アイルランド(アイリッシュ/ケルト)音楽で弾かれている曲やリズムの種類
Types of tunes played in Irish Traditional Music
アイルランド(アイリッシュ/ケルト)の音楽では以下の種類のリズムの曲が弾かれています。
これらの「Reel (リール)」とか「Jig (ジグ)」といった単語は全て曲の種類を表す言葉であると同時にダンスのリズムの種類を表す言葉でもあります*。
*スローエアを除く
基本的*にアイリッシュ音楽＝ダンス音楽です。(スローエアを除く)
*曲によっては歌詞のある「歌」がもとになっているものもあります。
リールという曲はリールというダンスのリズムために弾く曲であり、ジグはジグというダンスのリズム用の曲ということになります。それぞれが異なる「ノリ」を持っています。
楽譜上ではほぼ同じように見えても、実際に演奏されたものを聞くとかなり異なって聞こえる曲もあります。(リール、ホーンパイプ、フリングあたりは楽譜で見た感じはどの曲も同じ様に見えると思います。) アイリッシュの楽曲の「ノリ」を譜面に書き表すことができませんので、譜面上での見た目は同じでも演奏するときはリールはリールの「ノリ」で、ホーンパイプはホーンパイプのノリで弾かないといけません。アイリッシュの「ノリ」についてはこちらのページもご覧になってみてください。
アイリッシュ・ミュージックとアイリッシュ・ダンスには密接な関係がありますので、アイリッシュダンスもご覧になってみると良いと思います。
アイリッシュダンスについてはこちらのページをご覧ください。
リールは4分の4拍子のダンス曲です。アイルランドで最もよく弾かれているがこのタイプの曲です。
フィドルによるリールの演奏
ジグは8分の6拍子の曲です。リールの次によく弾かれています。
ジグにはダブルジグ、シングルジグ、スリップジグの3種類がありますが、普通「ジグ」といえば「ダブルジグ」のことを指します。
フィドルによるダブル・ジグの演奏
ホーンパイプは4分の4拍子のダンス曲です。リールと同じ拍子ですが、リールよりも遅いテンポで演奏されます。リールよりも"はねる”ような感じで演奏されます。
フィドルによるホーンパイプの演奏
スローエア*は、歌詞の付いた歌の曲を楽器で演奏したものです。
最初から楽器だけで演奏するために作曲されたスローエアもあります。
スローエアには何分の何拍子という概念を持たない無拍子の曲も多くあります。
*エア(air)はアリア(aria)の英語読みです。アリアとは「叙情的な独唱曲」のことだそうです。アイリッシュのエアもそれに近いところといったところでしょうか。「叙情的な独唱曲」を器楽曲として演奏すると「エア」になります。
スローエアの演奏
スリップジグは8分の9拍子のジグです。普通のジグに比べると曲の数が少ないですが、よく弾かれるスタンダードなスリップジグも多くあります。
フィドルによるスリップジグの演奏
スライドはアイルランドの南部で盛んに演奏されている、8分の12拍子のダンス曲です。スライドは「シングルジグ」として弾かれることもあります。
フィドルとアコーディオンによるスライドの演奏
ポルカは4分の2拍子のダンス曲です。大ヒットした映画「タイタニック」の中のダンスのシーンでも使われていました。上のスライドと同様アイルランドの南部で盛んに弾かれています。
映画「タイタニック」の中のダンスのシーン。
バックで使われている曲がポルカです。
ティンホイッスルによるポルカの演奏
ハイランドはアイルランド北部のドネゴール州でよく演奏される4分の4拍子のダンス曲です。同じ4分の4拍子のリールやホーンパイプとは異なるリズムを持ちます。
フィドルによるハイランドの演奏
マズルカも北部で好んで演奏される4分の3拍子のダンス曲です。
フィドルによるマズルカの演奏
セットダンスには4分の4拍子と8分の6拍子の2種類があります。
セットダンスはパートの構成に特色があって、AのパートとBのパートの小節数が異なるところが大きな特徴です。
セットダンスは「セットダンス」というダンスのための曲です。
「セットダンス」は「セットダンシング」とは異なるので注意が必要です。(特に日本では「セットダンシング」のことも「セットダンス」と呼んでいるので・・」
フィドルによるセットダンスの演奏。
ある「セットダンス」の曲の楽譜。ダンスの「セットダンシング」と混同するなと書いてあります。
バーンダンスは4/4拍子のダンス曲です。直訳すると"納屋の踊り"という意味で、もともとは納屋で踊られていたそうです。
他の4分の4拍子のリール、ホーンパイプ、ハイランドとは異なる趣のある曲です。
フィドルとイリアンパイプスによるバーンダンスの演奏
フリングはスコットランドの「ハイランド・フリング(Highland Fling)」をルーツに持つ4/4拍子のダンス曲です。スコットランドのフリングと異なり、"ドット付きのリズム(dotted rhythm)"を持つのが特徴です。
イリアン・パイプスによるフリングの演奏
ショティッシュはボヘミア地方発祥のダンス曲で、アイルランドにはスコットランドを経由して入ってきたそうです。
コンサーティーナによるショティッシュの演奏
アイリッシュ音楽でもワルツが弾かれています。
アコーディオンによるワルツの演奏
マーチはアイルランド発祥の曲ではありませんが、アイルランドの伝統音楽のレパートリーにも取り入れられています。
マーチの演奏例
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