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日本でもよく知られている、アイリッシュ音楽の曲に「サリーガーデン(ズ)」という有名な曲があります。
この「サリーガーデン(ズ)」という曲ですが、カタカナで書いた場合、同じ名前の曲が2曲あります。
一曲の原題は「Down by the Salley Gardens (ダウン・バイ・ザ・サリーガーデンズ)」といい、日本では「サリーガーデン(ズ)」と短縮されて呼ばれることが多いです。
もう一曲の方は原題も「Sally Gardens (サリーガーデンズ)」といい、日本でも「サリーガーデンズ」と呼ぶことが多いと思います。
このページでは「サリーガーデン(ズ)」をテーマにアイリッシュ音楽の曲の名前のことや、サリーガーデンズの弾きなどに関する情報をお届けしています。
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アイリッシュ音楽の曲で「サリーガーデン(ズ)」という曲があります。
日本で「サリーガーデンズ」と言った場合、以下の曲がよく知られています。
こちらの曲はもともと歌詞の付いた歌の曲で、歌詞はノーベル文学賞を受賞したアイルランドの詩人「ウィリアム・バトラー・イェイツ」によるものと言われているそうです。
「サリーガーデン(ズ)」といえば、日本ではこちらのメロディの曲がよく知られているようです。
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上に載せた曲とは別の「サリーガーデン(ズ)」という曲もあります。
以下はもう一曲の「サリーガーデン(ズ)」です。
楽譜に書いてある通りに打ち込んで再生させたものになります。
こちらの曲は「リール(Reel)」という種類のアイルランドの伝統曲になります。
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上に載せた二曲はどちらも「サリーガーデン(ズ)」です。
原題だと一方が「Down by the Salley Gardens 」で、もう片方が「Sally Gardens」なので、厳密には同じ名前ではないのですが、アイリッシュ音楽には「同じ名前で違うメロディーの曲」や「曲の名前は同じなのに、違う旋律の曲」がたくさんあります。
アイリッシュ音楽の入門書として評判の高い「アイルランドの民族音楽とダンス」という本があるのですが、その本の中にアイリッシュ音楽の曲名について以下のような解説が載っています。
興味深いのは「曲名にどんな旋律がついていても、音楽的な関係はない」という点でしょうか。
アイリッシュ音楽には色々な名前の曲があるのですが、曲名と旋律の雰囲気が一致していな曲が多いのです。
また、こちらの本によれば、アイリッシュ音楽には「1曲の旋律に対して、複数の曲名が存在する曲」や、「1つの曲名に対して、複数の旋律が存在する曲」があると書いてあります。
本によれば1曲で60の別名を持った曲があると書いてあります。
例えば以下の曲は「Toss the Feathers (トス・ザ・フェザーズ)」という名前の曲の譜面です。
次の曲も「Toss the Feathers (トス・ザ・フェザーズ)」という名前の曲です。
2曲とも曲の名前は同じですが、曲の旋律はまったく異なります。
ちなみに「Toss the Feathers(トス・ザ・フェザーズ)」という名前の曲は他にもあります。
つまり「Toss the Feathers」という曲は、同じ名前の複数の曲が存在するのです。
次の3曲の楽譜は全て同じ旋律の曲ですが、名前はそれぞれ違い違います。
こちらは、1曲に対して複数の曲名が付いている典型的な例になります。
このように、アイリッシュ音楽には名前は一緒だけどメロディーの異なる曲や、旋律は同じだけど違う名前の曲がたくさんあるのです。
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ここでは、アイルランドの著名なフィドル(ヴァイオリン)奏者さんによるサリーガーデンズの演奏を載せてみたいと思います。
ここに載せる「サリーガーデンズ」はアイルランドでよく弾かれている「サリーガーデンズ」です。
まずは一人目の「サリーガーデンズ」の演奏です。
次も「サリーガーデンズ」の演奏です。演奏しているのは上の奏者さんとは違う奏者さんです。
次の曲も「サリーガーデンズ」です。弾いているのは、これまでの2人とは異なる奏者さんです。
次も「サリーガーデンズ」の演奏です。これまでの奏者さんとは別の奏者さんによる演奏です。
いかがでしたでしょうか?
ここまで4人の奏者さんによる「サリーガーデンズ」の演奏を載せました。
4人全員の演奏を聞いてくださった方は、お気づきになったと思いますが、全員皆同じ曲を弾いていますが弾き方は全然違います。
アイリッシュ音楽の演奏は楽譜に書いてあることを、楽譜に書いてある通りに演奏することはしないのです。
もちろんアイリッシュ音楽にも楽譜はありますが、アイリッシュ音楽の楽譜は楽譜が先ではなく、演奏が先にあって演奏をもとに楽譜に書き起こしたものです。
もし「サリーガーデンズ」を楽譜にするのであれば、誰かの演奏をもとにして、それを採譜して譜面にします。
例えば上の4人の演奏から楽譜に起こすとなると、同じ曲といってもちょっとずつ違う4枚の「サリーガーデンズ」の楽譜が出来ることになるのです。
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サリーガーデンズはアイリッシュ音楽の楽曲の中ではわりとポピュラーな曲なので、色々な楽譜集に収められています。
以下はアイルランドで発行されているアイリッシュ音楽の楽譜集です。
下の6冊の楽譜集全てに「サリーガーデンズ」が収録されています。
ある楽譜集には「サリーガーデンズ」が以下のように掲載されています。
次は別の楽譜集に掲載されている「サリーガーデンズ」です。
次も「サリーガーデンズ」の楽譜です。別の楽譜集からコピーしました。
次の譜面も別の楽譜集に載っていた「サリーガーデンズ」です。
次も「サリーガーデンズ」です。
こちらは曲のタイトルがアイルランド語で書かれています。
次の楽譜ももちろん「サリーガーデンズ」です。
6冊の楽譜集に掲載されている「サリーガーデンズ」を全部載せてみましたが、いかがでしょうか?
全て同じ曲なのですが、まったく同じ通りには書かれていないのです。
先ほど載せたアイルランドの4人のフィドル奏者さんによる「サリーガーデンズ」の演奏から採譜して楽譜に起こせば4枚の異なる「サリーガーデンズ」の楽譜が出来ると書きました。
上に載せた6枚の「サリーガーデンズ」は全て異なる人が採譜したので、まったく同じ通りの楽譜にはならなくて当然なのです。
ちなみにですが、上に載せた6冊の楽譜集の中に日本でよく知られている「サリーガーデンズ」は載っていません。
こちらが日本でよく知られている「サリーガーデンズ」の譜面です。
私の持っているアイルランドで発行されたアイリッシュ音楽の楽譜集で、こちらの「サリーガーデンズ」が載っている楽譜集はなかったと思います。
こちらの「サリーガーデンズ」はなぜかは知りませんが、本国アイルランドよりも日本でよく弾かれているのです。
この記事を書いている私「Taka」はアイルランドに住んでいた時に、アイリッシュ音楽に出会って現地でフィドル(ヴァイオリン)を習いました。
アイルランドで習っていた時に「サリーガーデンズ」を習いましたが、それは当然先ほど載せたアイルランドのフィドル奏者さんが弾いていたのと同じ「サリーガーデンズ」です。
日本でアイリッシュ音楽を演奏していると、「サリーガーデンズ」を弾いてよとか、アイリッシュ音楽というと「サリーガーデンズ」が有名ですよねとか、聞かれることがけっこうあります。
確かに「サリーガーデンズ」は有名な曲なので、この曲ですよねと言って、アイルランドでよく弾かれている方の「サリーガーデンズ」を弾くと、「えっ、それじゃないんですけど・・・」と言われてしまうことがけっこうあります。
アイルランドで「サリーガーデンズ」といえば、普通は先ほど載せたアイルランドで出版されている楽譜集に載っている方を指すと思います。
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「サリーガーデンズ」はわりとポピュラーな曲なので色々なCDに収録されています。
もちろんアイルランドでよく弾かれている方の「サリーガーデンズ」の方ですが・・・
以下は私が持っているアイリッシュ音楽のCDです。
基本的に全てアイルランド人奏者によるCDです。
適当に棚から取り出して並べただけなので、これで全部ではないです。
ちゃんと数えたことはないのですが、多分アイリッシュ音楽だけで600枚以上のCDを持っているはずです・・・
上に写っている全てのCDに「サリーガーデンズ」が収録されているわけではありませんが、「サリーガーデンズ」が収録されているCDもそこそこあると思います。
ちなみにですが、上に写っている全てのCDに日本でよく知られている方の「サリーガーデンズ」は収録されていません。
恐らく私が持っている600枚全てのCDに、日本で知られている方の「サリーガーデンズ」は入っていなかったと思います。
アイルランドでよく知られている方の「サリーガーデンズ」を聞いてみたい方、あるいはそれをご自身でも演奏してみたい方は、ぜひアイルランドで売られているアイルランド人奏者さんのCDを買って聞いてみることをお勧めいたします。
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これを読んでくださっている方で、ご自身でも「サリーガーデンズ」を弾いてみたいという方は、ぜひ演奏してみてはいかがでしょうか。
「サリーガーデンズ」の弾か方ですが、ここまでこのページに書かれてきたことを読んでくださった方でしたら、既にお分かりだと思うのですが、「サリーガーデンズ」の弾き方はありません。
いろいろな弾き方がありすぎて、これが「正しい弾き方です」といえる弾き方は存在しないと思います。
例えば、下の「サリーガーデンズ」を弾いている奏者さんが、フィドルの教室を開いていて、その教室で「サリーガーデンズ」習ったとします。
教えてもらえる弾き方は、上で弾かれている弾き方になると思います。
では、もし下の「サリーガーデンズ」を弾いている奏者さんも教室を開いているとします。下の「サリーガーデンズ」を弾いている奏者さんから習うとすれば・・・
当然、この「サリーガーデンズ」の弾き方を習うことになると思います。
最初の「サリーガーデンズ」と2番目の「サリーガーデンズ」のどちらが正しくて、どちらが間違っているとは言えません。
聞く人の好みというのはあるでしょうから、ある人にとっては1番目の方が好みで、2番目は好みでないかもしれないですし、ある人にとってはその逆かもしれないし、ある人にとってはどちらも好みではないとも言えるでしょう。もちろん、どちらも好みだと言う人も居るでしょう。
楽譜を使って弾くとしても、楽譜を書いた人によって音使いが異なりますので、どの楽譜を使うかによって弾き方も異なってくると思います。
上の楽譜と下の楽譜はどちらも「サリーガーデンズ」の楽譜ですが、曲の端から端まで全く同じではありません。
この記事を書いている私「Taka」も当然「サリーガーデンズ」を弾きます。
私の弾き方は、このページに載せた音源の奏者さんとは異なりますし、私の演奏をもとに採譜すれば、このページに掲載したどの楽譜とも異なる譜面になると思います。
私自身もフィドルの指導をしていますので、私の教室で習ってくださっている生徒さんたちには当然「サリーガーデンズ」を教えることもあります。
生徒さんには、私なりの解釈による弾き方がもとになった「サリーガーデンズ」の弾き方を習ってもらっています。
そういうわけで、「サリーガーデンズ」の"これだ"という弾き方は存在しないのです。
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このページではアイリッシュ音楽でよく弾かれている「サリーガーデンズ」という曲について色々と解説させていただきました。
日本でもアイリッシュ音楽の曲として「サリーガーデンズ」という曲がよく知られているのですが、日本でよく知られている「サリーガーデンズ」は、アイルランドでよく知られている「サリーガーデンズ」とは別の曲です。
この記事を書いている私「Taka」はアイルランドでアイリッシュ音楽を学びましたので、できれば日本でもアイルランドで普通によく知られている「サリーガーデンズ」も聞かれるようになればいいなと思い、このページを作りました。
「サリーガーデンズ」といえば、こちらではなく、
こちらが普通の「サリーガーデンズ」として日本で知られることを期待しています。
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