アイリッシュ音楽のリズム
リズム感(ノリ)の出し方

目次

アイリッシュ音楽のリズムとは


アイリッシュ音楽には「リール」とか「ジグ」といった色々なリズムの曲があります。

 

リールジグとは曲の種類を表す言葉でもあり、曲のリズムの違いを表す言葉であります。

 

では「リール」とはどんなリズムの曲かと聞かれても、なかなか簡単に説明できないものだったりします。

 

下はアイリッシュ音楽でよく弾かれる「リール」と「ホーンパイプ」と「バーンダンス」というそれぞれ異なる「リズム」で弾かれる曲の譜面です。

 

アイリッシュ音楽 ケルト音楽 楽譜
リールのリズムの曲の譜例
アイリッシュ音楽 ケルト音楽 楽譜
ホーンパイプのリズムの曲の譜例
アイリッシュ音楽 ケルト音楽 楽譜
バーンダンスのリズムの曲の譜例

 

上の3曲はどれも異なるリズムの曲ですが、譜面で見るとどれも同じような感じに見えてしまいます。

 

譜面上では同じように見えても実際の演奏では「リール」は「リールのリズム」で弾かないといけませんし、「ホーンパイプ」は「ホーンパイプのリズム」で弾かないといけませんし、「バーンダンス」は「バーンダンスのリズム」で弾かないといけません。

 

リズムの違いを「五線譜」の上に明確に表すことはほぼ不可能で、せいぜい譜面の余白に「Reel」とか「Hornpipe」と書くくらいのことしかできません。

 

そうであっても「Reel」というリズムをちゃんとわかっている人であれば「Reel」は「Reel」のリズムで弾けるし、「Hornpipe」は「Hornpipe」のリズムで弾けるのです。

 

譜面の上では便宜上「4/4拍子」で書いていますが、厳密にいえばアイリッシュの楽曲は「Reel」は「Reel」以外の何物でもなく、4/4拍子で書かれてあったとして、それは4/4拍子であって4/4拍子ではないのです。

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ブランダン・ブラナックの本によれば


アイルランド伝統音楽の教育者として有名なブランダン・ブラナックが著した「アイルランドの民族音楽とダンス」という本の中で、アイリッシュ音楽のリズムについて以下のように解説されています。

ブランダン・ブラナック アイルランドの民族音楽とダンス
アイリッシュ音楽 リズム ノリ

上記で

 

これらのグループの出だしの音も終わりの音も、算術的な記号ではない。もしそうだとすれば、それらの音はみんな等しい強さと同じ長さ、つまり音価をもつであろう。」

 

と書いてあるところが重要なポイントです。

 

アイリッシュ音楽では譜面に書いた通りに、音と音の間隔を均等に弾くことはほとんどありません。

 

上記の本では以下のように解説が続きます。

アイリッシュ音楽 ケルト音楽 リズム

 

上の中で赤線を引いてある所が重要なポイントです。

 

アイリッシュ音楽の演奏においては、

 

奇数拍(3、5拍目等)は偶数拍(2、4拍目等)よりも強いアクセントになり、アクセントのあるところはアクセントのない音より部分的に長く

 

弾きます。

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マーティン・ヘイズによれば


アイルランドを代表するフィドル奏者「マーティン・ヘイズ」によれば、リールのリズムの曲は以下のように弾くそうです。

マーティン・ヘイズ フィドル アイリッシュ音楽

マーティン・ヘイズは日本でも人気のあるアイルランドを代表するフィドル奏者の一人です

 

 

いかがでしょうか?

 

奇数拍(3、5拍目等)は偶数拍(2、4拍目等)よりも強いアクセントになり、アクセントのあるところはアクセントのない音より部分的に長くなっているのにお気づきいただけたでしょうか?

 

途中D線の開放弦だけを弾いているところがあるのですが、アクセントの位置や各音の長さはどうなっているでしょうか?

アイリッシュ音楽 リズム感 ノリの出し方

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アイリッシュのノリの出し方(実践編)


以上を踏まえた上で実践編へと突入したいと思います。(笑)

 

上で、マーティン・ヘイズとほぼ同じ弾き方でD線の開放弦を弾くと以下のようになります。

弾いたことを楽譜にすると以下のようになります。

アイリッシュ音楽 フィドル バイオリン 弾き方

D線の開放弦を下げ弓、上げ弓の順番で交互に弾いているだけです。

 

ちなみに上の楽譜で弾いていることを、以下のように弾いてしまうのはNGです。

ブランダン・ブラナックが本の中で解説している

音を

「算術的な記号」のように、

「等しい強さと同じ長さ」

弾くと上の動画のようになります。

 

奇数拍(3、5拍目等)が偶数拍(2、4拍目等)よりも強いアクセントになり、アクセントのあるところはアクセントのない音より部分的に長くなっていないのでNGなのです。

 

アイリッシュ音楽のリズム感は以下のような感じで捉えると分かりやすいかもしれません。

アイリッシュ音楽 ケルト音楽 リズム感 弾き方

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アイリッシュのノリの出し方 - 実践編 ②


開放弦で弾いたことと同じことを旋律でやると以下のようになります。

 

「ノリ」が出ている時は以下のようになります。

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

 

ノリのない弾き方で弾くと以下のようになります。

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

 

曲を一曲通して弾くと以下のようになります。

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

 

曲の旋律を五線譜にすると以下のようになります。

といっても譜面上に「リズム感」を書き表すことはできませんが・・・

アイリッシュ音楽 ケルト音楽 楽譜

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

 

アイリッシュの「ノリ」の出し方 - 応用編


上でやっていることを他の曲でやると以下のようになります。

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本物のアイリッシュの「ノリ」の出し方


 

下の画像に写っているのは、アイルランドで売っている「のり」です。

 

そうまさしく正真正銘の本物のアイルランドの「のり」です。

 

アイルランドの「のり」はアイルランドのスーパーや文房具屋さんなどで買うことができます。

アイルランド 日本食 食材
アイルランドのスーパーで見つけた「のり」
アイルランド 買い物 スーパー
アイルランドの文房具屋さんにあった「のり」

 

アイルランドの「のり」を買ってそれぞれの「のり」を出してみました。

 

アイルランド 海苔 のり

アイルランドで買った「のり」です

 

以下は本物のアイルランドの「のり」の出し方です。

 

別の「のり」も出してみました。

 

 

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まとめ


いかがでしたでしょうか?

 

アイルランドの「ノリ」は楽譜に書き表すことができないので、頭で考えるのでなく体で覚えてしまうのが早いと思います。

 

上で取り上げたブランダン・ブラナックが著した「アイルランドの民族音楽とダンス」によればアイリッシュの演奏家が実際に演奏する際は「リズム感」や「ノリ」について意識することなく演奏するそうです。

アイリッシュ音楽 特徴 書籍
Breandan Breathnach Irish Traditional Music

 

これを読む限り、耳で聞いたことを、聞いた通りに演奏してしまうのが手っ取り早いようです。

 

耳で聞いたことを、を聞いた通りに演奏することを「耳コピ」と言います。

 

当ホームページには「耳コピ」のやり方について解説したページがありますので、ご興味ある方はそちらのページもご覧になってみてはいかがでしょうか。

■ 耳コピについて ■

 

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本物のアイルランドの「ノリ」を出すときは以下のようにするといいと思います。

 

袋を開けて引っ張る

 

または

 

キャップを開けて回す

 

この一連の動作を頭で考えるのではなく、体で覚えてしまうのが手っ取り早いと思います。

 

以上を参考に、アイルランドの「ノリ」を出してみてください。

 

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