アイリッシュ音楽など民俗音楽やクラシック音楽以外のジャンルで使われているバイオリンの弾き方
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このページでは楽器や弓の持ち方、音の出し方など、フィドルの基本的なことを扱っています。
所謂「ヴァイオリン」の初心者向けの基本情報が載ったサイトやブログは多くあるのですが、「フィドル」の初歩の初歩について書かれたものはほとんど見たことがなかったので作ってみることにしました。
当サイトにもフィドルの奏法について色々と解説したページがありますが、初めて楽器を持つところからは解説していません。
ご覧いただいているこちらのページは、これからフィドルを始める方にも役に立つ内容となっています。
フィドルを始めてみたいけど近くに教えてくれるところがないとか、レッスンに通いたいけど遠くてなかなか行けない、独学で頑張っている方などぜひこのページを参考にしてみてください。
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フィドルの調弦は、全くの初心者の方の場合最初はちょっと苦労するかもしれません。
調弦のやり方は下の動画を参考にしてみてください。
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調弦をする際は常に駒の角度やゆがみに注意を払うようにすると良いと思います。
フィドルは全ての弦にアジャスターを付けることが多いのですが、アジャスターの回しすぎにも注意が必要です。
アジャスターはあくまで微調整用であって、基本はなるべくペグ(糸巻き)側で調弦した方が良いと思います。
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フィドルは弓を使って弾きますが、演奏/練習の前に弓の毛の張りを調整します。
弓の毛はネジで張ったり緩めたりできるようになっています。
どのくらいの強さで張るかは演奏者の好みですが、あまり強く張り過ぎると弾きにくくなってしまいます。
どのくらいの張り具合が丁度いいかは、下の画像と動画を参考にしてみてください。
練習/演奏しないときは緩めておきます。
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フィドル(ヴァイオリン)は弾く前に弓の毛に松脂を塗ります。
買ったばかりの弓には松脂がまったくついていないので、始めは相当な回数を塗らないと音が出るようになりません。
また新品の松脂は表面がつるっとしていて、塗り込んでもなかなか弓の毛に松脂が付いてくれません。
新品の松脂は使う前に紙やすりで表面を荒らすと塗りやすくなります。
塗る回数は日常の練習の時であれば3往復くらいで十分です。
ステップ①のまとめ
フィドルを練習/演奏する前にやること
① 楽器のチューニング (各弦の音を正しく(GDAE)合わせる)
② 弓の毛を張る
③ 弓の毛に松脂を塗る
フィドルの構え方や持ち方に厳格な決まりはありません。
弾く本人が弾きやすければ、どんな持ち方でもOKです。
弾きやすい = どんな音でも楽に出せるということなのですが、どんな音でも楽に出せるようになるまでは、なんだかんだで苦労します。
画像や動画で「これが絶対正しい」という持ち方を見せることは難しいのですが、初心者の方であればとりあえず下の画像と動画を参考にしてみてください。
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フィドル(ヴァイオリン)は座って弾くこともあります。
アイリッシュのフィドルはどちらかといえば座って弾くことの方が多いです。
楽器の構え方や持ち方は座って弾くときも同じです。
座って弾くときはあまり椅子にどっかりと座り込むような座り方はあまり良くないとされています。椅子に浅く腰掛けた方が良いというのが定説になっています。
弓が腿などに触れないように座ることも大事です。
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フィドル(ヴァイオリン)を弓を持って弾きます。
弓の持ち方にもこれが絶対正しいという持ち方はありません。
大事なことは楽に音を出せるということですから、その辺を考慮すると初心者さんの場合はまず下の画像や動画のような持ち方で持ってみるのが無難だと思います。
以下の画像と動画は持ち方の手順を解説しています。
下の写真に写っているような持ち方にならないようにした方が良いと思います。
ステップ②のまとめ
■ 楽器の持ち方 ■
高く持ち上げすぎない
挟みつけるように持たない
親指の位置、親指をネックから突き出さない
握りしめるようにネックを持たない
etc
■ 弓の持ち方 ■
基本は中指と親指
人差し指は浅すぎず、深すぎず
小指を突っ張らない
etc
楽器と弓を持てるようになったら、いよいよを音を出すわけですが、フィドル(ヴァイオリン)は簡単に音を出せる楽器ではありません。
ピアノやリコーダーであれば、音を出すこと自体は誰にでもできますが、フィドル(ヴァイオリン)は「音を出すための練習」が欠かせません。
音を出す練習にも色々とあって始めから全てをやることはできないので、簡単な所から少しずつやっていきます。
始めたばかりであれば、まずはとりあえず弦を一本擦るところからスタートするといいでしょう。
どの弦を擦るかですが、とりあえずA線が無難かなと思います。
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練習する際はなるべく鏡の前でやるのが良いと思います。
弓は真っ直ぐに動いていないといけないのですが、弾きながら目の前の弓の動きを見て弓が真っ直ぐになっているかどうかを確認するのはとても難しいです。
鏡の前、厳密には鏡の横に立って弓が真っ直ぐに動いているかどうか確認しながら練習するのが良いと思います。
弓を「真っ直ぐに動かすとは」下の画像の真ん中の写真のように弓が動くということです。
両脇の2枚の画像のように斜めになってしまうのはNGです。
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よほどの天才でもない限り、ボウイングの技術を一朝一夕に身につけることはできないと思います。
最初からあれもこれもを「ちゃんとやろう」としなくても良いと思いますが、ぜひとも「右肘の位置」に関しては始めのうちから気にしていただけるといいかなと思います。
特に一番細い弦(E線)を弾く時や一番太い弦(G線)を弾く時に肘が上がり過ぎてしまうのは、あまり良い弾き方とは言えないと思います。
効率の良い音の出し方やスムーズな移弦(隣の弦から隣の弦へと弓を移動させること)のことを考えると、右肘の位置、高さ、角度はとても重要になってくると思います。
もっとも、これが絶対に正しいという肘の位置もないといえばないのですが、個人的には下の画像や動画で説明している肘の位置が無難なところかなと思っています。
基本的には一番細い弦を弾くときは肘が一番下がった状態になるのがベストだと思っています。E線の肘の高さを基準にそれぞれの弦に弓の毛が届くだけ肘の高さを上げればいいと思います。一番太い弦(G線)では画像のあたりの高さになるか、どれだけ高くなったとしても弓が地面と平行になる高さ以上には上げないのがベストだと思います。
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肘の位置とあわせて練習を始める前に知っておきたいのが「サウンディングポイント」についてです。
基本的に弓の毛が弦のどこかに当たれば音は出ますが、実際の演奏では駒と指板の真ん中あたりに弓の毛を当てるのが一般的です。
駒と指板の真ん中あたりとはどの辺か、それ以外のところで弾くとどうなるか下の画像と動画で確認してみてください。
フィドル(ヴァイオリン)を始めてまず最初にやる練習は音を出す練習です。
始めのうちは「開放弦」だけで音を出す練習をやります。
開放弦とは左手で弦を押さえていない状態の弦のことで、始めのうちは「ド」とか「レ」とか何か音を押さえることはしないで、弓の動きだけに集中して練習をします。
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フィドル(ヴァイオリン)を始めて、一番に最初に音を出す練習になります。
この時点ではただラ(A)の音とレ(D)の音を出すだけです。
曲でもなんでもないので、つまらないかもしれませんが、皆最初はこういう練習から始めるものです。
まず最初にA線から始めます。
先に説明した肘の位置(高さ)と弓の毛を弦に当てる位置に注意して、弓をA線(右から二番目の弦)に置いて、ゆっくり長く真っ直ぐに弓を動かします。
始めのうちは長く弓を使うことは難しいと思うので、使う長さは短めでいいと思います。
使う弓の長さに関わらず、必ず弓が真っ直ぐに動くよう鏡の前(横)で弓の動きをチェックしながら練習してみてください。
この際に一定の弓の長さを一定のテンポで動かした方がいいので、メトロノームを使うと良いと思います。
下の動画ではメトロノームを「60」に合わせて、2拍で一弓を使っています。「60」で速ければもっとも遅くしても大丈夫です。
始めのうちは上の練習を何回も何回も繰り返してやります。
最初のうちはちょっとやるだけでも疲れてしまうということもあると思いますが、動作に馴れるまで根気強く続けることが大事です。
といって、最初から頑張りすぎる必要もないと思います。一日5分でもいいので、継続してやることが大事だと思います。
A線と合わせて隣のD線の開放弦でも同じように練習します。
上の練習に馴れてきたら、他の弦(G線、E線)でも同じ練習をしてみるといいと思います。
上の動画ではほぼ弓を端から端まで長く使っています。
フィドルはいつもいつも同じ弓の長さを使って弾くわけではありません。
「音」には2分音符や4分音符など色々な長さの音があります。
フィドルの演奏では弓の長さを使い分けて、短い音、長い音を弾き分けます。
当然、練習の時も弓を使う長さを色々と変えて練習します。
最初からあれもこれもは出来ないので、長く弓を使う練習をしたら、今度は半分の長さで弾く練習をします。
弓の半分の長さのことを「半弓(はんきゅう)」といいます。
半弓には3種類あります。
① 上半弓(弓の中心から先端寄りの半分の長さ)、
② 中(半)弓(弓の中心寄りの半分の長さ)、
③ 下半弓(弓の中心から根本寄りの半分の長さ)です。
上半弓のことは先半弓、下半弓のことは元半弓とも呼ばれています。
実際のフィドルの演奏では先端寄りが使われることが多いのですが、練習の時は全ての半弓の使い方で練習します。
下の動画では上(先)半弓と元(元)半弓で弾いています。
メトロノームは「60」に合わせて、一つ一つの音を四分音符で弾いています。(メトロノームの音一回につき音を一個弾く)
音を出す練習の一環として一緒にやりたいのが移弦の練習です。
移弦とは隣同士の弦の間を行ったり来たりする弾き方です。
移弦ではスムーズさが求められます。
右肩の動きが大きすぎたり、右肘や右腕の動きが硬いとスムーズに移弦ができません。
スムーズな移弦ができないと、2本の弦の音が混ざってしまったりして、雑音混じりの演奏になってしまいます。
移弦の練習をする際は「右肘の位置(高さ)」のところで説明した肘の位置に気をつけて弾くといいと思います。
動画の中では長く弓を使って弾いていますが、弓の長さを半分にしてみたり、使う弓の長さを色々変えて弾いてみるといいと思います。
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移弦の練習の際に合わせてやりたいのが、スラーでの移弦の練習です。
「スラー」とは一弓で複数の音を弾くことです。
フィドルの演奏では弓を一回動かした時に複数の音を連続して弾くような弾き方をすることがあります。
アイリッシュ・フィドルの奏法では基本的にスラーは一弓で複数の音を弾くことです。
他のジャンルの音楽では「スラー = 滑らかに弾く」という意味もあるようですが、アイリッシュ・フィドルでは特に「スラー=滑らか」だけではありません。
どのみち「スラー」で弾けば嫌でも「滑らか」になるのですが・・・
参考までにスラーでない弾き方と、スラーの弾き方を聞き(見)比べてみてください。
いかがでしょうか。スラーがどういうことかお分かりいただけたでしょうか?
このスラーは先ほどの移弦の際も使います。
スラーで弾くのは簡単ではないので、全くの初心者さんの場合、今のこの時点で出来るようにならなくてもいいのですが、とても大事な技術なので、できるのであれば早い段階で取り入れてもいいと思います。
下は一弓でD線からA線、A線からD線へと弾くスラーによる移弦の練習です。
ステップ③のまとめ
・鏡の前で練習
・右肘の高さに注意
・サウンディングスポット (弓の毛が弦に当たる場所)
・弓をまっすぐに動かすこと
開放弦で、
■ A線とD線を長い弓で弾く練習、
■ A線とD線を短い弓(半弓)で弾く練習、
■ 移弦の練習とスラーで移弦の練習
が出来たら、とりあえずこの辺りで一度左手を使った練習してみてもいいと思います。
ボウイングもまだまだ完璧には出来ないと思いますが、完璧になるまでボウイングの練習だけやっていたら日が暮れてしまいます。
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音の場所を覚える練習の前に、弦の押さえ方を確認しておくと良いと思います。
上の画像のような押さえ方がだいたい基本的な押さえ方になると思います。
指を立てすぎず、寝かせすぎず、他の弦に触れることなく押さえられることが基本です。
下の画像では悪い押さえ方もご覧になれますので参考にしてみてください。
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弦の押さえ方とあわせて"指の開き方"も確認しておくといいと思います。
弦を押さえる時に、指と指を開かないといけない時があるのですが、指を開くといっても横に開くのではありません。
下の動画で指の開き方をご覧になってみてください。
指の開き方が確認できたら、いよいよ音階を弾いてみます。
音出し練習 ①
上の動画の練習をする前に爪を短く切っておくといいでしょう。
フィドルは爪をよく切っておかないと、爪が指板(指を押さえるところ)や隣の弦に触れてしまい、弾きにくくなってしまいます。
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上の練習が出来たら、同じ指使いでスラーで弾いてみます。
スラーとは複数の音を一弓で弾くことです。
ここでは2つの音を一弓で弾いてみます。
どうしてもスラーが難しいようであれば、後回しにしても良いと思いますが、試せるようであれば試してみるといいと思います。
1弓で2つの音を弾くので、一つずつ弓を返した時の倍の速さで弾いています。(メトロノームの速さは一緒です。メトロノームの1カウントにつき2つの音を弾いています。)
このスピードが速すぎるようであればもっと遅いスピードで練習すると良いと思います。
ここまでやってみて、とりあえず何か曲を弾いてみたいと思う方もいらっしゃると思います。
本当はまだまだやらなければいけない練習が沢山あるのですが、基礎練習ばかりでは飽きてしまうので、この辺り何か曲を弾いてみても良いと思います。
アイルランドの伝統曲の「Níl na Lá」という曲であればここまでやった練習の内容で十分に弾くことができます。
「Níl na Lá」はもともとはアイルランド語で歌われる歌の曲で、アイルランドでは子供の頃に習うことが多いそうです。
ちなみにアイルランドの有名な女性グループ「ケルティック・ウーマン」が同名の歌を歌っていますが、こちらの「Níl na Lá」はケルティック・ウーマンが歌っているのとは違う曲になります。
下は同じ曲の歌詞付きのものをアイルランドの人に歌ってもらったものです。
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上の「Nl na Lá」を弾いたら、同じ曲の別の弾き方のバージョンも弾いてみるといいと思います。
こちらのバージョンではスラーが出てきます。
スラー付きの方はマット・クラニッチというアイルランドのフィドル奏者が書いた教則本に載っています。
その前に出てきた「Níl na Lá」はキャスリーン・ネズビットという同じくアイルランドの著名なフィドル奏者が書いたフィドルの教則本に掲載されています。
キャスリーン・ネズビットの教則本で一番最初に弾く曲がこの曲で、マット・クラニッチの教則本では2曲目に出てくるので、現地でも初心者向けの定番曲として知られているようです。
ここまでやった方は、ぜひ次のページに書かれている練習もやってみてください。
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