【アイリッシュ音楽の本場『アイルランド』で音楽を学ぶ】
learning to play the Irish traditional music in Ireland
アイルランド音楽(アイリッシュ音楽)は、アイルランドの伝統芸能です。
もし真剣にアイルランド音楽を学ぶのであれば、最良な方法はアイルランドに行って勉強することだと思います。
アイルランドでアイルランドの音楽を勉強するといっても色々な方法があると思います。
このページでは色々なアイルランド音楽留学の形を紹介したいと思います。
アイルランドでアイルランド音楽を勉強する一つの方法として、現地のアイルランド音楽の専門課程のある大学に入るのも手だと思います。
アイルランドにも色々な大学がありますが、全ての大学にアイルランド音楽の専門課程があるわけではありません。
もちろん好きな時にいつでも入学できるものでもありません。
入学するためには試験がありますし、学士コースの場合は「CAO」という日本の大学入試センターに相当する機関を通じての受験となります。
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アイルランド音楽(アイルランド伝統音楽/アイリッシュ音楽)を勉強できる大学の中で、一番よく知られているのがリムリック大学です。
リムリック大学はアイルランド第3の都市「リムリック」にある国立大学です。現地では「UL (University of Limerickの略)」の略称で知られています。
リムリック大学のアイルランド音楽の専門課程「BA Performing Arts - Irish Traditional Music」はアイルランド音楽で学位を取得できるコースとしては一番歴史が古く、これまで多くの優れた演奏家を輩出しています。
音楽やダンスなどのパフォーミングアーツ系の課程が設置されている「Irish World Academy of Music and Dance」の校舎
実は私「Taka」もここで勉強していたことがあります。
色々と事情があり卒業はしていないのですが・・
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アイルランド音楽の演奏の上達にはアイルランドで勉強するに限ると思った私は、個人教室よりも大学の方が数年間じっくりと腰を据えて勉強できると思いこの学校を受験したのですが・・
願書を送り、入試に合格し入学できることにはなったのですが・・
合格を伝える手紙
学費がとても高いのです!
学費が年間1万4461ユーロ(約180万円)*もするのです・・
とてもこんな高い学費を払える余裕はなかったのですが・・
*1年間の学費。4年間だと720万円!
入学の意思があるのであれば、まず200ユーロ(約2万6千円)払うようにとのことだったので、とりあえず200ユーロを収めました。
その後入学式に出席するようにと連絡があり、入学式に出席しました。
入学式の後にオリエンテーションがあり、学生証を作ってもらい、時間割表が配られ~と、
流れ作業的(!?)にリムリック大学の学生になってしまったのでした・・
その時点で学費はまだ納めていなかったのですが、払うようにも言われなかったので、とりあえずしばらくの間大学に通ってみることにしてみました。
しばらく通ってみて、180万円払ってでも行く価値があると思えればなんとかして学費を工面してとも思ったのですが・・・
自分の思い描いていたものとはだいぶ異なっていたので、結局ファーストセメスター(1学期)の期間だけ通って辞めることに、、
そもそも学費をちゃんと納めていなかったので、後から通った分だけも払えと言われるのも何だったので、誰にも何も言わずに消え去ったのでした・・・
自分の思い描いていたことと何が違っていたかというと、大学ではアイルランド音楽以外の勉強もそれなりにやらないといけないというのが、自分にはちょっと大変すぎました。
私が大学に入った時点では、私自身アイルランド音楽をまだ始めたばかりで、特に一番気になっていた所は何といっても『演奏技術』でした。
とにもかくにも演奏技術を上達させたかったので、その練習に没頭できる時間が欲しかったのですが・・
大学では楽器の演奏に関わる授業もありますが、それ以外にも
・アイルランドの歴史
・アイルランド語
・音楽の歴史(アイルランド音楽以外も含めた西洋音楽全体の歴史)
・ミュージック・テクノロジー(人は何故音が聞こえるかとか、科学的な側面から『音』や『音楽』について勉強する科目)
・ミュージック・ビジネス (音楽と商業的な関りについて勉強する科目で、コピーライト(著作権)関係のことなどは、この科目で勉強しました)
などの授業もあり、それぞれの授業で宿題も出るので、実際のところ楽器を持てる時間があまり取れなかったのです。
楽器の演奏技術の向上は実際に楽器を弾いてなんぼですから、楽器に触れる時間が少ないのでは一向に上達しません。楽器に触れる時間が取れないのであれば、大学に行ってまで勉強する意味はないかなと思い学校を辞めることにしたのでした。
学費に180万円も払うのであれば、自分の好きな奏者、それも超有名で、普通なら個人レッスンなんかしてくれなさそうな奏者に180万円積んでレッスンをつけてもらった方がましだと思い、実際にとある奏者にレッスンを申し込んだのでした。
レッスンを申し込んだ奏者というのがアイルランドを代表するフィドル奏者『マーティン・ヘイズ』だったのです。
ちなみにレッスン代は180万円の100分の1もしませんでした・・
マーティン・ヘイズとマーティン・ヘイズの家の前で
私自身にとってはアイルランド音楽を大学で勉強するということは合いませんでしたが、最近は大学の「アイルランド音楽課程」で学ぶ現地の奏者も増えてきています。
私が入学した時も同級生にアイルランドを代表するコンサーティーナ奏者の「イデル・フォックス (Edel Fox)」や、エド・シーランのバックバンドでフィドルを弾く「二ーヴ・ダン(Niamh Dunne)」、『ビョーガ (Beoga)』というバンドでアコーディオンを弾く『Séan Óg Graham』などが居ました。
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大学だと「アイルランド音楽」の演奏以外のことも勉強しなくてはいけませんが、アイルランドを代表する若手演奏家と一緒に学べるので、色々な意味でいい刺激になると思います。
卒業まで最低3年から4年かかるのと、学費がかなり高いですが、その辺りを妥協できるのであればアイルランド音楽を現地の大学で学ぶのもアイルランド音楽をマスターする一つの方法だと思います。
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アイルランドの大学に留学するといっても、いつでも誰でも入学できるわけではありません。
入学に関わる手続きは「undergraduate」と「 postgraduate」でも異なります。
「undergraduate(アンダーグラデュエイト)」は学士課程、日本でいうところの4年制の大学と同様の扱いになります。
卒業(修了)すると「Bachelor Degree (バチェラーディグリー)」が授与されます。「Bachelor Degree」は学士の学位です。
アイルランドでは学士課程=4年ではなく、年数はコースによってまちまちで、一般的には3年で修了というコースが多いです。
ちなみにリムリック大学のアイルランド音楽のコースは4年間です。
「postgraduate(ポストグラデュエイト)」は修士課程、つまり大学院ということになります。
卒業(修了)すると「Master Degree (マスターディグリー)」が授与されます。「Master Degree」は修士の学位です。
アイルランドの修士課程は1年で卒業(修了)というコースが多いです。
リムリック大学のアイルランド音楽の修士課程は1年間です。
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アイルランドの大学にも当然入学試験があります。
アイルランドではそれぞれの大学が独自に入学試験を実施しているのではなく、どこの大学を受験するにせよ「CAO」という機関を通じて受験します。
厳密にいうと「大学」だけでなくほぼ全ての「サードレベル教育機関 (third level education)」はCAOを介して受験することになっています。
サードレベル教育機関とは高校の次に行く教育機関のことで、専門学校や短大も「サードレベル教育機関」になります。
リムリック大学の入りたいと思ったら、リムリック大学に出向いてリムリック大学に入るための試験を受ける、というわけではないのです。
「CAO」とは「Central Application Office」の略で、「Leaving Certificate (リーヴィング・サーティフィケイト)」と呼ばれるアイルランドの全国統一高校一斉卒業試験の結果を集計する役割を担っています。
アイルランドでは高校卒業時に、全国統一で実施される一斉卒業試験が、大学の入学試験を兼ねているのです。
アイルランドの大学は、「その大学に入学するために入学試験」を受けて入るのではなく、全国統一の高校卒業試験の成績で、進学できるできない、進学できるとしてどの大学のどの学部に入れるかが決まるのです。
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アイルランドの高校卒業試験「Leaving Certficate」の成績表
「Leaving Cert」は高校卒業試験と大学入学試験を兼ねた、アイルランド人にとっての人生の一大イベントなのです。
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基本的にアイルランド人以外の受験生であっても学士課程に進学するのであれば「CAO」を介して受験します。
アイルランド人でなくてもアイルランドの高校卒業一斉試験を受けることは可能ですが、現実的ではないので外国人であれば留学生として入学を目指した方がいいと思います。
外国人だと「overseas student (留学生)」の枠で受験することが可能です。(私はこの枠で受験しました)
外国人枠だと入学できるできないの采配はそれぞれの大学が独自に決定することもあり、大学に出向いて試験を受けることになる可能性もあります。(私の時はそうでした)
アイルランドは9月に新学年が始まりますので、日本とは受験シーズンが異なります。
アイルランド人と同様に受験するのであれば5月1日までに願書を出します。
留学生枠であれば前年の12月までに願書を出します。
もし2019年の9月にアイルランドの大学に入学したいのであれば、2018年の12月までに願書を出さないといけません。
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なお大学院の場合は、CAOを介す必要はありません。
それぞれの教育機関が個々に入学試験を実施しています。
アイルランドへの留学、特に大学などアイルランドの正規の教育機関への留学はとてもお金がかかります。
アイルランドにある総合大学は全て国立なので、アイルランド人やEU諸国出身の学生はそれほど学費が高くないのですが、EU諸国以外の国出身者の学費はとても高くなります。
もし上記のリムリック大学の伝統音楽科で学ぶとなると一年間の学費は約180万円です。
4年間のコースなので4年間で720万円です。
それにプラス生活費がかかります。
アイルランドで暮らすにはなんだかんだで一年間180~200万円は必要になると思います。
特に音楽関係の学生となると楽器にもそこそこの費用がかかります。(フィドルであれば弦の交換や弓の毛の交換にかかる費用、不測の事態に備えて予備用の楽器の購入資金~などなど、生活費にはそこそこの余裕が欲しいところです)
そうすると1年間で学費と生活費合わせて360~380万円。
4年間で1440万~1520万円くらいかかることになります。
フルタイムの学生であればアルバイトが認められているので、生活費の幾分かはバイトから捻出することも可能ですが、それでも1400万はかなりの額ですからアイルランドの大学に留学するとなるとそれなりの覚悟が必要になるでしょうか。
アイルランド音楽を専門的に学べる学科を設置している大学はリムリック大学以外にもあります。
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コーク大学(University College of Cork、略してUCC)はリムリック大学よりも以前から伝統音楽家に門出を開いていたアイルランドの高等教育機関(国立大学)です。
リムリック大学に伝統音楽の学科が設置される以前は、伝統音楽家が学位を取得できる大学はここしかなかったそうです。
ただしコーク大学には所謂「伝統音楽」専門のコースではなく、あくまでも普通の「音楽」のコースになります。
ここのコースは基本的に日本の音大とほぼ同じ扱いになります。
伝統音楽に特化したコースとして1年間の「ディプロマ・コース」がありますが、これは日本でいうところの専門学校の扱いで、このコースを修了しても大学を卒業したことにはなりません。
アイルランドには「大学」と名がついていても、大学卒業扱いにならないコースがあったりします。
また「大学」と名がついていなくても「大学卒業」扱いになるコースが設置されている教育機関もあります。
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コーク大学の学士課程は、伝統音楽の経験しかない演奏家にとっては、リムリック大学よりもかなり難易度が高くなります。
私(Taka)もこの大学での勉強も考え、UCCで先生をしているフィドル奏者に入試について相談しに行ったことがあるのですが、ほぼ日本の音大を受験するのと同じくらいの知識を求められるということが分かり受験を諦めた経緯があります。
ここのコースの期間は4年間、学費は1年間で13,300ユーロ(168万円)です。(4年間で672万円)
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上の画像はコーク大学の音楽学部の入試の過去問です。
左上の「UCC」はコーヒーの会社ではなく「University College of Cork」の略です。
コーク大学の音楽学部の入試ではキーボード(ピアノ)の初見演奏や、視唱、理論系の問題もあり、ちょこっとティンホイッスルやフィドルをかじった程度ではとても合格できるような内容ではありません。
コーク大学の先生に入試について尋ねたところ、「ピアノが弾けないときついよ」と言われ、他にも音楽理論や初見奏も出来ないといけないとのことで、入試について聞きにいった時点でピアノどころか楽譜の読み書きすら全くできなかったので、受験をする意味すらないと悟ったのでした。。。
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コーク大学で勉強するためにピアノや楽典をやっておかないといけないので、やや難易度が高いですが、卒業すると所謂「音大卒」と同じ扱いになりますので、「アイルランド伝統音楽」以外の場に活躍の場を求めるのであればこちらの方がつぶしが利きます。
リムリック大学の「アイルランド伝統音楽課程」は卒業すると授与されるのは「文学士 (Bachelor of Arts*)」の学位であって音楽の学位ではありません。
*「Bachelor of Arts」の「Arts」は芸術(art)という意味ではありません。
あくまでアイルランド音楽の教養を身に着けた「文学士」という扱いで音楽の専門家とは見なされないのです。
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ダンドーク工科大学はアイルランド北東部の「ダンドーク(Dundalk)」にある公立のサードレベル教育機関です。
「工科大学」と訳しましたが、英語での正式名称は「ダンドーク・インスティテュート・オブ・テクノロジー」といい、どこにも大学(university または college)という名称は入っていません。
先ほどアイルランドには大学と名がついた教育機関であっても「大学卒」の扱いにならないコースが設置されていたり、大学と名が付いていなくても「大学卒」の学位が取得できる教育機関があると説明しましたが、まさにここは「大学と名がつかなくても大卒の学位が取得できる教育機関」になります。
アイルランドにはダブリンやゴールウェイ、コークなどにも「インスティテュート・オブ・テクノロジー」があります。
ダンドーク工科大学には修士号(大学院卒)を取得できるアイリッシュ音楽専門のコースが設置されています。
期間は1年間、学費は12,000ユーロ(約150万円)です。
・MA in Traditional Music Studies
(アイルランド伝統音楽文学修士号課程)
MA = master of arts = 文学修士
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National University of Ireland, Maynooth
アイルランド国立大学メイヌース校はアイルランドの首都があるダブリン(Dublin)のお隣のキルデア(Kildare)にある国立大学です。
ここもダンドーク工科大学と同様に修士の学位を取得できるコースが設置されています。
期間は1年間、学費は14,000ユーロ(約177万円)です。
アイルランド伝統音楽文学修士号課程
MA = master of arts = 文学修士
大学でアイルランド音楽を学ぶとなると、学費がかなりかかりますし、学士課程だと卒業までに4年かかります。
年間180万円もの学費を4年間も払えない ― でもアイルランドの高等教育機関でアイリッシュ音楽を学び、「アイルランド音楽をアイルランドで専門的に勉強したという証」が欲しい
ということであれば、専門学校も選択肢の一つだと思います。
専門学校であれば期間は1年~2年ですし、学費も大学よりか幾分安くなります。
以下に紹介する学校はアイリッシュ音楽を専門的に学べる専門学校、あるいは高等教育機関に設置されたアイルランド音楽のコースです。
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上の方でも説明しましたが、コーク大学には一年間の「ディプロマ・コース」があります。
先に説明した通りこのコースは大学の正規のコースではないので、修了しても大学卒業の扱いにはなりませんが、一年間ビザの心配をすることなく集中してアイルランド音楽を勉強できます。
ここで学ぶ価値があるかどうかは、習いたいと思う指導者いるかどうか、学費を払ってもいいと思えるかどうかだと思います。
ちなみに学費は1年間で14,600ユーロ(約185万円)です。
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アイルランド中西部のゴールウェイ(Galway)にあるアイルランド国立大学ゴールウェイ校(NUI Galway)には1年間のサーティフィケイト・コースと2年間のディプロマ・コースがあります。
ゴールウェイ大学のコースですが、授業はスライゴー(Sligo)という別の県にあるキャンパスで行われています。
「サーティフィケイト」とは資格の一種で、アイルランド国内だと溶接工とか配管工の資格でよく見かけます。例: National Craft Certificate - Electrician (電気工事技士の国家資格)
サイトを見る限り大人向けの生涯学習コースの一つのようです。
卒業(修了)したとしても大学を卒業したことにはなりません。
学費は一年間で1,470ユーロ (18万5千円)です。
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アイルランド王立音楽院はダブリンにある、日本の音大に相当する高等音楽教育機関です。
ここのパートタイム・コースにはアイリッシュハープのコースがあります。
パートタイム・コースは修了しても大学を卒業したことにはなりません。
こちらのコースも上のコーク大学のディプロマコースと同様に、入学するかどうかは、教えている先生と学費に妥協できるかどうかだと思います。
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バリーファーモット・カレッジはダブリンのバリーファーモットにある私立の専門学校です。
学校名に「カレッジ」と入っていますが、職業訓練校に近い扱いとなっている学校です。
ここの学校にはアイルランド伝統音楽に特化したコースがあり、アイルランドを代表する演奏家を多数輩出しています。
シャロン・シャノンとの共演でお馴染みのアイルランドを代表するシンガーソングライター「マンディ (Mundy)」はこの学校の出身です。
期間は2年間で、卒業すると「Higher National Diploma」という国が正式に認めるディプロマが授与されます。
アイルランド音楽を学ぶにあたって、フルタイムの学校でなかればいけないという決まりはありません。
いわゆる普通の個人でやっている教室で習うのも手だと思います。
教室の規模は完全に個人でやっているものから、日本でいうところのヤマハやカワイなどの色々なコースを設けているものまで様々です。
以下にアイルランド音楽を学べる教室を紹介したいと思います。
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ウォルトンズ・ニュー・スクール・オブ・ミュージックはダブリンにある音楽教室です。
伝統音楽専門の教室ではなく、クラシックやジャズ、ロックやポピュラー音楽などありとあらゆるジャンルの音楽のレッスンをやっています。
教室名に「スクール」とありますが、正規の「学校」ではありません。
「ウォルトンズ音楽院」などと呼ばれることもあるそうですが、基本的に楽器屋さんがやっている私設の音楽教室です。
正規の学校ではないので、ここで学ぶことを理由に学生ビザの取得はできません。3か月以内であればビザの問題はありませんが、3か月以上ここに通うとなると何らかの滞在許可が必要になると思います。
正規の学校ではないのでいつでもレッスンを開始でき、いつでも辞めることができます。レッスンを始めるにあたって試験などもないですし、音楽や楽器の経験も必要ありません。
外国人向けのアイルランド伝統音楽のおためしレッスンがあり、日本人で受講する人も多いらしいです。
おためしレッスンは一回66ユーロ(8300円)で受講できます。
ウォルトンズは楽器や楽譜の販売も行っていて、ウォルトンズのオリジナルのティンホイッスルはアイルランドのお土産さんでもよく見かけます。
ウォルトンズのティンホイッスルとティンホイッスルの曲集
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アイリッシュ・ハープ・センターはアイルランド西部のリムリック州にある「キャッスルコネル (Castleconnell)」という町にあるアイリッシュ・ハープの教室です。
アイルランドを代表するハープ奏者「ジャネット・ハービソン」が運営している個人教室です。
個人教室といってもジャネット・ハービソンがたった一人で教えているわけでもないようで、数人の講師で切り盛りしているようです。
ジャネット・ハービソンは「マイケル・ルーニー(Michael Rooney)」や「グローニャ・ハンブリー(Gráinne Hambly)、「リーシャ・ケリー(Laoise Kelly)」などアイルランドを代表する多くのハープ奏者を育てたことで知られています。
この教室では色々な形態のレッスンが受けられるようです。
所謂普通の個人レッスンから、1週間とか2週間、1ヵ月などといった短期間の集中講座など色々とあるようです。
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アイルランド音楽家協会はアイルランドの首都ダブリンに本部を置くアイルランド音楽の国際協会です。
正式には「Comhaltas Ceoltóirí Éireann (コールタス・キョールトリ・エーレン)」といい、日本ではCCÉ(シーシーイー)と呼んでいます。
音楽だけでなくアイルランドのダンス(アイリッシュダンス)やアイルランド語(ゲール語)など、アイルランドの伝統文化の普及に努めている協会で、日本を含め世界各国に支部があります。
アイルランドの演奏家の大半はこの協会が運営する教室の出身です。
私(Taka)もこの協会が運営する教室で演奏を学びました。
アイルランド全域にネットワークを持つので、どんな小さな村にもコールタスの教室があるといっても過言ではありません。
アイルランド国内のCCÉの教室マップ
アイルランド全域を埋め尽くしています
CCÉはアイルランドの文科省とタイアップして、アイルランド音楽の演奏試験、アイルランド音楽の公認講師の認定試験なども行っており、とても質の高い伝統音楽専門の音楽教育を受けることができます。
レッスン代は支部によって異なりますが、1レッスンあたり1500円~2000円(30分)くらいが相場だと思います。(私がアイルランドに住んでいた頃はそのくらいでした)
アイルランド西部のクレア州にあるCCÉの教室のクラス・スケジュール表
フィドル(ヴァイオリン)のクラスやダンスやアイルランド語、コンサーティーナやアイルランド語の歌のクラスもあります。
アイルランド音楽家協会が実施しているアイリッシュ音楽の演奏試験
試験を通じてアイルランド伝統の技を身につけることができます。
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taking individual lessons
アイルランドではどこかの学校に行くわけでもなく、協会が運営する教室に行くわけでもなく、大手の楽器教室でもない、全くの個人レッスンを受けることも可能です。
どこで誰が教えているかは、自分の足で探すしかありません。
行きつけのパブで弾いているお気に入りの演奏家を捕まえて直接レッスンを申し込むのもありでしょうし、楽器屋さんなどに貼られているチラシを頼りにするのも良いと思います。
上の写真はアイルランドのスーパーマーケットの中にある掲示板です。
地元のヨガ教室のチラシや、車売ります、自転車売りますといったようなチラシや、地元で開催されるイベントのお知らせなどが貼ってあります。
こういう所にもアイルランド音楽のレッスンの張り紙があったりすることもあるので、注意して見てみるといいと思います。
下の画像は実際に上の画像の掲示板に貼ってあったフルートとティンホイッスルとマンドリンのレッスンの張り紙です。
上の画像のような張り紙を見て、レッスンを申し込むのもありだと思います。
ただし、このような形での生徒さんの募集は誰にでもできますから、注意も必要です。
全然弾けない人でもチラシを貼ることが可能ですし、ポーランド人*やアメリカ人などアイルランド人*でない人でもチラシを貼れます。
*ポーランド人やアメリカ人でもちゃんと弾ける人も居ます。私(Taka)もアイルランド人ではないですが、アイルランドでアイルランド人にアイルランド音楽を教えたことがあります。もっとも私はちゃんとした指導資格を持っていまので、生徒さんがアイルランド人であろうと何人であろうとちゃんとした指導ができます。
チラシを見て連絡取ってレッスンに行ってみたら、全然弾けない人だったということが実際にありましたし、その人がちゃんと弾けているのか弾けていないかが分からず、言うなりにレッスンを受けていて逆に悪い癖を付けてしまったということも実際に起こっています。
ある程度アイルランド音楽に精通していれば、その人がまともな演奏家かそうでないか簡単に区別がつきますが、始めたばかりの日本人なんかだと区別がつかないでしょうから、完全な個人レッスンには十分な注意をはらったほうがいいと思います。
レッスン代も日本人だからといってかなりの料金をふっかけてくる人も全く居ないというわけではないと思いますので、この辺も注意事項の一つでしょうか。
そういった意味では前出のアイルランド音楽家協会(CCÉ)が関わっている教室であれば、それなりに知られた奏者/講師または資格を持った講師が教えているので、安心感があります。
アイルランドでは夏場(7~8月中)になると各地でアイルランド音楽のサマースクールが開催されます。
1日だけで終わってしまうものから、週末の2日で開催されるものなどもありますが、有名なサマースクールというと1週間程度の期間のものが多く、半世紀近く続いている歴史のあるサマースクールもあります。
人気のあるサマースクールだと世界中から参加者が集まるので、色々な国のアイルランド音楽の愛好家と知り合うことができます。
アイルランドで開催されているサマースクールのちらし
アイルランド西部クレア州の西側にある「ミルタウン・マルベイ」で毎年7月の前半に開催される「ウィリー・クランシー・サマー・スクール (Willie Clancy Summer School)」はアイルランド開催される最も規模の大きいサマースクールです。
アイルランドの演奏家でこれに参加したことのない人はいないと言ってもいいほど、ほとんど演奏家がこのサマースクールに参加した経験があります。
まるまる一冊ウィリークランシー・サマースクールについて書かれた本
ウィリー・クランシー(アイルランドの偉大な奏者にしてサマースクールの提唱者)自身のことから、サマースクールの歴史などについて書かれています。
特にフィドル(ヴァイオリン)のコースはアイルランドを代表するフィドル奏者の大半が講師陣として顔を揃えるので、とても人気があります。
毎年300人以上の生徒を集めるアイルランドで一番大きなフィドルのワークショップと言えると思います。
開催中に講師と参加者全員で撮る集合写真がサマースクールの名物になっています。
サマースクール名物のフィドルクラスの参加者全員での集合写真
ウィリークランシー・サマースクールのフィドルクラスの模様
1週間のワークショップに参加して演奏が劇的に良くなるかといえば、そういうことは多分ないと思いますが、期間中色々な演奏家の演奏を生で見れて、世界中から集まった同好の士と知り合えるのがサマースクールの良いところだと思います。
短期でしかアイルランドに行けない、でもアイルランドに行くからには現地で音楽を学びたいというのでしたら、何某かのサマースクールに参加してみるのもいいかもしれません。
ここまでざっとアイルランド国内でアイルランド音楽を学べる学校や教室を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
アイルランド伝統音楽の演奏を志すのであれば、アイルランドの人と同じ様に演奏できるのが一番だと思います。
アイルランド音楽は曲がりなりにも一民俗音楽ですから、アイルランド音楽が生まれ、育まれたアイルランドで学んでこそアイルランドの民俗特有のリズム感やフレーズ感などを理解できるようになるのではないかなと思っています。
アイルランド音楽の演奏を目指す人にはぜひ一度はアイルランドに行って、本場の学び方を体験してきてみてはいかがでしょうか。
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