フィドル/ヴァイオリンの学び方について
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このページはこれからアイリッシュ音楽の演奏、フィドルの演奏を学び始めようと思っている方向けに、学び方の基本をお伝えするために作成しました。
このページに書いてあることが100パーセント正しいわけではないですが、書いてある情報としては既に広く周知されていることが多いと思いますので、まったく参考にならないということはないと思います。
ページ①では「アイリッシュ音楽」全般についてを取り上げましたが、このページではフィドル/ヴァイオリンの学び方、レッスンの受け方などに焦点を当ててみました。
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このページに書かれていることをざっと要約すると、
このページに書かれている内容の多くは、以下の本からの抜粋しています。
以下の本をご自身で読んでみても良いと思います。
左から、
菅原英洋著
森元志乃著
キアラン・カーソン著 / 守安功訳
「だれにでもわかるヴァイオリン奏法の知識」と「ヴァイオリン各駅停車」はクラシックヴァイオリン向けの内容となっています。
フィドルに応用できることも書かれていますが、フィドルに応用できないことも書かれているので、書かれていることを全て鵜呑みにしてしまうとフィドルから遠ざかってしまいますので、ご注意ください。
この記事では、上記の本よりフィドルに応用できることを抜粋して紹介しています。
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まずはじめに、「ヴァイオリン各駅停車」という本を紹介させていただきたいと思います。
この本には、楽器の弾き方だけでなく、楽器の構造のことや、楽器の手入れの仕方や、弦のことなど、ヴァイオリンについてありとあらゆることが載っています。
この本の中に、ヴァイオリンの基本姿勢について解説しているページがあります。
このページの中で、ヴァイオリンの演奏姿勢について以下のように書かれています。
「ヴァイオリンの演奏姿勢は、他の楽器より不自然です。」
と書いてあります。
フィドルも、楽器自体はヴァイオリンと同じものですから、当然「フィドルの演奏姿勢は、他の楽器より不自然です。」ということになります。
この本では以下のように続きます。
「ヴァイオリンの演奏はハードである」
「日常動作ではあまり使用しない「体の正面近くで腕を前後に屈伸させる」という運動をしています。」と書いてあります。
「体の正面近くで腕を前後に屈伸させる」という運動だけなく、基本的にヴァイオリン/フィドルの演奏には「何らかの運動」が伴います。
他の楽器の演奏でも当然「何らかの運動」が伴うと思いますが、ヴァイオリン/フィドルでは、日常生活ではあまり使うことのない「体の動作」を要求されるのです。
例えばですが、「ピアノでただ音を出す」ために必要に体の動作は、それほど難しいことではないと思います。
ピアノでただ音を出すだけでしたら、鍵盤を押すだけでいいわけですから、誰にでもできると思います。鍵盤を押すという動作は、特別難しい動作ではないと思います。
ところがヴァイオリン/フィドルは弓を持ったり、弓で弦を擦ったりと、日常的にはやらないような動作が伴うので、ピアノに比べるとただ音を出すだけでも一苦労なのです。
こちらはさきほどの「ヴァイオリン各駅停車」という本と合わせてお勧めしたい「だれにでもわかるヴァイオリン奏法の知識」という本です。
クラシック・ヴァイオリン向けですが、フィドルにも応用できる練習方法が載っています。
この本に以下のようなことが書いてあります。
この本にも、「ピアノですと、一つの音を鳴らしただけでは、習い始めて間もない人と大演奏家を比べても、そう大差はありません」と書いてある通り、ピアノで「ただ音を出す」だけでしたら、それほど難しいことではないのですが、ヴァイオリン/フィドルはそうはいかないのです。
ヴァイオリン/フィドルの習い始めの段階において、何が難しいかといえば、「慣れない動作」なのだと思います。
そういったことからフィドルが簡単か難しいかと言えば、個人差はあると思いますが、多くの人にとって、特に大人になってから始める場合は、決して簡単な楽器ではないと思います。
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フィドルを始めるにあたって覚えておきたいキーワード①
・フィドルは簡単な楽器ではない
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ヴァイオリンとフィドルは基本的にはどちらも楽器です。
「楽器という道具」としての違いはありません。
ですので、ひとつ上に書いた通り「道具としての根本的な使い方」は一緒ですので、道具を扱う上での難しさはヴァイオリンもフィドルも共通だと思います。
ヴァイオリンで難しいことは、フィドルでも難しいのです。
フィドルとヴァイオリンの大きな違いは、演奏する音楽と、音楽を弾く時に使われる技術的な所だと思います。
「フィドル(ヴァイオリン)を始めるにあたって知っておきたいこと①」というページで、アイルランド人の著者によるアイリッシュ音楽関連の書籍をいろいろと紹介したのですが、
その中の一冊、「Ciarán Carson(キアラン・カーソン)」による「Pocket Guide to Irish Traditional Music」という本には、フィドルとヴァイオリンの違いについて以下のように書かれています。
この本は日本語に翻訳されていて、日本語訳版は「アイルランド音楽への招待」というタイトルで出版されています。
右が「Pocket Guide to Irish Traditional Music」の原書、左が訳本です。
この本の中で、フィドルとヴァイオリンの違いは以下のように書かれています。
以下が上記の和訳です。
本に書いてある通りですが、
上記の本には、
・ヴァイオリン奏者にとっての「良い音」は、フィドル奏者にふさわしくないものである。
(つまりヴァイオリンの音は、悪い音ということになります。)
・ヴァイオリン奏者の演奏法は、良い伝統音楽の演奏に悪い影響を与える。
・クラシック音楽の訓練は伝統音楽の演奏家にとって邪魔になる恐れがある。
と書いてあります。
これだけ悪く書かれるのであれば、最初からやらないに越したことはないと思います。
フィドルの演奏に興味を持ち始めたような方で、「先にちょっとヴァイオリンを習って、少し弾けるようになってからフィドルを始めてみようかな」というようなことを仰る方がけっこういらっしゃいます。
私個人としては、本当の本当に「フィドル」を弾きたいのであれば、最初から「フィドル」として始めた方が良いと思います。
これを書いている私自身は、アイルランドでフィドルの演奏を学び、現地で演奏の技能試験に合格し、指導者資格試験にも合格しています。
私自身はヴァイオリンを弾いたことは一回もありません。最初からフィドルとして始めたのです。
ヴァイオリンをやっていないことで困ったことは一度もありません。
アイルランドに住んでいた時に、現地にフィドルを学びに来たクラシック・ヴァイオリン経験者さんたちが口を揃えて「私が弾くと何を弾いてもクラシック音楽っぽくなっちゃう」とか、「ヴァイオリンをフィドルらしく弾くのが難しい」と言っているのを何度も聞きました。
楽器としては同じものですがら、フィドルを始めるにあたってヴァイオリンを弾いていけないということはないかもしれませんが、ヴァイオリンをヴァイオリンとして弾けば弾くほど、フィドルから遠ざかっていく可能性があると思っていただいてもいいのかなと思います。
これからフィドルを始めてみようと思っている方は、本当にやりたいのはどっちなのかをよく考えた上で、選んでみるとよいのではないかなと思います。
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フィドルを始めるにあたって覚えておきたいキーワード②
・ヴァイオリン奏者にとっての良い音は、フィドル奏者にふさわしくないもの。
・ヴァイオリン奏者の演奏法は、良い伝統音楽の演奏に悪い影響を与える。
・クラシック音楽の訓練は伝統音楽の演奏家にとって邪魔になる恐れがある。
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先ほど掲載した「ヴァイオリン各駅停車」は以下のようなことも書いてあります。
「教本類の記述をみると、言葉が足りなく感じることが多々あります。しかし、これは当然といえば当然、レッスンを受けることを前提に書かれているからです。」
と書いてあります。
フィドルにも教本類はあります。
教本には、「楽器の持ち方」、「弾き方」、「練習の仕方」など色々と書かれていますが、、、基本的には「要点がまとめられている」だけです。
もちろん要点だけを見て、弾けるようになるのであれば、それに越したことはありません。
問題は教本に書いてあることを書いてある通りにやったけど、出来るようにならなかった時です。
どこが間違っていたのか、どこを直せば教本に書いてある通りになるのか、教本は教えてくれません。
教則本(教則ビデオなどもそうですが・・・)は基本的に一方通行な指導です。
教本を書いた人は、教本を見て練習している人を直接見ることはできません。
「ここに書いてあることは、こういうふうに練習してみてください。もしこういうふうに練習して、出来なかった時は、ここをこんな感じに直してみて~・・・」のように色々なシチュエーションに合わせては書かれていません。
この記事を書いている私自身もフィドルの指導をしてます。
このサイトにも、フィドルの弾き方を説明しているページがあります。
それを見て練習した人が、ちゃんと出来たかどうかを私は確認できないのです。
ホームページで弾き方を公開しているだけでなく、対面でレッスンをする教室もやっています。
教室には色々な方が習いに来てくださっています。
教室に通ってくださっている生徒さんのレベルは人それぞれです。
例えばある技術的な内容のレッスンをするとして、一回教えてさっと出来るようになる生徒さんも居れば、何回教えてもなかなか上達できない生徒さんもいます。
教則本を書く場合ですが、一回教えてさっと出来るレベルの方に合わせて書くのか、10回以上やってもできない人に合わせて書くのか、色々なケースに合わせて書いていたら、ページがどれだけあっても足りません。
万人に合わせて一冊の本にするのはとても難しいことだと思います。
上記の本に、「演奏法は本来、口伝耳受、人から人へと伝えていくものですから、十冊本を読むより、一度レッスンを受けるほうが能率的ではあります。」
と書いてある通り、本やビデオを見て独学で練習するよりも、先生に就いて習った方が能率的だと思います。
「ヴァイオリンの奏法には厳格な決まりがあって、総てそれに従って演奏しなければならない、というものではありません。」
と書いてあります。
当サイトの「フィドル(ヴァイオリン)を始めるにあたって知っておきたいこと①」のページ上で、フィドルの演奏の特徴として、「誰ひとりとして、なにかの曲をまったく同じに演奏することはありえない」と書いたのですが、クラシックのヴァイオリンも人によりけりなようです。
この本の中で、「正しい奏法とは何かといいますと、響きのある美しい音、正確な音程、正しいリズム、コントロールされた強弱、これらがきちんと演奏できるのが正しい奏法です。」と書かれています。
アイリッシュのフィドルも、「響きのある美しい音」、「正確な音程」、「正しいリズム」など、こういったことははとても重要だと思います。
独学で演奏を学ぶ場合、自分の演奏や練習の仕方を客観的に見れるかどうかが、上達へのポイントだと思います。自分自身で自分の演奏が「合っているかどうか」を自分で確認しながら、進めていかなければいけないのです。
個人的には自分の演奏の出来栄えや、練習の仕方を客観的に見てくれて、助言してくれる人、スポーツでいえばコーチのような存在が身近に居た方が、上達は早いと思います。
これからフィドルを始めようとする方で、人から習おうか、独学で頑張ろうかと迷っていらっしゃるようでしたら、私的には人から習われるのをお勧めいたします。
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フィドルを始めるにあたって覚えておきたいキーワード③
・教則本はレッスンを受けることを前提に書かれている
・演奏法は口伝耳受、十冊本を読むよりレッスンを受けるほうが能率的
・正しい奏法とは響きのある美しい音で、正確な音程とリズムで、コントロールして弾けること
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独学ではなくて、レッスンに通って習うとなった場合、どのくらいの頻度で習うのが良いのでしょうか。
以下は、とあるヴァイオリンの教室のホームページ上に掲載されていた「上手になるスケジュールのたてかた」というページのスクリーンショットです。
勝手に掲載してしまうのはどうかと思ったのですが、残念ながらこのホームページはもう公開されていないようで、URLにアクセスしても開くことができません。サイトの運営者さんに連絡することもできないので、スクリーンショットを掲載させていただくことにいたしました。
ちなみにもともとのURLは「https://home.c01.itscom.net/vltobise/plan.html」でした。
上のページはヴァイオリンを教えている方が掲載していたページです。
私も同じ楽器を教えていますので、このページに書いてあることはとてもよく分かります。
私の教室も、月1回や不定期でも通えますと言っていますが、正直なところ初心者の方で月1回や不定期での受講だとなかなか上達しないと思います。
どんなスケジュールで受講するかは生徒さんの自由なので、一か月に一回や不定期での受講であっても私自身は構いません。(上記のページにも同じようなことが書いてあります)
上記のページにも書いてありますが、フィドルを演奏するためには覚えないといけないことがたくさんありますので、上記のページにも書いてある通り、欲を言えば1日おきくらいのペースで、そうはいかないとしてもせめて週1回くらいのペースでレッスンに通えた方が、上達が早いと思います。
ある程度基本的なことができるようになれば、月に1回や月に2回のレッスンでも大丈夫だと思います。
今からフィドルを始めようという方で、教室に通うことを考えているようでしたら、個人的には最初のうち週に1回くらいのペースで通われることをお勧めいたします。
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フィドルを始めるにあたって覚えておきたいキーワード④
・レッスンに通うのであれば、最初のうちは週に1回通えるのがベスト
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フィドルを始めるにあたって、独学ではなく先生に就いて習うとなったらですが、
レッスンに就く際ですが、先生は一人だけにすることをお勧めいたします。
先ほどから何度も登場してもらっているこちらの本には、以下のようなことが書いてあります。
上に書いてあるようなことは、フィドルを習っている時もよく起こります。
多分、他の楽器でも同じようなことがあると思いますし、音楽だけでなくスポーツや他の分野でも似たようなことがあると思います。
「同時期に二人以上の先生に就く事は、奏法上の混乱を招いたり、先生との感情を損ねたりする場合もありますから~」と書いてある通り、
同時期に二人以上の先生に就くと、間違いなく混乱します。
もし同時期に二人以上の先生から習うのでしたら、「別の先生はこう言ってるんですけど~」みたいなことを言うのは絶対にやめた方がいいと思います。
本には「先生との感情を損ねたりする場合もありますから~」と書いてありますが、本当にその通りだと思います。
最近は「YouTubeでこんなふうにやっていたんだけど~」、「YouTubeだとこんなふうに言っていた」など、YouTube先生に師事する人も多いので注意が必要です。
何かを習得するのに、たった一つのやり方でしか習得することができないということはないので、色々なやり方を参考にするのは悪いことでないと思います。
ただ同時進行でああでもない、こうでもないとであれこれやりだしてしまうと、収拾がつかなくなってしまうこともありますので、同時期に二人以上の先生から習ったり、YouTubeで見たことをあれこれと手を出すのは控えた方がいいと思います。
ヴァイオリンやヴィオラ、チェロなどの弦楽器についての情報を扱う「サラサーテ」という雑誌があります。
基本的に「クラシック・ヴァイオリン」の情報がメインなので、「アイリッシュ・フィドル」には関係のない情報の方が多いのですが、たまにフィドル奏者にも役立つ情報が載っていることもあります。
以前、サラサーテ誌上でボウイング(ヴァイオリンの弓の使い方)についての特集が組まれたことがあり、私的に興味深い記事が載っていたので、買って読んでみました。
以下はその記事からの抜粋です。
この記事の中で「いちどきりのレッスンで何かを変えることもできません。レッスンに付くのであれば、少なくとも年単位でその先生の言うことをしっかり理解して実践することが大切なのです。1回のレッスンで何かが身に付くことは決してありません。」と言っていますが、これはフィドルでも同じだと思います。
1回のレッスンで弾けるようになるのであれば、それに越したことはないのですが、実際に一回だけのレッスンでマスターできる人はほとんどいないと思います。
もちろん何をもってして、弾けるようになったとするかにもよると思います。
例えば、ピアノを習うとして、とりあえず「猫ふんじゃった」を弾ければいいので、「猫ふんじゃった」を弾けるようになるまでピアノの教室に通うとします。
私はピアノのことは詳しくないので、何とも言えないのですが、なんとなく「猫ふんじゃった」は誰にでも弾ける簡単な曲というイメージがあるので、「猫ふんじゃった」だけを弾くために教室に通うのでしたら、何年も通う必要なないのかな?という気がします。(違っていたらゴメンナサイ・・・)
もし目標が偉大な作曲家さんによる、名曲や大曲と言われるような曲だったりすると、「猫ふんじゃった」のようにはいかないのではと思います。
フィドルも同じで、フィドルで何を弾きたいかによって、そこに至るまでの時間は変わってくると思います。
フィドルの曲にも「猫ふんじゃった」レベルの誰でも簡単に弾ける曲から、ものすごく難しい曲までいろいろあります。
ピアノの初心者さんがゼロのゼロから始めて「猫ふんじゃった」を弾けるようになるまで、どれくらいかかるのかは分かりませんが、フィドルのものすごく簡単な曲であれば、まだ楽器を触ったことのない完全な初心者さんでも、多分回数にして4回目くらいで超簡単な曲を練習することができると思います。
先ほど一か月に一回くらいではなかなか上達しないという話をしましたが、初心者さんがゼロのゼロからフィドルを始めて、超簡単な曲を練習するのに4回のレッスンですから、一か月に1回のペースだと始めて4か月目に初めての曲を練習するということになります。一週間に1回ペースでしたら4週間目です。
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フィドルを始めるにあたって覚えておきたいキーワード⑤
・先生に就くのであれば、同時期に二人以上の先生に就くことは避ける
・いちどきりのレッスンで何かを変えることはできない
・年単位で先生の言うことをしっかり理解して実践すること
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指導する側としては、せっかく習いにきてくださるのであれば、最低限の基本的なことくらいはできるようになってほしいと思うものです。
では基本とはなんぞや、何をもってして基本が出来ていると言えるのか、と言えば、
私的にはアイリッシュ音楽の演奏技能試験「SCT Exam」のグレード6(6級)に合格すれば、それなりに基本的なことができたことになると思います。
試験の合格が絶対だとは思いませんし、試験を受けることを強制しませんが、試験自体はアイルランド本国の音楽協会が実施している由緒正しいものですから、決して価値のないものではないと思います。
アイリッシュ音楽の検定試験「SCT Exam」のグレード6では以下に書いてあることをやります。
見ていただければお分かりになると思うのですが、けっこうやることがたくさんあると思います。
私「Taka」のレッスンでは、一応このグレード6で求められることをできるようにすることを、当面の目標と思ってレッスンを進めていっています。
ゼロのゼロから始めて、この試験の合格を目指すとなると、1週間に1回レッスンに通っても2年以上はかかると思います。
2年以上かかる理由ですが、上記の試験の合格を目指すとなると、クリアしなければいけない課題がいくつもあります。
その中には以下のような課題もあります。
上に書いてあることを試験当日にやるわけですが、
まず8曲を弾けるようにしておかないといけません。
それ以外に「レパートリーリスト」というのを提出しないといけません。
レパートリーリストには最低40曲の曲が必要です。40曲の中にはパフォーマンスセクションで演奏した8曲の曲を含めることはできませんので、試験当日までに48曲の曲を弾けるように準備しておかないといけないのです。
もし1週間に一回レッスンをやるとして、一回のレッスンで一曲習うとします。
一か月間に4回レッスンでしたら、1年間で48回レッスンがあります。
1週間に一回のレッスンで一曲ずつ習って、一週間で一曲ずつ弾けるようにしていけば、一年間で48曲の曲が弾けるようになります。
この計算の通りに行けば、試験で必要な曲の数は一年間で習えることになります。
試験では楽曲の演奏以外のこともやりますので、そういった諸々のことも含めて習うとなると、最低でも2年は必要かな?といった感じです。
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2週おきでレッスンに通われる方であれば、単純に考えてその倍の4年、1か月に1回でしたら8年はかかる計算になります。
生徒さんの中には「ものすごく本格的にやろうと思っているのではない」とか、「試験とかはどうでもよいので、なんとなく楽しめればいい」という方もいらっしゃいますので、実際には生徒さん一人一人の要望に合わせてレッスンをやっています。
これからフィドルを始めようと考えている方で、先生に就いて習うようでしたら先生は一人だけにするのがお勧めです。また実際に始めるのであれば、できれば具体的な目標があった方が習いやすくなりますし、上達も早いと思います。
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フィドルを始めるにあたって覚えておきたいキーワード⑥
・最低限の基本を学ぶのに最短でも2年以上はかかる
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「先生に迷惑をかけるといけないから、自分で練習してもう少し弾けるようになってからレッスンに来ようと思います。」
とか、
「レッスンの前に何かやっておいた方がいいことありますか。」
など、このようなことを仰る生徒さんがいらっしゃいます。
講師の心情としては、レッスンに来るのであれば、何もしないで来てほしいです。
今これをお読みの方で、ご自身で何かを指導する立場にいる方であれば、分かっていただけるのではと思うのですが、基本的にはまっさらな状態の人の方が教えやすいです。
私のレッスンに通われるのであれば、何も手を付けずにゼロのゼロの状態で来てほしいです。
山田満知子さん*という有名なフィギュアスケートのコーチの方が、ラジオのインタビューで以下のようなことを言っていました。(*伊藤みどり、浅田真央、宇野昌磨などを指導したスケートの名コーチだそうです。)
上で山田満知子コーチが言っている通りなのですが、私もゼロのゼロから教える方が教えやすいと思っています。
途中から始めるとなると、教える側としては、どこから何を手を付けていいか分かりにくくなるのです。
開始ポイントを探るためのレッスンをしなければいけないこともあるので、場合によってはゼロから始めるよりも時間がかかってしまうこともあります。
それをするぐらいなら、ゼロから始めた方が楽なのです。
これからフィドルを始めようと思っている方は、何も知らない状態で始めてしまって大丈夫ですのでご安心ください。
ちなみに私の教室は、山田コーチと違って途中から始める人でも通っていただくことが可能です。
途中から始めるからといって、お断りすることはありません。
また途中から始める場合は、基本的にはこれまでにやってあることはそのままにして、レッスンを開始することの方が多いです。
生徒さん側から、何としてもゼロのゼロに戻って全てを一からやり直したいというお申し出があれば、最初の最初から始めることも可能です。
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フィドルを始めるにあたって覚えておきたいキーワード⑦
・教える側の立場としては、ゼロから始める方が教えやすい
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「耳で聞いて弾くのが苦手」とか「見よう見まねで弾くのが苦手」とかで、レッスンの前に予習しておきたいので、次回のレッスンで弾く曲を教えてくださいと仰る方がいらっしゃいます。
レッスンに通って習うのでしたら、大事なのは予習よりも復習です。
下手に予習をしてしまうと、悪い癖をつけてしまう可能性があるので、基本的に予習はしない方がいいと思います。
レッスンでやったこと、言われたことだけをちゃんと復習するのが大事だと思います。
たぶん私以外にも、予習をやってきてしまう生徒さんに頭を悩ませている先生が居るに違いないと思い検索してみたら、やはり居ました。(笑)
「ピアノ佳奈ドットコム ウィーン」というウィーンでピアノの先生をされている方のサイトに↓↓こんな記事↓↓が載っていました。
「ピアノのレッスン お願い、親御さんと予習してこないで〜!切望!親子関係はピアノのレッスンとは無関係の話」というページです。
こちらに私が言いたいことが全部書いてありました。
そのページの内容をちょっとだけお見せしたいのですが、以下のようなことが書いてありました。
多くの先生アルアルと書かれていますが、本当にその通りだと思います。
こちらのページにも書いてありますが、自己流で練習して変な癖をつけるくらいなら、全く練習しないで習いに来てくれる方がいいのです。
言われたことだけを練習してきてくれると本当に助かります。
欲を言えば言われたことをただやるだけでなく、言われたことを言われた通りに出来るようになっていると、すっごく有難いです。
もっとも、なかなかそうはいかないのですが・・・
予習をするということは、自己流で独習をしたのと同じことですから、その部分に関しては、自分で何とかしてほしいです。(やり直しをやっていると、手間も時間もかかるので・・)
レッスンに通って人から習うのであれば、大事なのは予習よりも復習です。
これからフィドルを習おうかなという方で、教室に通われるようでしたら、とりあえずまずは教室で習ったことだけを出来るように練習してみてください。
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フィドルを始めるにあたって覚えておきたいキーワード⑧
・予習よりも復習が大事
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ここまでに出てきたキーワード(総まとめ)
・フィドル(ヴァイオリン)は簡単な楽器ではない。
・ヴァイオリン奏者にとっての良い音は、フィドル奏者にふさわしくないもの。
・ヴァイオリン奏者の演奏法は、良い伝統音楽の演奏に悪い影響を与える。
・クラシック音楽の訓練は伝統音楽の演奏家にとって邪魔になる恐れがある。
・教則本はレッスンを受けることを前提に書かれている
・演奏法は口伝耳受、十冊本を読むよりレッスンを受けるほうが能率的
・正しい奏法とは響きのある美しい音で、正確な音程とリズムで、コントロールして弾けること
・レッスンに通うのであれば、最初のうちは週に1回通えるのがベスト
・先生に就くのであれば、同時期に二人以上の先生に就くことは避ける
・一度だけのレッスンで何かが出来るようになることはない
・年単位でレッスンに通い、先生から言われたことを実践すること
・最低限の基本を学ぶのに2年以上はかかる
・教える側の立場としては、ゼロから始める方が教えやすい
・予習よりも復習が大事
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
ここまで、このページでは、以下のようなことについて書いてきました。
・フィドル(ヴァイオリン)は簡単か、難しいか、
・フィドルとヴァイオリンの違い
・独学で弾けるようにするか、人から習うか
・レッスンを受けるのであれば、どのくらいの頻度がよいか
・先生に就くのであれば、同時期に二人以上の先生に就くことはお勧めできない
・ある程度のことができるまでに2年はかかると見てほしい
・ゼロのゼロから始める方が教えやすい
・大事なのは予習よりも復習
ここまで書いてきたことをまとめると、
あくまで私個人の意見ですが、
これからフィドルを始めようとしている方へのアドバイスとして言えることは:
・フィドルは簡単ではないと思います。
・フィドルが弾きたいのであれば、ヴァイオリンはやらずに、フィドルとして始めた方が良いと思います。
・独学よりもレッスンを受けた方が上達は早いと思います。
・レッスンに通うのであれば、できれば週に一回くらいがベストです。
・先生に就くのであれば、同時期に複数の先生に師事するのはお勧めしません。
・最低限のことができるようになるまで、多分2年くらいはかかると思います。
・教える側の立場としては、ゼロから始める人の方が教えやすいです。
・基本は予習よりも復習。
だと思います。
以上これからフィドルを学ぶにあたって参考なれば幸いです。
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