

 

ここ26年間で19の県または地域から優勝者が出ています。

 

そのうち6つの県または地域が2名以上の優勝者を出しています。

うちわけは以下の通りです。

 

スライゴ―県(Sligo)が1999年と2018年

ゴールウェイ県(Galway)が2000年と2002年

ティペラリー県(Tippeary)が2003年と2005年

クレア県(Clare)が2004年と2011年

グラスゴー(Glasgow)が2009年と2017年

リートリム県(Leitrim)が2010年と2013年

 

優勝者を排出した19の県または地域のうち、グラスゴー(Glasgow)とニューヨーク(New York)はアイルランド国外にあります。

 

アイルランドの北側の一部は北アイルランドといって、国としてはイギリスに属するのですが、北アイルランドにある6つの県のうち以下の4つの県から優勝者が出ています。

ダウン県(Down)(1997年)、デリー県(Derry)(1998年)、 ティロン県(Tyrone)(2006年)、アーマー県(Armagh)(2012年)

 

北アイルランドにある6つの県は、アイルランド島全体で見るとアルスター(Ulster)という地域に属します。北アイルランドからオール・アイルランド・フラーに出場するためには、県大会の後、アルスター・フラー(Ulster Fleadh)に出場するという流れになります。アルスター・フラーにはアイルランド共和国に属するドニゴール県(Co.Donegal)、モナハン県(Co.Monaghan)、キャバン県(Co.Cavan)の3県の予選を勝ち抜いた奏者も出場します。

 

ではアルスター地方の県の優勝者はどのくらいいるかというと、先ほどの北アイルランドの4県の優勝者に加え、モナハン県(Monaghan)(2007年)とキャバン県(Cavan)(2015年)を加えた計6県から6名の優勝者が出ています。

 

アイルランドには4つの地方があるので、地方別で優勝回数を見てみると、

 

レンスター地方(Leinster):

ラウズ県(Louth)(2001年)、オファリー県(Offaly)(2023年)の計2回、2名の優勝者が出ています。

 

コノート地方(Connacht):

ゴールウェイ県(Galway) (2000年、2002年)、スライゴ県(Sligo) (1999年、2018年)、メイヨー県(Mayo) (2008年)、リートリム県(Leirtrim) (2010年、2013年)、ロスコモン県(Roscommon) (2019年)の計8回、8名の優勝者が出ています。

 

マンスター地方(Munster):

クレア県(Clare) (2004年、2011年)、ティペラリー県(Tipperary) (2003年、2005年)、ケリー県(Kerry) (2016年)、ウォーターフォード県(Waterford) (2022年)の計6回、6名の優勝者が出ています。

 

アルスター地方(Ulster):

ダウン県(Down)(1997年)、デリー県(Derry)(1998年)、 ティロン県(Tyrone)(2006年)、モナハン県(Monaghan)(2007年)、アーマー県(Armagh)(2012年)、キャバン県(Cavan)(2015年)の計6回、6名の優勝者が出ています。

 

地方別で見てみると、過去26年で一番多くの優勝者を排出しているのはコノート地方になります。コノート地方(Connacht)には5つの県があるのですが、5つの県全てから優勝者を出していますし、そのうちスライゴ(Sligo)とゴールウェイ(Galway)とリートリム(Leitrim)は優勝者を2名排出しています。

 

一番少ないのがレンスター地方(Leinster)でした。ちなみにレンスター地方には12の県があり、アイルランドの首都ダブリン(Dublin)があるダブリン県(Co.Dublin)もレンスター地方に属します。主にアイルランドの東側にある県がレンスター地方に属しています。

 

アイリッシュ音楽は基本的にアイルランドの西側の方が盛んです。

 

北アイルランドも含めアルスター地方からも、そこそこの優勝者を排出しているのですが、同じアルスターに属するドニゴール(Donegal)から優勝者が出ていないのが意外といえば意外です。ドニゴールといえば「アルタン」というアイルランドを代表する超有名なバンドを排出しているのですが、フラーのコンペティションには縁がないのか、過去70年のフラーの歴史の中でもドニゴール出身の奏者の優勝回数はすごく少ないです。

 

アイルランド 地図
クリックで拡大できます

 アイルランドの地図です。

 

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■ 優勝者が弾いた楽曲 ■


 

大会だとか、コンクールといったものには常にルールがあると思いますが、フラーにもルールがあります。

 

フラーのルールとして明文化されているのが、演奏する曲数と各曲の演奏回数です。

 

フィドルの18歳以上の部ですと、出場者は必ず4曲弾かないといけません。

 

4曲は全て異なる種類で、そのうち1曲はスローエアでないといけません。

 

演奏回数は各曲とも2回まで。ただしスローエアは1回でも良いそうです。

 

またリールでシングル・リールを弾く場合は、3回までの繰り返しが認められています。

 

課題曲というのはないので、上記のルールに則っているのであれば、どんな曲を弾いても大丈夫なのです。

 

今回このページ上では、各奏者1曲しか載せていません。

 

全員リールにしたかったのですが、リールが見つからなかった奏者が2人いまして、その2人はホーンパイプを載せておきました。

 

課題曲はありませんので、どんな曲を弾いてもいいはずなのですが、けっこう同じ曲が弾かれています。

 

というわけで、以下が1999年から2023年までの優勝者が弾いた曲になります。

 

1999年 The New Mown Meadows 

2000年 Hendon Road (Joe Molloy作曲)

2001年 Jenny's Welcome to Charlie(1)

2002年 Jenny's Welcome to Charlie(2)

2003年 Farewell To Milltown (Junior Crehan作曲)

2004年 The Thirteen Arches (Séamus Connolly作曲)

2005年 Lad O’Beirne (Hornpipe)(1) (Ed Reavy作曲)

2006年 Farewell To Ireland(1)

2007年 Lucy Campbell's 

2008年 Lad O’Beirne (Hornpipe)(2)

2009年 Black Pat (Tommy Peoples作曲)

2010年 The Trip To Nenagh (Sean Ryan or Finbarr Dwyer作曲)

2011年 Dowd's Favourite(1)

2012年 Bonnie Kate (Daniel Dow作曲)

2013年 Dowd's Favourite(2)

2014年 Jenny's Welcome to Charlie(3)

2015年 Farewell To Ireland(2)

2016年 何の曲か分かりません・・・

2017年 Jenny's Welcome to Charlie(4)

2018年 The Mullingar Races

2019年 The Starry Lane To Monaghan (Ed Reavy作曲)

2022年 George Peoples’ (Séamus Gibson作曲)

2023年 Mrs Lawrie’s (Brendan McGlinchey作曲)

 

1999年から2023年までの24年間の間に「Jenny's Welcome to Charlie」という曲が4回弾かれていました。

 

他に複数回弾かれたのが、「Farewell To Erin」と「Dowd's Favourite」でそれぞれ2回ずつ弾かれています。

 

ホーンパイプの「Lad O’Beirne」も2回弾かれています。二人分の演奏しか載せていないので、他の比較対象がないのですが、奇しくもここに載せた二人のホーンパイプの演奏はどちらも「Lad O’Beirne」でした。

 

ちなみに「Lad O’Beirne」はキャバン県出身のフィドル奏者/作曲家である「Ed Reavy」によって作曲されました。

 

2019年の優勝者が弾いたリール「The Starry Lane To Monaghan」も、Ed Reavy作曲の曲です。

Jenny's Welcome to Charlie アイリッシュ音楽 楽譜

参考までにこちらが過去26年間のコンクールでもっともよく弾かれた楽曲「Jenny's Welcome to Charlie」の楽譜です。

 

ケルト音楽 楽譜

こちらが「Dowd's Favourite(2回弾かれた曲)」です。

 

アイリッシュ音楽 楽譜

こちらが「Farewell to Ireland(2回弾かれた曲)」です。

 

ホーンパイプ 楽譜

こちらが「Lad O'Beirne(2回弾かれた曲)」です。

 

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